俺の上司は完璧な恋人

豆ちよこ

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拗れた糸の解き方①

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 これは……。 想像以上だ。

 何だろう、この気持ち。 
 あ、そうだ。弟妹が家中の壁に、クレヨンで落書きした時と同じ感覚だ。
 確かあの時も今と同じく、暫く放心状態になった。これは、あれだ。現実を受け入れる迄、脳に猶予を与えているんだ。
 脱ぎ散らかされた衣服。放置された新聞や雑誌。ザラつく床。散らばる可燃ゴミ。
 あ、なんだ。こんなの全然大した事じゃないわ。ちょっとした大掃除くらいの事だ。
 それにほら。クレヨンの落書きは落とし方を調べる手間が掛かったが、ここには持ってる知識だけで対応出来る事だらけじゃないか。
 うん。どうって事はないな。

 それより…ーーー


「あのぉ…。ご、ごめんなさいね、こんなに散らかったままで。ほ、ほら。この人、片付けとか掃除とか苦手でしょ? 私もたまにしか来られなくて、 ……って! ち、ちょっと、和巳ちゃんも何とか言ってよぉ!」

「いや、あの。こちらこそ、すみません。突然、連絡もせず訪ねてしまいまして……」

 この綺麗な女性の方が厄介だ。対処の仕方も接し方も分からない。
 というか、この人……、誰?
 



 金曜の告白を、まったく本気にしていなかった野崎さんが気になって、居ても立っても居られず、昨日の土曜日一日中悩んだ末に、こうしてアポ無し訪問をしてしまった。
 非常識なのは分かっていたが、今日中に野崎主任に手渡さなきゃならない資料があると、課長に嘘をついてこのマンションの住所を聞き出した。
 何故だか、時間を置いてはいけない気がした。悠長に週明けまで待っていたら、また要らぬ言い訳をさせてしまいそうで、それだけは避けたかった。

 『気持ち悪い思いをさせて悪かった』

 あんな、自分を傷付ける様な事を、もう二度と言わせたくない。
 そう意気込んで来てみたはいいが、インターフォンに応答した女性の声に狼狽えた。更に玄関を開けてくれたのもこの女性で、怪訝な顔で『どなた?』ときたもんだ。しかもジーンズにトレーナーというだいぶラフな服装。薄く化粧はしているが、こんな美人がすっぴん同然で外を歩くなんて思えない。まるで、ここに住んでますが?とでも言わんばかりだ。挙げ句に『和巳ちゃん』等とさも親しげに呼ぶところをみるに、ただならぬ関係なのではと邪推してしまう。
 一人暮らしの独身男性の部屋。しかも日曜日の、まだ朝に近い時間なのに女性の来客。普通に考えれば恋人かとも思ってしまうが、本人も言うように野崎さんはゲイで、女性の恋人なんて想像もしてもいなかった。

「えぇ…、と。 お、お茶! お茶でも淹れましょうね」
「あ、いえ。 あの、お構いなく」

 どうしよう…。こんな展開は予想していなかった。昨日散々考えて、とにかく野崎さんと話をしなければ、その一心だけでここまで来てしまった。来れば何とかなるだろうと、安易な発想だった。
 昔から、思い立ったが吉日と言わんばかりの猪突猛進型で、思慮深さに欠けていると小言を貰う事も多かった。それでも大概の事は何とかなったし、最終的にはこれで良かったと思える結果に落ち着く。逆に散々考え抜いてから行動しようとすると、思わぬ失態を招いた挙げ句、必ず後悔がついてきた。
 差し当たっていうなら、この野崎さんとの拗れそうな関係が正にそれだ。
 あの夜起こった出来事を、一度は無かった事にしようと逃げたからおかしくなったんだ。いつもの単細胞っぷりを発揮して、翌朝ペロッと言ってしまえばよかったのだ。
 貴方は俺が好きなんですか?、と。
 なのにビクビクと様子を伺い、どう向き合おうかと時間を掛け過ぎた結果、言わせなくてもいい自虐を吐かせてしまった。
 もう同じ失敗はしたくない。
 けど、第三者がいる前でどう切り出す? 
 こうやって考え込んでいる事自体、悪手のような気がしてくる。どうにかこの状況を打開する策はないのか。何で俺には回る脳ミソが付いてないんだよ。
 居心地の悪さに引き攣りそうになる頬を引っ叩きたくなる。どうにか気合いを入れ直したい。何でもいい。何かきっかけさえあれば………。


「あのぉ、すみません。お茶、切らしてるみたいで…。私、ちょっとコンビニ行って来ますね」
「いえ、あの。本当にお構いな……」

「おい、美花!待って、行くなよ!」

 ーーー…………は?

