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20話

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謹慎が終わり、ようやく自室の外に出られる日が来た

カーラはルーシーが退屈しないように毎日遊びに来る
今朝もまたカーラがやってきた

「おはよー!ルーちん謹慎おわったねー!」
(元はお前が原因だけどな)
「朝ごはんまだでしょ?食堂行こうよ」



食堂

軽いフレンチを選んでテーブルに座るとラミアがやってきた

「あら、一歩先に行けなかった行き遅れの小娘ではございませんか」
「おう、一歩先に行けて無かったお姉さんごきげんよう」
「ふ、もうあたしは貴方には負けませんわよ」
「なんだ?新しい呪文でも覚えたか?」
「ふふ、聞いて驚きなさい。貴女をしのぐ実力を持つ勇者がラミア派に加わったのよ」

ルーシーは周りを見ると褐色肌の16歳くらいの女の子がラミアと一緒にいるのに気づいた

褐色肌の女の子が自己紹介をする

「初めまして、ベルゼと申します」

俺は固まった

(ベルゼブブじゃねーか、なんで帰ってねーんだよ)
「なんでお前がここにいる」

ラミアはベルゼに質問する

「あら、お知り合いなの?」
「はい、幼馴染です。ルーシーの行方を追っていたんですが学園にいると聞いて昨日試験を受けました」
(めんどくさい設定付け足すな。俺も合わせなきゃいけなくなるだろ)

ルーシーはベルゼの肩に腕を回し、食堂の端っこでヒソヒソと会話をする

「なんで来たんだよ!魔界に帰れ!」
「帰れない理由は昨日説明したでしょ!」
「はぁ…で、なんでラミア派なんだ」
「その方がジークの寝首かきやすいじゃないですか」
「なんでお前は裏切る事を本人に告げるんだよ!やるなら徹底しろ!」
「どうせバレるんだから隠しても意味ないでしょ!」
(やる気あるんだかないんだか…)

ラミアが不安そうにつぶやく

「幼馴染でしたら仕方ないですわね…ベルゼもルーシー派になるのかしら…」

ベルゼは振り返り、ラミアを慰めるように声をかける

「まさか、幼馴染ではありますけど喧嘩ばかりでしたし、ライバルですよ。ラミア派に置いてください」
「まぁ…なんてかわいらしい娘なのかしら。ルーシー、貴方も見習ったらどうかしら」

ルーシーは呆れて返事をする

「尻で魔法を使う女についていけるわけないだろ」
「ムキィィィィィ!まだそれを言いますの!自室に人知れず男を連れ込むような欲求不満は品性が足りませんわね!」



自室

食事が終わり自室でくつろぐルーシー派

俺は今後の事について考えた



ラミア派とはくだらない痴話喧嘩をするもののなんだかんだ仲良くなった

ベルゼが来たことで心配だったラミア派の育成ももしかしたらうまく行くようになるかもしれない。状況によっては危険を伴うけれど、当分先の話だが

ベルゼブブの権能は “傲慢” 己が優位な状況であるほど力を増す
己の優位とはどういうことかというと…

====== 基礎戦闘力 =====

ルーシー:100,000,000

ベルゼ:1,000

英雄クラスの勇者:10

=====================

現在こういう戦闘能力差だとする
これに現在の状況を加味すると

魔王城所持:基礎戦闘力+100
貴族制度制定による魔界のベルゼ派勢力の所持:+1,000

って感じで思いつく限りの要素で優位性を獲得するほどベルゼブブの戦闘能力が上がっていく。ラミア派の勇者戦闘能力が上回れば勇者間戦力差ボーナス。みたいなのも加算されていくだろう。つまり競う相手がいて、競争に優位に立つほど力を増す。

その性質故にあいつは謀略好きだ、ラミアとは気が合う事だろう

ちなみに差が広がれば広がるほど効果も大きくなっていく
こっちは所持金0円、あっちは所持金1,000とかになると + 10
さらにあっちが所持金を増やして差額1億とかになると + 100,000 みたいな感じで効果も大きくなる。補正される倍率は競争の難易度によって変わるので一律ではない。競争の難易度による

ベルゼブブ本位の感覚で優位に立っている。と思う事で力が増すので知らぬ間に戦闘力が上回っているなんてことも全然ありうる。例えば口喧嘩に勝った回数なんてくだらない要素も加算対象になる、要はベルゼブブが相手にマウント取れる場面が増えれば増えるほど加算される

ベルゼブブの権能と謀略好きが相まって割と油断ならない相手だ
ただし、マイナスボーナスが付くこともある
ルーシー(魔王)ベルゼ(序列1位)俺の立場の方が完全に上なので戦闘力補正 - 10,000

みたいなバッドステータスもつく、負ければ当然ペナルティもあるわけだ。だが元々持っている基礎戦闘力を下回ることはない

しかしこれでラミア派とルーシー派の戦力差はある程度解消したのでベルゼがいればラミア派も上位の魔物を倒して素材が獲得できる。成長速度もあがるだろう、あいつが魔界から出てきたのは結果的に俺の野望の実現を早めてくれるかもしれない

「カーラ、アンテ。ラミア派にも上位の魔物狩れるやつが来たからまた素材集めに行こう」

カーラが返答する

「ベルゼってルーちんのライバルだっけ?やっぱ強いんだぁ。ボクらも負けてらんないねぇ!」

アンテが返事をする

「わっかりましたぁ!わたくし精一杯サポートしますぅ!」
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