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6話
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サイクロプスを葬ってから数日経った
あれから他の勇者たちは誰も来なくなった
噂は広まるのが早いようで、ゾットさえも顔を引きつらせながら恐れ、ビクビクしながら授業をしていた
…
授業が終わり、寮の自室でルーシーは悩む
「うーん、サイクロプスにさえ勝てない勇者とは…高位の悪魔に出くわしたらでこぴんで死んじゃうなぁ。勇者が強くなるにはどうしたらいいんだ…」
しばらく考えていると、扉をノックしながらカーラが現れた
「る、ルーちん…いる?」
ルーシーはカーラを見る
「なに?」
「最近食堂にも顔出さないじゃん…食べないと筋肉によくないよ…」
(俺は魔王だからな…そもそも食事なんて必要ないんだが…)
「う、うん…ちょっと考え事してて…」
「あ、ごめん。邪魔だったかな…」
「いいよ、何か用があって来たんじゃないの?」
カーラは恐る恐る部屋に入ると扉を閉め、話し始めた
「あの、ごめんね。サイクロプスの一件以来お話にこれなくて」
「んー?別にいいよ」
「なんかさ、よく理解しようとせずに距離を取るのって卑怯だなって思って。ルーちんの魔法の事とか、ちゃんと聞きたいなって」
「うーん、何が聞きたい?」
カーラはゆっくりと俺に近づき、隣に座る
「勇者ってさ、光の使者とか言われてて。闇の力に慣れてないんだ、だからみんなビックリしちゃったんだと思う、私もそうだったし。どうしてルーちんは闇の力が使えるの?奈落の底の主っていうのも。邪神とかと契約してるの?」
ルーシーは首を傾げ、腕を組んで悩んだ
(契約も何も俺は魔王、全ての闇の力は俺の力だ。契約なんて口にしてるが実際は使役している者たちの力を使っているに過ぎない。だがどうしようか…さすがに魔王だと言えば勇者たちを鍛え続ける事はできないだろう。そうしたら伝説に残るような大戦が遠のく)
「うーん…」
カーラは息を飲むようにルーシーを見つめている
(俺の権能の事を話すか…魔王であることはうまくごまかそう)
「えと、あれは俺のスキルなんだ」
「スキル?女神の加護を授かった勇者が使えるスキル?」
「うーん?まぁそうだね、俺の女神はみんなと違うと思うけど…」
「そうなんだ!ボクたちが知らない女神もいるんだね~そっかぁ~ちょっと安心した」
「俺のスキルは “妄魔創成” なんでもいいから呪文らしき言葉を口にして、頭の中でイメージを作っていくと、それが魔術として具現化する。盟約だとか言ってるけどあれ別に他の神の名前口にしてもいいんだ。イメージを鮮明にするために口にしてるだけ」
カーラはパッと明るい表情になった
「すごい!どんな属性の魔法でも思い浮かべるだけで使えるって事?魔法書にもない魔法を?」
「そうだね、より強く大規模な効果を得ようと思うほど呪文は長くなっていく傾向があるけど」
カーラはルーシーに抱き着く
「なんだぁ~あんな力を見せるからみんな不安になっちゃったんだよー!ごめんね、ちゃんとお話せずに勝手に怖がっちゃって…うぅ…」
カーラは泣き出した
「う、うん…ご、めん?ね」
カーラは涙を拭くと話し出す
「いいの!ちゃんと理解したから。これからお風呂一緒にいこう!背中流したげる」
「えぇ…」
「ほら早く!仲直りしようよ」
カーラはいつものようにルーシーの手を力強く引いて浴場へ連れていく
…
更衣室でアンテとラミアと鉢合わせた
カーラは挨拶をする
「アンテ、ラミア。ルーちんと一緒にお風呂入ろう」
二人はちょっと固まった後、アンテが話し出す