「申し訳ありませんがっ! ミカさん。主任と二人で話がしたいので、少しお時間を頂けませんか?」
「え!? あ、…は、はい」

「はぁ!? 俺は話なんか無いぞ!し、仕事の事なら、明日会社で…ーー」
「先日の件!と。申し上げましたよね、主任」
 
「ぐっ、……、」

「あ、あの、それじゃ! 私、一度家に帰るから。 ま、また後で来るわね!」
「み、美花っ、」
 
「主任っ! そこへ座ってください」

 『ミカ』さんに追い縋ろうとする野崎さんを押し留め、「それじゃあ」と部屋から去る彼女を、頭を下げて見送った。

 何が『待って』だ。『行くなよ』だ。
 あの台詞を聞いた瞬間、プチッと何かがキレた。グダグダ考えても拉致が明かない。
 ギロッと野崎さんが睨んでくる。申し訳ないが、今の貴方じゃ怖くも何ともない。そんな鳥の巣みたいな頭して。
 笑ってしまいそうになるのをグッと堪えて、毅然と言い放つ。

「そんな格好で睨まれても、凄味なんか無いですよ」
「ーーっ、…ふん!」

 鼻息荒くそっぽを向いた野崎さんは、そのままソファに膝を抱えて蹲った。
 来た時からずっと気になって仕方無かったのだが、こうして改めて観察すると、これまた予想外のだらしなさだ。
 何年も着古したであろうヨレヨレのTシャツに、こちらも年季の入ったダルダルのスウェットパンツ。髪なんかあちこち跳ねて最早芸術の域だ。いつも会社で見てるあのパリッとした上司と、本当に同一人物なのかと疑ってしまう。こんな姿を平気で見せられる『ミカ』さんは、やはりただならぬ関係なのじゃなかろうか。

「野崎さん。あの、先程のミカさんとは、その…、彼女とか、そういうご関係なんですか?」

 まさかな、とは思いつつも確認してみる。

「………………お前には関係ない」

 こりゃ相当ヘソを曲げてしまったな。
 膝に頭を付けて顔も見せてくれない。どうしたもんか…。

 それにしても、と、ぐるりと部屋を見渡した。

 何となく想像はしていたが、あれだけ卒なく仕事を熟す姿を知っているだけに、正直驚きを隠せない。
 汚部屋、とまではいかないが、そこかしこに散らかった衣服やタオル。雪崩を起こした、読み終えたであろう新聞や雑誌の束。ソファの前に置かれたローテーブルの上には、ビールの空き缶やペットボトルが雑然と並べられ、一部崩壊して床に転がっていた。
 男の一人暮らしとは言え、流石にちょっと散らかり過ぎじゃなかろうか。
 何個かゴミ袋が重ねてあるところを見ると、先程まで彼女が掃除をしていたのかもしれない。
 別に潔癖な訳ではないが、ここまでゴチャついた部屋では、落ち着いて話も出来ない。
 救いなのは、変な匂いがしない事だな。生ゴミらしい物は今の所見掛けない。おそらく料理なんかはしないのだろう。あの積まれた半透明のゴミ袋の中身から察するに、この人の主食はカップ麺だ。
 くそ……。
 俺が美味いものを食わせてやりたい。あの芸術的な寝癖も直してやりたい。
 それに何だか物凄く頼りない。
 いつもはあんなに頼り甲斐があって、大きく見えていた憧れの上司の姿が、音を立てて崩れていく。人は見掛けに寄らないとは言うけど、ここまでギャップのある人もそうそういないだろう。
 ヨレヨレのTシャツから浮き出る背骨が痛々しい。こんなに痩せてたなんて気付かなかった。きっと碌な飯も食ってないんだろうな。カップ麺ばっかりじゃ身体に良くないですよ。
 ああ…、駄目だ。世話焼きの血が騒ぐ。もう我慢出来ないっ!!

「野崎さん。話をする前に、この部屋、片付けてもいいですか?」

「ーーー……、は?」
 
「いや、もう片付けますから。そこでじっとしててください」
 
「なっ? ーーえ? ちょ……っ、おいっ!」

 言いながら上着を脱ぎ、転がってたクリーニングハンガーに引っ掛けて鴨居に吊るすと、Yシャツの袖を捲り上げ、キッチンカウンターに置き去りにされていたゴミ袋を数枚取り出し腰に挟み、とりあえず目に付いた所のゴミから拾い出した。

「お、おい! そんな事、しなくていいっ」
「俺が落ち着かないんです。黙って座っててください」 

「そんな訳にいくか!」
「掃除機どこです? あ、あとモップかフローリングワイパーあります?」
 
「へ? あ、ある。…と思う、けど」
「すぐ持って来てください!」
 
「あ、…はぃ」

 渋々といった体でノロノロ動き出す野崎さんを尻目に、空き缶、ペットボトル、紙屑と、どんどん袋へ詰めていく。
 新聞と雑誌をとりあえず空いたスペースに積み直し、書籍や文庫本はローテーブルの上に重ねていった。
 所々に小銭が散らばっているもんだから、いきなり掃除機をかける訳にもいかないな。落ちていたマグカップを一先ず小銭入れ代わりに使わせて貰おう。
 それにしても、よくこんな部屋で過ごせるもんだ。一体いつから掃除してなかったんだ。よく見れば部屋の角のあたりに、綿埃がフヨフヨしている。健康の為にも一刻も早く、この環境から救い出さなければならないぞ。
 ソファの上が定位置なのか、そこだけ物もなくぽっかりと空いている。やたらとその周りに使い終えたらしいタオルや服が集まっているから、まるで何かの巣のようだ。あのソファに蹲った野崎さんの姿が蘇る。何だか少し切ない。

