うっすい壁のあっちとこっち

大月 けい

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えぴろーぐ

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 秋晴れの空の元、二人は里奈の部屋にいる。
 狭い部屋の片隅には天井近くまで高く積まれた段ボール。
 今日は有給を取った。なぜなら新居へ引っ越すための荷造り中だ。
「なんで前もって計画的にやらないんだ?」
「引継ぎとかで忙しかったんだからしょうがないでしょ?」
 返事をしてからは早かった。
 幼馴染ということもあり両家の顔合わせもパス。あっという間に話は進み、この秋で職場を退職することも決めた。
(さすがに元カレと仕事はしづらい)
 明後日が引っ越し日だ。
 いらない家具は処分した。問題はこまごまとした生活雑貨。
 次々に段ボールに詰めて積み上げていく。
 聡志も加わって、黙々と作業を終えたところである。
 冷たいお茶のペットボトルを手に溜息をついた。
 窓を開けると涼しい風が部屋を通り抜ける。
 大きく伸びをして見上げたのは抜けるような青空。
 気温はまだまだ夏の余韻を残す。
 ――通り抜けたのは風だけではなかった。
「……んっ……あっ……」
 お隣さんからの声。ナニの真っ最中のようで……。
「――――昼間っから。若いなぁぁ」
 いつの間にか歩み寄って背中から抱くように腕を回して呟くのは聡志だ。間近に綺麗な顔があって鼓動が跳ね上がる。
「ここ、壁薄いから、ねぇ」
 色っぽい声にさすがに里奈もちょっとだけひきつった顔になる。
「こんなの聞かされて平気じゃいられないね」
「だったら、こっちも聞かせちゃいますか?」
 意地悪く笑って背伸びして、聡志の顔を引き寄せて口づけた。
 壁は、ほどほど薄い方がよろしいようで。
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