「うん、ルーシー、ごめんね…」
ラミアも申し訳なさそうに話す
「あ、あたしも悪かったわ…」
ルーシーは目を伏せながら話す
「いやいいよ、気にしてない」
(目の刺激が強い…)
4人で浴場に入り、カーラがルーシーの背中を流す
「ルーちんって魔法系の勇者だったんだねー、戦闘では後衛のほうがいい?」
「どっちでもいいよ。近接戦闘もできる」
「えー!すごいなぁ…どうやったらそんな風に強くなれるの」
アンテやラミアも耳を傾けている
「うーん…魔物を倒しまくったなぁ。それこそ数えきれないくらいに」
(魔界で2,000年は殺し続けたんだ、それ以外は何もしてない)
「えぇ、いつからそんなことしてたの…だとしたら納得しちゃう」
ルーシーはカーラを見て話す
「逆に勇者ってどうやって強くなるんだ?ここに来たら強くなれるのかと思ったんだけど、教師は戦い方を教えてくれないって言うし」
「そうだね、ボクはトレーニングを続けてる、あとは訓練場でスキルの練習とかだなぁ」
アンテが話す
「わたくしはぁ…戦闘しないので…みなさんが頼りですぅ」
ラミアも口を開いた
「ミストも筋トレしてたわね、あたしは魔術師だから知識を蓄える事が強さに繋がるわ」
ルーシーは考えた
(俺たち魔族は殺した相手の魔力を奪う形で強くなる、人間は鍛えなければいけないのか?厄介だな…)
アンテが話す
「あ、でもぉ。トレーニング以外だと女神の加護を授かる事でスキルが増えますわぁ」
ルーシーはアンテに話した
「加護?どうやって授かるの?」
「魔物を倒して得られる素材を神殿の女神様にお供えするんですよぉ」
どうやらこの世界では勇者となった時に女神の最初の加護を授かっており、戦闘不能時に神殿に戻る加護を得る。その後魔物を倒して得られる素材を女神に捧げることで加護が増えていくらしい、俺は魔王なのでおそらく無理だろうが他の勇者たちはこれで力を蓄える事ができそうだ
あれから他の勇者たちは誰も来なくなった
噂は広まるのが早いようで、ゾットさえも顔を引きつらせながら恐れ、ビクビクしながら授業をしていた
…
授業が終わり、寮の自室でルーシーは悩む
「うーん、サイクロプスにさえ勝てない勇者とは…高位の悪魔に出くわしたらでこぴんで死んじゃうなぁ。勇者が強くなるにはどうしたらいいんだ…」
しばらく考えていると、扉をノックしながらカーラが現れた
「る、ルーちん…いる?」
ルーシーはカーラを見る
「なに?」
「最近食堂にも顔出さないじゃん…食べないと筋肉によくないよ…」
(俺は魔王だからな…そもそも食事なんて必要ないんだが…)
「う、うん…ちょっと考え事してて…」
「あ、ごめん。邪魔だったかな…」
「いいよ、何か用があって来たんじゃないの?」
カーラは恐る恐る部屋に入ると扉を閉め、話し始めた
「あの、ごめんね。サイクロプスの一件以来お話にこれなくて」
「んー?別にいいよ」
「なんかさ、よく理解しようとせずに距離を取るのって卑怯だなって思って。ルーちんの魔法の事とか、ちゃんと聞きたいなって」
「うーん、何が聞きたい?」
カーラはゆっくりと俺に近づき、隣に座る
「勇者ってさ、光の使者とか言われてて。闇の力に慣れてないんだ、だからみんなビックリしちゃったんだと思う、私もそうだったし。どうしてルーちんは闇の力が使えるの?奈落の底の主っていうのも。邪神とかと契約してるの?」
ルーシーは首を傾げ、腕を組んで悩んだ
(契約も何も俺は魔王、全ての闇の力は俺の力だ。契約なんて口にしてるが実際は使役している者たちの力を使っているに過ぎない。だがどうしようか…さすがに魔王だと言えば勇者たちを鍛え続ける事はできないだろう。そうしたら伝説に残るような大戦が遠のく)