 
「…もう、いい」
 
 振り返ると野崎さんが、掃除機とフローリングワイパーを抱えて立っていた。
 ズリ落ちそうな膝の出たスウェットパンツに、妙ちくりんなイラストの付いたヨレヨレTシャツをダボッと着て、斜め下向きに視線を落とした野崎さんは、何だか迷子の子供みたいだ。色々と切ない。胸の柔らかい部分がキュッとする。

 『野崎さんは、あのギャップがいいんだろ』

 以前、松田が言っていた言葉を思い出す。
 ギャップ有り過ぎだろ。こんなの放っておけるもんか。

「ありがとうございます。借りますよ」
「もういいって言ってるだろ! 自分でやる」
 
「……そうですか。なら俺、洗濯物洗うんで洗濯機お借りします。 洗面所ですよね?」
「っ!、いっ、いいっ!それも自分でやるからっ!」
 
 洗濯機の場所を聞いただけなのに、もの凄く慌て出した。何だろう。そんなに見られたくないのか? へぇ…。こんなに散らかし魔の癖に、今更恥じる事もないだろうに。
 
「この部屋見た後ですよ? 今更何が出てきても驚きませんから」
「う、うるさいっ! お前、もう帰れよっ」

「嫌です。このまま帰ったら、貴方絶対掃除なんかしないでしょ。それに俺は、野崎さんと話をしに来たんです」
「だからっ! 俺には話す事なんか無いと言ってるだろ」
 
「貴方には無くても、俺にはあるんです。 もう、邪魔するならそこどいてください」

 両手の塞がっている野崎さんを押し退け、さっさと洗面所らしき場所に向かう。ガシャンと掃除機を投げ出した家主が、すかさず俺の行く手を阻んだ。リビングを抜けたすぐ左側のドアの前で、両手を広げ通せんぼしている。どうやらここが洗面所らしい。
 
「いい、って言っただろ! ーーひっ! ちょ、なっ、何する!?」
「はいはい。 どいてください」

 両脇に手を差し込み持ち上げて、邪魔ばかりする煩いお邪魔虫をリビングの“巣”に戻す。ぽい、と投げ置き急いで洗面所に向かう。
 ガラッとドアを開けて中を見た。確かに雑然とはしているが、リビングに比べたら随分マシだ。寧ろ清潔感すらある。これなら風呂場もそう汚れてはいないだろう。ホッと胸を撫で下ろし、ならば何故、野崎さんはあんなに慌てていたのか不思議になった。


「……ん?」

 お目当ての洗濯機を見付けて驚いた。そこに鎮座していたドラム式の最新型洗濯機は、スイッチ一つで洗剤投入から乾燥まで終わらせる、超ハイスペック機能の優れ物。
 ーーーと、それに驚いた訳じゃない。問題はその中身だ。

「なるほどね…。だから靴下が左右ちぐはぐだったのか」

 以前、野崎観察の中で発見してしまった左右別々の靴下。それとくしゃくしゃのハンカチ。その理由がこれか。

「そりゃ、ここから引っ張り出してんだから、ああなるよな」

 クスリと笑いが込み上げた。
 何だか面白くなってきたぞ。
 会社では鬼の上司が、毎朝洗濯機から靴下とハンカチを取り出して身に付けてる姿を想像したら、何とも滑稽で笑えるじゃないか。

 可愛いぞ。これは想像の斜め上をいく可愛さだ。これを隠そうとドアの前で通せんぼをするなんて、何だかちっとも憎めない。自分の性癖が若干人とはズレている事は自覚していたが、ここまで理想を具現化させた様な人がいたなんて奇跡だろう。さっきキュッとしたところが、今度はキュウンとしてきた。
 沸々と湧き上がるこの感情を、言葉に表すならやっぱりあれだ。

  ーーー愛しい

 構い甲斐のある人だとは思っていたが、これ程とは予想していなかった。

 野崎さん。俺、やっぱり貴方が好きですよ。
 
 どうしたらこの気持ちが伝わるんだろう。謙ってお願いしても駄目だ。無理に追いかければ逃げて行くだけだし、かと言って待っていても、その背中は遠ざかるばかり。
 迷っているのは性に合わない。正攻法では駄目だと、最初から分かっていた。こうなったら頭で考えるより行動するのみだ。そう信じて、今日だってここまで来たんだし。
 任せてください。家事なら趣味にするくらい得意なんです。こんな機械に負けませんから。
 このハイスペックな洗濯機のように、野崎さんが俺を必要だと感じてくれたらいい。
 
「お前なんかに、負けないからな」

 物言わぬ箱型の家電に闘志を漲らせ、Yシャツの袖をもう一度捲り上げた。
 
 

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