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25話
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神殿に入ると崖をくりぬいて作られた大きな部屋へたどり着く
奥の玉座にエキドナが見える。エキドナはゆっくりと体を起こす
「たった6人でよくもここまで荒らせたものだ。勇者というものはいつになっても忌々しい。して、なぜ勇者などをしておる」
ルーシーはこのメッセージが自分に向けられた話であることに気づいた
鞘、柄に手をかけ、威嚇する
(俺の正体を喋ろうとした瞬間その首叩き落してやるからな)
「お前などと語る必要などない。領地は返してもらう」
ルーシーは刀を抜いて構える、勇者たちも一斉に構えた
エキドナも武器を構え、カタカタと鱗を鳴らしながら威嚇をしはじめた
「フン、本来悪魔とは欲望に忠実なものだ。妾の首が欲しいなら受けて立ってやる!」
エキドナは遠目に見ても大きく、体長20メートルは超えるであろう巨体だった
尻尾をたたみ、予備動作をすると目にも留まらぬ速度で跳躍し、右手に構えた杖を突き出してくる、杖の周りには無数の火の玉が生成され、同時に襲い掛かってきた
ミストが反応し、最前列まで走り、盾を構える
”聖騎士の盾”
ミストの盾から白く薄い膜が横に広がり、火の弾を受け止めていく
ボボボボン ガァァァン
直後エキドナの杖をミストが盾で受け止めエキドナの勢いは殺したものの、勇者たちの間を縫って後ろの壁に激突し、気を失った
「「「!?」」」
カーラ、ラミア、アンテがミストを見る
エキドナは杖を振り上げ、横に薙いだ
間にルーシーが入り、杖を受け止める
「お前たちには荷が重い。下がれ!」
「はわわわ、結界を展開しますぅ」
アンテが結界を張るのを見届けるとルーシーはエキドナの杖を弾き、エキドナはよろめきながら後ろへ下がる
(強くなったとはいえ上位の悪魔はまだ荷が重かったか)
「終わりにしよう」
「地の底に堕ちたかつての英雄クロケルに命ずる!地獄の底に眠りし汝が剣を我が刃に宿せ!」
ルーシーが刀を前にかざし、左手を鍔から切っ先へなぞっていくと刀身から白い煙が立ち上る、ルーシーは姿を消すとエキドナの首元へ現れ、刀を振るうとエキドナの首は離れ、血が出る間もなく全身が凍り付いた
…
神殿を出て、拠点へ戻るとカーラが側へ寄ってくる
カーラは少し悲しそうな顔をしていた
「今回もルーちんに助けられちゃったねー」
「ヒュドラを倒せるようになっただけでも成長しただろ」
ルーシーは優しく微笑み、慰めるように声をかけた
「それにエキドナも捧げればまた強くなるさ」
「そうだけどさーなんか貰ってばっかりで申し訳なくなっちゃって…」
「強くなって返してくれればいいさ、天と地よりも大きな差があるから今は一刻も早く強くなってくれ」
カーラは少しきょとんとした後、抗議する
「天と地よりも大きな差は言いすぎでしょー!すーぐ追いつくからねー!」
腕を組んで頬を膨らせるとそっぽを向いた
「その調子で頼む。俺と張り合える相手がいなくて寂しいんだ」
カーラはうつむき、情けなさそうな表情をすると顔を上げて唇をきゅっと締める
「うん!待ってて。ボクが最初にルーちんに勝つんだから!」
「期待してるよ」
アンテがこっそりと木の陰から出てくるとのしのしとルーシーとカーラの間に入ってくる
「おアツいですわぁ、わたしくしも混ぜて頂きたいですぅ」
「アンテ!いいとこで出てくるわねー」
カーラは困った表情をしながら拳を腰に当ててアンテを責めた
「いいところだったんですかぁ?愛のあるところアンテありですぅ、のけ者にされちゃう所だったんですぅ」
ワザとらしくアンテは胸を張り、腰を突き出し両手をピコピコと動かしてカーラをからかう
(アンテは絶対天然を装ってるだけだろうな…あざとい)
…
学園に帰って素材をそれぞれが供物に捧げた
上位の悪魔を素材にしただけあって雰囲気がまるで違う
もう一度エキドナと戦えばおそらくいい勝負をするであろうことが感じ取れた
ただし、まだ四人で戦う必要はある、一人ではまだ勝負にならないだろう
学園を出てから戻ってくるまで3週間ほどが過ぎており、さすがに皆疲れが見える。しばらくお休みと新しい加護に体を慣らす期間をまた設ける事になった
…
自室
就寝前、夜の静けさの中物思いにふけっていると、ふと勇者名の仕組みが気になった
(そういえば勇者名と女神の加護ってベルゼ貰ってないよな?なんで俺とベルゼだけ儀式をうけていないんだろうか…学園長なんてものがいるのか?俺たちの正体に気づいているのだろうか?明日カーラに聞いてみようか)
…
翌日
自室にいつも通りカーラが現れた
「ルーちーん!今日も来たよー!」
「入って」
カーラはいつも笑顔で入ってくる。そんなに楽しい事なんだろうか
「そういえばカーラ、勇育って学園長みたいな役職の人いるの?」
「いるよー?どうしてー?」
「いや。ちょっと気になって、会ったことないから」
「あーそうだねー、普段全然見ない。ボクも勇者名授かった時に一度会っただけ…あれ?ルーちん会ったことないの?他の女神に仕えてるからかなぁ?」
カーラは唇に指を当ててどことなく上を見ながら考える
