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2章-2節.ヘルデス家の争続に巻き込まれた私は…
43.血塗られた遺産を見つけました。
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「………(ゴシゴシ)」
白昼夢でも見てるのだろうか。扉の奥は、これまでの部屋とは異質な雰囲気を醸し出していた。
それもその筈だ。部屋に並べられた物は、どれもこれもが前世で見覚えのある代物だった。
扇風機、冷蔵庫、洗濯機……素材やデザインは違うようだが、現代日本における『三種の神器』がそこにあった。
壁際には本棚が並んでおり、ファイリングされた資料らしきものが仕切り板とインデックスにより整理されている。
部屋の中央の作業台らしき所にも様々なものが並べられているが、医療器具……それも外科の道具類が中心の様だ。
「おぉ…(スタスタスタ……)すげぇな。何だここは?」
テルマも興味深々の様だ……って、先入ってるし…
「見た感じ、何かの工房か?」
「そうみたいだな…(スタスタ)外科的治療具やら設備の試作品……それに壁の本棚にはその資料まであるのか。」
「えっ?今なんて?」
「?……外科的治療具やら設備の…」
「外科の道具があるのか??」
「あ…あぁ、あるけど。」
テルマは、目の前のそれに気付いてる様子が無い。
「外科の道具だけじゃありませんよ。」
いつの間にか本棚を物色していたオルブが話に切り込んで来た。こいつも遠慮が無くなって来たな。
「さっきアレクさんが言ってた資料ですが、工作の資料だけじゃないみたいです。これなんか、解剖初見です。(ペラペラ)しかも、記述されたのが数十年以上も前みたいです。」
「数十年前…って言うと、確か今よりもっと穢れ信仰が酷くて外科的処置が冷遇されていた時だっけか。」
「えぇ、当時のそういった書物は焚書されてほとんど残っていません。焚書される前に誰かがここに資料を運び込んだんでしょうね。」
なんて罰当たりな……と思ったが、普通に考えてあまり気分が良いものでもないのか。
実際、図書館の書物は薬の調合や薬草の生息地についてのものばかりで解剖初見やら臓器のスケッチみたいなものは無かった。公開されて無いだけで禁書として保管されてるのかもしれないが、人目に付かないようにされてるのは確かだろう。
そう考えると、テルマが外科の道具について詳しく無くても不思議はないのか。
「……なるほど。血塗られた遺産ってのは、こういう事だったのか。」
「は?」
「テルマさん?何の話ですか?」
「例の馬鹿共に問い詰められた時に、爺さんが『ワシの真の遺産は血塗られた代物だ!お前たちには到底扱えん!!』って言ってたんだよ。俺はてっきり血で血を洗う様な諍いの元になるって意味だと思ってたんだが…」
「実際は物理的に血に触れる様な代物って意味だったわけか。」
そうなると、あの日に価値が分かるはずもないって言ったのは、血による穢れを嫌う連中には…って意味も含んでいたのかもしれない。
「貴族の家からこんなものが見つかったとなったら、それこそ大問題だ。連中からしてみれば、何としても抹消したかっただろうな。」
「じゃあ、さっきのお宝達すらもただの目眩しかもしれないって事か?」
「だな。代々、技術を受け継ぐ人間にしか明かされてなかったんだろう。」
「けど、一族の中では誰も受け継ぐつもりが無かった。」
「だから、アレクさんに受け継がせようとしたわけですか。」
「どうだろう……だからって会って数週間の子供に託すかな?もっと適任がいるだろうし……」
まぁ、今となってはマサールさんの真意を知ることも出来ないしな。
「まぁとにかく、とんでもない宝を受け取っちまった事だけは確かだな。」
……全くだ。
実は、ヘルデス邸の連中が遺産探しに躍起になっているのを見ながら心の底で思っていた。美術品や金貨、権利書なんて目じゃない。亡き友が贈ってくれたこのブローチこそが、本当の宝であり遺産だ……と。
