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22話

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エキドナ討伐に向けて魔物の街を目指す一行

ラミア領は周りを崖に囲まれた天然の要塞となっており、攻め込める場所は正面のみ。街の周辺に大きな樹木が並ぶ樹海と化していた。

カーラがルーシーに質問する

「結構大きそうな街だね。全体を見れる場所ないかなぁ」
「ここは切り立った崖が多いからちょっと登ってみてくる、カーラとアンテは馬車守ってて」
「はぁい」

魔物の素材を回収する必要が無ければ俺の広範囲魔術で消し飛ばせば済む話だがそうもいかないのが少し手間だ。前回の魔王の目戦でもかなりの数の魔物が蒸発してしまっている。カーラとアンテに戦闘経験を積ませつつ、近接戦闘で仕留めていくのが一番いい

前回の魔王の目鎮圧で気づいたことだがあまりに素材の量が多い場合支援部隊を呼ぶことができるらしい、今回は帰還石とは別に支援クラスを召喚するアイテムも借りてきた
ベル型のアイテムで鳴らすと魔法陣から支援クラスの人間が馬車と共に現れる

今回は大規模な殲滅戦になるのでお世話になる事だろう

ルーシーは崖の上に登ると紙とペンを取り出し、スケッチを始める

最奥に神殿があり、ここにエキドナがいるのだろう。ツボ型の切り立った崖に囲まれた土地で神殿を囲むように4つの巨大な施設が入り口に向かって八の字に広がっている
神殿の周りにはケルベロス、ヒュドラが2匹ずつ寝そべっている

巨大な施設にはラミアクイーンがいるのであろう、まとまった数のラミアが移動するのが観察できた。その他おびただしい数のラミアが町中をうろついており、その数は300を超えるだろう。
ざっと確認しただけで500体以上のラミア型と複数の大型魔獣がいる

どうして今まで気づかれずにいたのか不思議なほど巨大な都市とも言える広さ。さらに崖の付近にはいくつも洞窟のような入り口があり、魔獣が出入りする姿も確認できる

「すさまじい数だな…これはカーラ達だけでは手に負えなさそうだ。ラミア派も呼ぼうかなぁ…」

崖を降り、カーラとアンテに状況を説明すると青ざめていた

「ルーシー、これは学園に応援要請したほうがいいよ。支援部隊を通じてラミア派も来てもらおう?」
「そうしようか。さすがにこの規模は予想外だった」

支援部隊を呼び、状況を伝えると支援部隊は帰還石で帰っていく
ここまでゆっくり旅して1週間ほどかかったので早ければ3日くらいでつくだろう

それまで攻略の準備を進める事にした

考えもなしにつつくと中の連中が全員で打って出てくる可能性がある。そうなると俺とベルゼ以外は簡単に全滅するだろう。女神神殿に戻るとしてもまた3日はかかる。途中で心が折れないとも限らないし素材が持ち帰れないのでその間にせっかく倒したラミアの素材が腐るかもしれない。できればこまめに回収していきたいところだ

まずはラミアの街から少し離れたところに拠点を築く事にした

アンテの結界を利用した安全地帯を作り、寝床と魔物解体用の広場を用意。支援部隊を呼び寄せて待機してもらいつつ周辺に来るラミアたちを討伐していく

準備が整ってもラミアが大挙して外に出てこられると困るのでルーシーが大規模な結界を街の入り口に作り、勇者以外の出入りを封じた

更に学園から結界石を借りてきて支援部隊に持たせ、討伐した魔物を回収するために安全な環境を作るための準備も行う

ラミア程度ならカーラはもう相手にならないほど強くはなっていたが4体以上まとまってくると厳しそうだった。すぐ鎧脱ぐからゆっくり進んでいこう

準備と小手調べをしていると3日が経ち、ラミアたちが合流した

ラミアが高らかに笑いながらルーシーに声をかける

「オーッホッホッホ、助太刀に来て差し上げましたわよ!さぁ、泣いて土下座なさい!敬いなさい!奉りなさい!」
「ブレのない性格でうらやましいな。こっちはまだ本格的な攻略はまだしてない。500体くらい魔物たちが群れてるがお前たちはどれくらいやれそうだ?」

ラミアは目玉が飛び出るほど驚いて質問する

「ハァ!?過去の資料では取りこぼしたラミアが10体もいない程度だと記載されておりますわ!」
「その程度で援軍呼ぶわけないだろ。お前もラミアなんだから潜り込んで見ろよ」
「くっ、伝説武器にあやかった勇者名であって魔物とは違いますわ…」
「最奥の神殿にはエキドナがいるらしい、上位の悪魔だ。ケルベロスやヒュドラの姿も確認している」
「うぅ…とんでもないところに連れてこられた気がしますわ…」

ルーシーはラミアを見て鼻で笑った

「カーラはもうラミアごときなら5体程度まとめて相手にできるようになったぞ?お前たちは成長したのか?」
「くっ…あの筋肉バカと一緒にしないで頂きたいわ。ミストとベルゼ次第ね…こちらも作戦を練って参りますわ、これだけの規模ならうまく進んだとしても数日はかかるでしょうし」
「そうだな、諸々準備をしたことがある。お前たちの分もあるから利用してくれ」

拠点を準備したことと素材回収班を手配しておいたことを伝え、翌日から討伐へ向かう事を伝えた
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