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16話
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先日長い遠征を終えたばかりなので数日学園で休むことになり、数週間ぶりの学園でカーラ、アンテと食堂で昼食を楽しんでいるとラミアが現れた
ラミアはいつものように見下した態度で声をかけてくる
「あら、手柄を横取りした泥棒勇者様御一行じゃありませんか」
ルーシーはまたかという顔でラミアを睨みつける
「そういうお前は俺たちが倒した魔物を横取りした横領勇者といったところか?」
「口が減らないのは変わらないようですわね…」
「お前も性根が腐っているのは変わらんようだな」
ラミアは勝ち誇った顔でさらに続ける
「あたしたちは女神から新しいスキルを授かりましたの。今なら貴女など足元にも及びませんわ」
「上流階級気取るなら”あたし”ではなく”私”だろう、地が出てるぞ貧乏娘」
ラミアは顔を紅潮させて声を張り上げる
「キィー!妄想を魔術に変える程度の妄言師が偉そうにするんじゃないわよ!」
「ハハ、オーク横領の祝勝会はさぞもてはやされただろうな。尻魔術師殿」
ラミアは杖を強く握りしめ、小さく震えながら込み上げる怒りを露わにしている
「あなた…あなたの仕業だったのね…」
(パーティ会場のテーブルは吹き飛ぶしお借りしているベッドを爆散させて野宿するハメになったり散々な目にあったのよ!!)
カーラとアンテはうつむいて必死に笑いを堪えている
「ルーシー!決闘なさい!あなたのその生意気な態度を正して差し上げますわ!!」
「ハーッハッハ、お前ごときが俺と戦えるつもりでいるのか。いいだろう受けてやる」
「今に見てなさい…昼食が終わったら演習場にいらっしゃい。食後の運動に軽くひねって差し上げますわ」
「フッフッフッ、わかった。楽しませてくれよ」
ラミアは怒りに震えながら背を向け、去っていく
カーラとアンテが心配そうにルーシーに話しかけた
「ちょっと、大丈夫なの?あいつあんな性格だけど大魔術師と言ってもいいくらいは実力あるよ…」
「決闘となるとわたくしたちサポートできませんわぁ」
ルーシーは小さく笑う
「まぁ、見てろ」
…
演習場
ルーシーとラミアが演習場に揃い、相対するとラミアが話し始めた
「ルーシー!これで貴女が負けたらあたしの部下になりなさい!貴方の実力は認めてあげるわ。その力をあたしのために有効活用して差し上げます」
ルーシーはあくびをしながら横柄な態度で応じる
「できるならいいぞ。俺が勝つのは当然だからな、お前に何も求めるものはない」
「くっ…妄言師は口が達者ですこと…立ち合いはミスト、カーラ、アンテの英雄たち。無様に負けても言い訳はできませんわ」
「後悔することになるぞ。早く始めろ」
ラミアはギリギリと歯ぎしりをしながらルーシーを睨む
…
一息つくとラミアは力を抜き。呪文の詠唱に集中する
杖をかざし左手を添えると目を閉じ、唱え始めた
「フーティ・フー・ハージ、イ・ヴォン・スーフ。燻る小さき者たちよ!邪悪を清むる業火となりて示す道を灰と化せ!」
”ブラン・ドゥーフ”
ミストが驚き、叫ぶ
「まずいぞ、ラミアの最大攻撃呪文だ!ルーシー逃げろ!」
ラミアは杖をルーシーにかざす、ルーシーがあくびをするとルーシーから巨大な炎の塊がラミアに向かって飛んだ
ラミアは慌てて障壁を展開して防御する
ゴォォォン
鈍い音と共にラミアが爆炎に包まれる
ミスト、カーラ、アンテは何が起きたかわからず目を丸くして二人を眺めていた