繰り返すが、本当にその通りになってしまった。これまた随分と大層なものを頂いてしまったものだな。
白昼夢でも見てるのだろうか。扉の奥は、これまでの部屋とは異質な雰囲気を醸し出していた。
それもその筈だ。部屋に並べられた物は、どれもこれもが前世で見覚えのある代物だった。
扇風機、冷蔵庫、洗濯機……素材やデザインは違うようだが、現代日本における『三種の神器』がそこにあった。
壁際には本棚が並んでおり、ファイリングされた資料らしきものが仕切り板とインデックスにより整理されている。
部屋の中央の作業台らしき所にも様々なものが並べられているが、医療器具……それも外科の道具類が中心の様だ。
「おぉ…(スタスタスタ……)すげぇな。何だここは?」
テルマも興味深々の様だ……って、先入ってるし…
「見た感じ、何かの工房か?」
「そうみたいだな…(スタスタ)外科的治療具やら設備の試作品……それに壁の本棚にはその資料まであるのか。」
「えっ?今なんて?」
「?……外科的治療具やら設備の…」
「外科の道具があるのか??」
「あ…あぁ、あるけど。」
テルマは、目の前のそれに気付いてる様子が無い。
「外科の道具だけじゃありませんよ。」
いつの間にか本棚を物色していたオルブが話に切り込んで来た。こいつも遠慮が無くなって来たな。
「さっきアレクさんが言ってた資料ですが、工作の資料だけじゃないみたいです。これなんか、解剖初見です。(ペラペラ)しかも、記述されたのが数十年以上も前みたいです。」
「数十年前…って言うと、確か今よりもっと穢れ信仰が酷くて外科的処置が冷遇されていた時だっけか。」
「えぇ、当時のそういった書物は焚書されてほとんど残っていません。焚書される前に誰かがここに資料を運び込んだんでしょうね。」
なんて罰当たりな……と思ったが、普通に考えてあまり気分が良いものでもないのか。
実際、図書館の書物は薬の調合や薬草の生息地についてのものばかりで解剖初見やら臓器のスケッチみたいなものは無かった。公開されて無いだけで禁書として保管されてるのかもしれないが、人目に付かないようにされてるのは確かだろう。
そう考えると、テルマが外科の道具について詳しく無くても不思議はないのか。
「……なるほど。血塗られた遺産ってのは、こういう事だったのか。」
「は?」
「テルマさん?何の話ですか?」
「例の馬鹿共に問い詰められた時に、爺さんが『ワシの真の遺産は血塗られた代物だ!お前たちには到底扱えん!!』って言ってたんだよ。俺はてっきり血で血を洗う様な諍いの元になるって意味だと思ってたんだが…」
「実際は物理的に血に触れる様な代物って意味だったわけか。」
そうなると、あの日に価値が分かるはずもないって言ったのは、血による穢れを嫌う連中には…って意味も含んでいたのかもしれない。
「貴族の家からこんなものが見つかったとなったら、それこそ大問題だ。連中からしてみれば、何としても抹消したかっただろうな。」
「じゃあ、さっきのお宝達すらもただの目眩しかもしれないって事か?」
「だな。代々、技術を受け継ぐ人間にしか明かされてなかったんだろう。」
「けど、一族の中では誰も受け継ぐつもりが無かった。」
「だから、アレクさんに受け継がせようとしたわけですか。」
「どうだろう……だからって会って数週間の子供に託すかな?もっと適任がいるだろうし……」
まぁ、今となってはマサールさんの真意を知ることも出来ないしな。
「まぁとにかく、とんでもない宝を受け取っちまった事だけは確かだな。」
……全くだ。
実は、ヘルデス邸の連中が遺産探しに躍起になっているのを見ながら心の底で思っていた。美術品や金貨、権利書なんて目じゃない。亡き友が贈ってくれたこのブローチこそが、本当の宝であり遺産だ……と。
繰り返すが、本当にその通りになってしまった。これまた随分と大層なものを頂いてしまったものだな。
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