「そっか、まぁ気にしなくていいよ」
「ふぅん、とりあえず朝食食べに行こうよ!」
奥の玉座にエキドナが見える。エキドナはゆっくりと体を起こす
「たった6人でよくもここまで荒らせたものだ。勇者というものはいつになっても忌々しい。して、なぜ勇者などをしておる」
ルーシーはこのメッセージが自分に向けられた話であることに気づいた
鞘、柄に手をかけ、威嚇する
(俺の正体を喋ろうとした瞬間その首叩き落してやるからな)
「お前などと語る必要などない。領地は返してもらう」
ルーシーは刀を抜いて構える、勇者たちも一斉に構えた
エキドナも武器を構え、カタカタと鱗を鳴らしながら威嚇をしはじめた
「フン、本来悪魔とは欲望に忠実なものだ。妾の首が欲しいなら受けて立ってやる!」
エキドナは遠目に見ても大きく、体長20メートルは超えるであろう巨体だった
尻尾をたたみ、予備動作をすると目にも留まらぬ速度で跳躍し、右手に構えた杖を突き出してくる、杖の周りには無数の火の玉が生成され、同時に襲い掛かってきた
ミストが反応し、最前列まで走り、盾を構える
”聖騎士の盾”
ミストの盾から白く薄い膜が横に広がり、火の弾を受け止めていく
ボボボボン ガァァァン
直後エキドナの杖をミストが盾で受け止めエキドナの勢いは殺したものの、勇者たちの間を縫って後ろの壁に激突し、気を失った
「「「!?」」」
カーラ、ラミア、アンテがミストを見る
エキドナは杖を振り上げ、横に薙いだ
間にルーシーが入り、杖を受け止める
「お前たちには荷が重い。下がれ!」
「はわわわ、結界を展開しますぅ」
アンテが結界を張るのを見届けるとルーシーはエキドナの杖を弾き、エキドナはよろめきながら後ろへ下がる
(強くなったとはいえ上位の悪魔はまだ荷が重かったか)
「終わりにしよう」
「地の底に堕ちたかつての英雄クロケルに命ずる!地獄の底に眠りし汝が剣を我が刃に宿せ!」
ルーシーが刀を前にかざし、左手を鍔から切っ先へなぞっていくと刀身から白い煙が立ち上る、ルーシーは姿を消すとエキドナの首元へ現れ、刀を振るうとエキドナの首は離れ、血が出る間もなく全身が凍り付いた
…
神殿を出て、拠点へ戻るとカーラが側へ寄ってくる
カーラは少し悲しそうな顔をしていた
「今回もルーちんに助けられちゃったねー」
「ヒュドラを倒せるようになっただけでも成長しただろ」
ルーシーは優しく微笑み、慰めるように声をかけた
「それにエキドナも捧げればまた強くなるさ」
「そうだけどさーなんか貰ってばっかりで申し訳なくなっちゃって…」
「強くなって返してくれればいいさ、天と地よりも大きな差があるから今は一刻も早く強くなってくれ」
カーラは少しきょとんとした後、抗議する
「天と地よりも大きな差は言いすぎでしょー!すーぐ追いつくからねー!」
腕を組んで頬を膨らせるとそっぽを向いた
「その調子で頼む。俺と張り合える相手がいなくて寂しいんだ」
カーラはうつむき、情けなさそうな表情をすると顔を上げて唇をきゅっと締める
「うん!待ってて。ボクが最初にルーちんに勝つんだから!」
「期待してるよ」
アンテがこっそりと木の陰から出てくるとのしのしとルーシーとカーラの間に入ってくる
「おアツいですわぁ、わたしくしも混ぜて頂きたいですぅ」
「アンテ!いいとこで出てくるわねー」
カーラは困った表情をしながら拳を腰に当ててアンテを責めた
「いいところだったんですかぁ?愛のあるところアンテありですぅ、のけ者にされちゃう所だったんですぅ」
ワザとらしくアンテは胸を張り、腰を突き出し両手をピコピコと動かしてカーラをからかう
(アンテは絶対天然を装ってるだけだろうな…あざとい)
…
学園に帰って素材をそれぞれが供物に捧げた
上位の悪魔を素材にしただけあって雰囲気がまるで違う
もう一度エキドナと戦えばおそらくいい勝負をするであろうことが感じ取れた
ただし、まだ四人で戦う必要はある、一人ではまだ勝負にならないだろう
学園を出てから戻ってくるまで3週間ほどが過ぎており、さすがに皆疲れが見える。しばらくお休みと新しい加護に体を慣らす期間をまた設ける事になった
…
自室
就寝前、夜の静けさの中物思いにふけっていると、ふと勇者名の仕組みが気になった
(そういえば勇者名と女神の加護ってベルゼ貰ってないよな?なんで俺とベルゼだけ儀式をうけていないんだろうか…学園長なんてものがいるのか?俺たちの正体に気づいているのだろうか?明日カーラに聞いてみようか)
…
翌日
自室にいつも通りカーラが現れた
「ルーちーん!今日も来たよー!」
「入って」
カーラはいつも笑顔で入ってくる。そんなに楽しい事なんだろうか
「そういえばカーラ、勇育って学園長みたいな役職の人いるの?」
「いるよー?どうしてー?」
「いや。ちょっと気になって、会ったことないから」
「あーそうだねー、普段全然見ない。ボクも勇者名授かった時に一度会っただけ…あれ?ルーちん会ったことないの?他の女神に仕えてるからかなぁ?」
カーラは唇に指を当ててどことなく上を見ながら考える
「そっか、まぁ気にしなくていいよ」
「ふぅん、とりあえず朝食食べに行こうよ!」
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