爆炎が収まる頃、ホコリと煤にまみれたラミアが姿を現した
ラミアはルーシーに質問する
「ゲホッ…どういう事ですの?なぜ貴女から魔法が放たれるのかしら」
ルーシーは眠そうな目をこすりながら答える
「俺のスキルは “妄魔創成” イメージしたものが魔法として具現化する」
「ええ、存じておりますわ」
「俺はイメージするために呪文を唱えるんだ」
「ええ、恥ずかしい呪文を惜しげもなく披露されますわね」
「まだ解らんのか?お前は魔法を使うために何をしたんだ?」
「???」
…
「!?…まさか、あたしの呪文を乗っ取った…?」
ルーシーはつまらなそうにラミアを見下して説明する
「理解したか、俺に詠唱を伴う魔法は一切通用せん。俺のスキルが上書きしたあげく相手の魔力で俺が相手の魔術を行使する事になる。俺と戦いたければ無詠唱で魔法を使うんだな」
ラミアは力なく崩れ落ち、座り込んだ
「そんな…魔術師の天敵ではありませんか…」
「俺と戦える魔術師なんて無詠唱で天変地異を引き起こす大賢者くらいだ。それか高位の魔神でもなければ俺に魔術で挑むのは無謀だな」
ルーシーはラミアに背を向け、話す
「気が済んだか?上には上がいるんだ。くだらないプライドは捨てて精進しろ」
「………」
ルーシーが演習場を出るとカーラとアンテが駆けつけた
二人がルーシーに話す
「さすがルーちんだねー、まさか相手の魔法を乗っ取るなんて発想ないわー」
「相手の魔力で自分のモノのように呪文を使うなんてぇ、神の所業ですわぁ」
(あらゆる魔の王なんでな、魔物、悪魔、魔人、魔神。全てを統べる魔の王だ)
「最初は独自の魔法を創造するくらいのスキルだったんだけどね、戦っていくうちにどんどん進化してってこうなったんだ」
カーラは上を向き考えながらルーシーに質問する
「んー…ルーちんに勝てる魔物っているの?」
(自動で発動してしまうとは言えさすがに不信感が大きくなってきてるな。気は進まないが俺に通じる攻撃方法も教えておくか…)
「いないわけじゃないさ、無詠唱と魔法剣、魔力が込められた武器なんかはさすがに効く。だから近接戦闘も鍛えてる」
「なるほどぉ。無敵というわけでもないんですねぇ」
「そんなやついないさ。それに俺のスキルはイメージを固めるまでに時間がかかる、俺と戦うなら近接戦闘は有効な手段のひとつだよ」
カーラが笑顔で話しかけてくる
「じゃあ、ルーちんを最初に倒すのはボクだからね!絶対負けないでよ!」
「お、おう…」
(実際大戦の見栄えも相性もカーラが一番期待できる。頑張ってくれ)
ラミアはいつものように見下した態度で声をかけてくる
「あら、手柄を横取りした泥棒勇者様御一行じゃありませんか」
ルーシーはまたかという顔でラミアを睨みつける
「そういうお前は俺たちが倒した魔物を横取りした横領勇者といったところか?」
「口が減らないのは変わらないようですわね…」
「お前も性根が腐っているのは変わらんようだな」
ラミアは勝ち誇った顔でさらに続ける
「あたしたちは女神から新しいスキルを授かりましたの。今なら貴女など足元にも及びませんわ」
「上流階級気取るなら”あたし”ではなく”私”だろう、地が出てるぞ貧乏娘」
ラミアは顔を紅潮させて声を張り上げる
「キィー!妄想を魔術に変える程度の妄言師が偉そうにするんじゃないわよ!」
「ハハ、オーク横領の祝勝会はさぞもてはやされただろうな。尻魔術師殿」
ラミアは杖を強く握りしめ、小さく震えながら込み上げる怒りを露わにしている
「あなた…あなたの仕業だったのね…」
(パーティ会場のテーブルは吹き飛ぶしお借りしているベッドを爆散させて野宿するハメになったり散々な目にあったのよ!!)