「うーん…」
カーラは息を飲むようにルーシーを見つめている
(俺の権能の事を話すか…魔王であることはうまくごまかそう)
「えと、あれは俺のスキルなんだ」
「スキル?女神の加護を授かった勇者が使えるスキル?」
「うーん?まぁそうだね、俺の女神はみんなと違うと思うけど…」
「そうなんだ!ボクたちが知らない女神もいるんだね~そっかぁ~ちょっと安心した」
「俺のスキルは “妄魔創成” なんでもいいから呪文らしき言葉を口にして、頭の中でイメージを作っていくと、それが魔術として具現化する。盟約だとか言ってるけどあれ別に他の神の名前口にしてもいいんだ。イメージを鮮明にするために口にしてるだけ」
カーラはパッと明るい表情になった
「すごい!どんな属性の魔法でも思い浮かべるだけで使えるって事?魔法書にもない魔法を?」
「そうだね、より強く大規模な効果を得ようと思うほど呪文は長くなっていく傾向があるけど」
カーラはルーシーに抱き着く
「なんだぁ~あんな力を見せるからみんな不安になっちゃったんだよー!ごめんね、ちゃんとお話せずに勝手に怖がっちゃって…うぅ…」
カーラは泣き出した
「う、うん…ご、めん?ね」
カーラは涙を拭くと話し出す
「いいの!ちゃんと理解したから。これからお風呂一緒にいこう!背中流したげる」
「えぇ…」
「ほら早く!仲直りしようよ」
カーラはいつものようにルーシーの手を力強く引いて浴場へ連れていく
…
更衣室でアンテとラミアと鉢合わせた
カーラは挨拶をする
「アンテ、ラミア。ルーちんと一緒にお風呂入ろう」
二人はちょっと固まった後、アンテが話し出す
「うん、ルーシー、ごめんね…」
ラミアも申し訳なさそうに話す
「あ、あたしも悪かったわ…」
ルーシーは目を伏せながら話す
「いやいいよ、気にしてない」
(目の刺激が強い…)
4人で浴場に入り、カーラがルーシーの背中を流す
「ルーちんって魔法系の勇者だったんだねー、戦闘では後衛のほうがいい?」
「どっちでもいいよ。近接戦闘もできる」
「えー!すごいなぁ…どうやったらそんな風に強くなれるの」
アンテやラミアも耳を傾けている
「うーん…魔物を倒しまくったなぁ。それこそ数えきれないくらいに」
(魔界で2,000年は殺し続けたんだ、それ以外は何もしてない)
「えぇ、いつからそんなことしてたの…だとしたら納得しちゃう」
ルーシーはカーラを見て話す
「逆に勇者ってどうやって強くなるんだ?ここに来たら強くなれるのかと思ったんだけど、教師は戦い方を教えてくれないって言うし」
「そうだね、ボクはトレーニングを続けてる、あとは訓練場でスキルの練習とかだなぁ」
アンテが話す
「わたくしはぁ…戦闘しないので…みなさんが頼りですぅ」
ラミアも口を開いた
「ミストも筋トレしてたわね、あたしは魔術師だから知識を蓄える事が強さに繋がるわ」
ルーシーは考えた
(俺たち魔族は殺した相手の魔力を奪う形で強くなる、人間は鍛えなければいけないのか?厄介だな…)
アンテが話す
「あ、でもぉ。トレーニング以外だと女神の加護を授かる事でスキルが増えますわぁ」
ルーシーはアンテに話した
「加護?どうやって授かるの?」
「魔物を倒して得られる素材を神殿の女神様にお供えするんですよぉ」
どうやらこの世界では勇者となった時に女神の最初の加護を授かっており、戦闘不能時に神殿に戻る加護を得る。その後魔物を倒して得られる素材を女神に捧げることで加護が増えていくらしい、俺は魔王なのでおそらく無理だろうが他の勇者たちはこれで力を蓄える事ができそうだ
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