凡人の俺が伝説の剣士に

こーちゃん

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第6話

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時間を伝えられていないサクヤであったが、少しでも皆を守る力が欲しいが為に朝早くから訓練している。
それを知らないナーサリーは、朝食をサクヤの宿舎へと持って入る。

「え?サクヤ君が居ない」

ナーサリーは、すぐさま村長の宿舎へと小走りで向かう。その道中クルージーに話し掛けられたが無視した。
流石のクルージーも落ち込むが、直ぐに切り替え技を教える準備を整えに、朝食を持って自身の宿舎へと入る。
周りからの声は無視しているが、挨拶はしっかりとしていた。

「おじいちゃん、サクヤ君に朝食持って行ったけど宿舎に居ないの!」

「本人から誰にも言うなと言われたが教えよう。彼は、朝早くからワシの宿舎に来て、今から1人で訓練するという事前報告をしに来たのだ」

「えっ!?めっちゃ尊敬であった!」

「そうだぞ!ナーサリーも百発百中出来るように訓練するのだぞ」

「はい、おじいちゃん」

ナーサリーは朝食を持って、サクヤの居る場所へと向かうのであった。
それから数時間が経ち、クルージーはナーサリーと共に、サクヤの場所へと着く。彼が訓練を始めてから約2時間が経過した後である。

「もう訓練しているのか!サクヤ君は、いつから特訓しているのだ?」

クルージーは笑顔で聞くと、彼から朝早くからと聞き、素直に驚く。

「それで、サクヤ君は何故強くなりたいと思うのか聞かせて欲しい」

先程とは打って変わり、真剣な顔で問う。
サクヤめ答えるかのように真面目になり、自分の思ってるとこを全て話す。
それには、クルージーも感動し自身も強くなると決意。

「しかし、この世の種族を守るというのは流石に難しいのでは?」

「俺は不可能を可能にする!」

「そっか!なら俺に、それを実現してみせてくれ!」

「あぁ、元からそのつもりだ」

「よし、ならば体力作りとして山の麓から村まで走りだ」

サクヤは体力がないという事が、クルージーは見た時から見破っていた。彼は、技の練習ばかりで体力作りはした事ない。
しかし、素直に山の麓へと駆けるサクヤ。
朝から晩まで休憩ありで続き、流石の彼もスタミナが切れ動けなくなっている。

「はぁはぁ……。」

「クルージー、流石に酷いよ」

「ナーサリー、男の訓練に入って来るな。彼は、この世の種別を守ると言った。俺は、それに答えただけだ」

「上等だ!ナーサリーは口出しするな」

「でも、サクヤ君が心配で……。」

「これは俺が強くなる為の修行だ。今後一切の邪魔は許さない」

ナーサリーは彼の目が本物だと気付き、口出しするのを辞める。
訓練1日目が終わり、クルージーはサクヤを宿へと連れて行こうとするが、彼はこれを拒否。1人で立とうとする。

「1人で戻る。どうせ、これも体力作りの為に必要なんだろ!」

「よく分かったな。俺は邪魔しない」

「サクヤ君、流石に1人では戻れないんじゃあ……。」

「黙れ、俺は1人で戻る」

ナーサリーは帰ったフリをして木陰に隠れて、サクヤを見守っていた。
しかし彼は足が動かず、そのまま倒れている。それでも必死に立とうとした。
クルージーとの訓練が終わってから、約1時間が経過してから、ようやくの思いで立てるようになり、自力で帰る。

「サクヤ君、ご飯持って来たよ」

「ありがとう、そこへ置いといてくれ」

ナーサリーは言われた場所へ置き、背を向けて寝ている彼を見てから部屋から出る。

·····大丈夫かなぁ·····

ナーサリーは心中で思い、自身の部屋に戻って行く。




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