カーラとアンテはうつむいて必死に笑いを堪えている
「ルーシー!決闘なさい!あなたのその生意気な態度を正して差し上げますわ!!」
「ハーッハッハ、お前ごときが俺と戦えるつもりでいるのか。いいだろう受けてやる」
「今に見てなさい…昼食が終わったら演習場にいらっしゃい。食後の運動に軽くひねって差し上げますわ」
「フッフッフッ、わかった。楽しませてくれよ」
ラミアは怒りに震えながら背を向け、去っていく
カーラとアンテが心配そうにルーシーに話しかけた
「ちょっと、大丈夫なの?あいつあんな性格だけど大魔術師と言ってもいいくらいは実力あるよ…」
「決闘となるとわたくしたちサポートできませんわぁ」
ルーシーは小さく笑う
「まぁ、見てろ」
…
演習場
ルーシーとラミアが演習場に揃い、相対するとラミアが話し始めた
「ルーシー!これで貴女が負けたらあたしの部下になりなさい!貴方の実力は認めてあげるわ。その力をあたしのために有効活用して差し上げます」
ルーシーはあくびをしながら横柄な態度で応じる
「できるならいいぞ。俺が勝つのは当然だからな、お前に何も求めるものはない」
「くっ…妄言師は口が達者ですこと…立ち合いはミスト、カーラ、アンテの英雄たち。無様に負けても言い訳はできませんわ」
「後悔することになるぞ。早く始めろ」
ラミアはギリギリと歯ぎしりをしながらルーシーを睨む
…
一息つくとラミアは力を抜き。呪文の詠唱に集中する
杖をかざし左手を添えると目を閉じ、唱え始めた
「フーティ・フー・ハージ、イ・ヴォン・スーフ。燻る小さき者たちよ!邪悪を清むる業火となりて示す道を灰と化せ!」
”ブラン・ドゥーフ”
ミストが驚き、叫ぶ
「まずいぞ、ラミアの最大攻撃呪文だ!ルーシー逃げろ!」
ラミアは杖をルーシーにかざす、ルーシーがあくびをするとルーシーから巨大な炎の塊がラミアに向かって飛んだ
ラミアは慌てて障壁を展開して防御する
ゴォォォン
鈍い音と共にラミアが爆炎に包まれる
ミスト、カーラ、アンテは何が起きたかわからず目を丸くして二人を眺めていた
爆炎が収まる頃、ホコリと煤にまみれたラミアが姿を現した
ラミアはルーシーに質問する
「ゲホッ…どういう事ですの?なぜ貴女から魔法が放たれるのかしら」
ルーシーは眠そうな目をこすりながら答える
「俺のスキルは “妄魔創成” イメージしたものが魔法として具現化する」
「ええ、存じておりますわ」
「俺はイメージするために呪文を唱えるんだ」
「ええ、恥ずかしい呪文を惜しげもなく披露されますわね」
「まだ解らんのか?お前は魔法を使うために何をしたんだ?」
「???」
…
「!?…まさか、あたしの呪文を乗っ取った…?」
ルーシーはつまらなそうにラミアを見下して説明する
「理解したか、俺に詠唱を伴う魔法は一切通用せん。俺のスキルが上書きしたあげく相手の魔力で俺が相手の魔術を行使する事になる。俺と戦いたければ無詠唱で魔法を使うんだな」
ラミアは力なく崩れ落ち、座り込んだ
「そんな…魔術師の天敵ではありませんか…」
「俺と戦える魔術師なんて無詠唱で天変地異を引き起こす大賢者くらいだ。それか高位の魔神でもなければ俺に魔術で挑むのは無謀だな」
ルーシーはラミアに背を向け、話す
「気が済んだか?上には上がいるんだ。くだらないプライドは捨てて精進しろ」
「………」
ルーシーが演習場を出るとカーラとアンテが駆けつけた
二人がルーシーに話す
「さすがルーちんだねー、まさか相手の魔法を乗っ取るなんて発想ないわー」
「相手の魔力で自分のモノのように呪文を使うなんてぇ、神の所業ですわぁ」
(あらゆる魔の王なんでな、魔物、悪魔、魔人、魔神。全てを統べる魔の王だ)
「最初は独自の魔法を創造するくらいのスキルだったんだけどね、戦っていくうちにどんどん進化してってこうなったんだ」
カーラは上を向き考えながらルーシーに質問する
「んー…ルーちんに勝てる魔物っているの?」
(自動で発動してしまうとは言えさすがに不信感が大きくなってきてるな。気は進まないが俺に通じる攻撃方法も教えておくか…)
「いないわけじゃないさ、無詠唱と魔法剣、魔力が込められた武器なんかはさすがに効く。だから近接戦闘も鍛えてる」
「なるほどぉ。無敵というわけでもないんですねぇ」
「そんなやついないさ。それに俺のスキルはイメージを固めるまでに時間がかかる、俺と戦うなら近接戦闘は有効な手段のひとつだよ」
カーラが笑顔で話しかけてくる
「じゃあ、ルーちんを最初に倒すのはボクだからね!絶対負けないでよ!」
「お、おう…」
(実際大戦の見栄えも相性もカーラが一番期待できる。頑張ってくれ)
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