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1章-1節.薬師の名門ブレルスクに入学した私は…
15.授業の時間まで話を聞きます。
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「………遅いな。」
ここは教室。時刻は一限目の始まる10分前。
先日の一件により、1週間後の退学が確約された。本来なら図書館に直行しているところだが、テルマとの約束と別の要件で教室に来ている。
「(ガラララッ)」
テルマとの約束……それは、教員が授業を放棄したら代わりに私が授業を執り行うというものだ。
「(ピシャッ)」
ただ、今日は授業をする事はないと思う。
「(スタスタスタスタ)」
あの時は臨界点に至って叫んだが、そもそも声を荒げるのは私の本意じゃない。だから、私から教員にイチャモンを付けるつもりもない。
「(スタッ)」
よって、向こうから話しかけてでも来ない限り、接点なんて出来やしない。そして、向こうからしてみれば私は何十人といる生徒の一人でしかない。これなら、今日も退屈な公演を受けることになるだろう。
「君かね?先日ベルモンド氏を教室から追い出したという生徒は?」
……これが、フラグってやつか?
「いえ、違います。それに、勝手に教室を出て行ったので、追い出した人はいません。」
「質問を変えよう。ベルモンド氏の過ちを指摘したのは、君かね?」
「それでしたら、私です。何か御用でしょうか?」
「その事なのだが……」
もしや、この場で退学を言い渡されるのだろうか。だとすれば、願ったり叶ったりだ。
「よくぞやってのけたと思ってな。」
「……え?」
意外な反応だ。嫌われてると思ってたけど、そうでもないのか?
「先日は驚いたよ。半狂乱のベルモンド氏が飛び込んできて頑なに君の退学を学長に嘆願していたものでね。」
「……大変、お騒がせ致しました。」
「いやいや、実に面白いものが見れた。彼の無知蒙昧さにはワシ達も手を焼いていたからな。」
同僚にまで周知されてたのか。だとすれば、控えめに言って道化だな。
「そこでどうだろう?ワシのゼミに入るつもりはないか?」
「え?」
「君は先日、教科書の内容との違いを指摘したそうじゃあないか?」
「それが何か?」
「実にエクセレントだ。君のやり方をとても好ましく思うよ。何しろ、先人達の言葉を今に伝えるという事なのだからな。」
「………そうですか。」
「しかし、勘違いをしてはいけないよ?君は文献と教科書との違いを浮き彫りにしただけだ。」
……この流れ、覚えがあるな。
「よってベルモンド氏が敗北した相手は君じゃない。彼はこの文献に綴られた偉人達の叡智に敗北したのだよ。」
敗北って…そんなはっきり言っちゃうんだ。どんだけ嫌われてんだよ。
「即ち、君は勝ったのでは無い。先人達に勝たせてもらったということなのだよ。」
やっぱりこの流れだったか。
この教師は、事あるごとに偉人や有名人を例に挙げてこちらを窘めようとしてくる。このまま授業時間いっぱい話すつもりだろうか。
「わかるかね?君は、今こうしている間も、偉人の威を借りてワシと対話しているに過ぎないのだよ。」
「存じております。」
しかし、この程度で噛み付くつもりもない。そもそも、言ってることは間違っていないからな。
勝たせてもらった……か、言い得て妙だ。
昨日のあれは、あの男の自爆も同然だ。私のやったことは、ドミノタワーを小突いた程度の事でしかない。
「うむ、実に素直だ。尚のこと気に入った。決めたよ。何が何でも君をワシのゼミに引き込む。」
「あの……その事で質問、宜しいでしょうか?」
「何だね?」
「ゼミって、3年生になってから入るものではありませんか?私は入学してまだ1ヶ月も経っていませんよ?そもそも、私は1週間後に退学になるのでは?」
「心配無用だ。君には飛び級してもらい、明日からワシのゼミに通って貰うからな。」
「………は???」
「ここに飛び級の申請書とゼミの申請書を用意した。直ぐにでも書いて貰おうか。」
「えっ!?」
何というか、行動力が凄いな。
「それと、君の退学についてだが、ワシは元より反対だ。そもそも、以前からあの男の言動は目に余るものがあった。学長含め他の教師もさしてまともに聞きはしてないさ。」
「………」
予想外の事態だ。別にそのまま退学にしてくれたって良いんだけどな。
てか……嫌われ過ぎだろ、あの男。
けど、これでカンナさんに余計な心配をさせずに済む。それに、飛び級すれば卒業までの期間が2年早くなる。その分故郷にも早く帰れる。
そう考えると悪い話でもないのかもしれない。
「(スッ)」
さっさと書いてしまおう。授業が始まる前に……
《キーンコーンカーンコーン》
予鈴が鳴る。授業開始の合図だ。
「………予鈴が鳴りましたね。では、書類は授業の後に………」
「あぁ、構わん。今日は授業を行うつもりはないからな。」
「……何故ですか?」
「そんなの、無駄だからに決まっているだろう?」
そんなはっきり言っちゃうんだ。あの授業が無意味って。
「君は、教科書の不備を見つけて、それを教師に指摘した。普通ならそんな事が出来る生徒は居ない。きっと、毎日図書館で予習復習をしっかりしてきたのだろう。」
いや……図書館には全然通ってないんだけどな。
「それに比べて、なんだ貴様らは。揃いも揃って情けない。」
「「「「「(ザワザワッ)」」」」」
「!……?」
急に空気が変わった。
ここは教室。時刻は一限目の始まる10分前。
先日の一件により、1週間後の退学が確約された。本来なら図書館に直行しているところだが、テルマとの約束と別の要件で教室に来ている。
「(ガラララッ)」
テルマとの約束……それは、教員が授業を放棄したら代わりに私が授業を執り行うというものだ。
「(ピシャッ)」
ただ、今日は授業をする事はないと思う。
「(スタスタスタスタ)」
あの時は臨界点に至って叫んだが、そもそも声を荒げるのは私の本意じゃない。だから、私から教員にイチャモンを付けるつもりもない。
「(スタッ)」
よって、向こうから話しかけてでも来ない限り、接点なんて出来やしない。そして、向こうからしてみれば私は何十人といる生徒の一人でしかない。これなら、今日も退屈な公演を受けることになるだろう。
「君かね?先日ベルモンド氏を教室から追い出したという生徒は?」
……これが、フラグってやつか?
「いえ、違います。それに、勝手に教室を出て行ったので、追い出した人はいません。」
「質問を変えよう。ベルモンド氏の過ちを指摘したのは、君かね?」
「それでしたら、私です。何か御用でしょうか?」
「その事なのだが……」
もしや、この場で退学を言い渡されるのだろうか。だとすれば、願ったり叶ったりだ。
「よくぞやってのけたと思ってな。」
「……え?」
意外な反応だ。嫌われてると思ってたけど、そうでもないのか?
「先日は驚いたよ。半狂乱のベルモンド氏が飛び込んできて頑なに君の退学を学長に嘆願していたものでね。」
「……大変、お騒がせ致しました。」
「いやいや、実に面白いものが見れた。彼の無知蒙昧さにはワシ達も手を焼いていたからな。」
同僚にまで周知されてたのか。だとすれば、控えめに言って道化だな。
「そこでどうだろう?ワシのゼミに入るつもりはないか?」
「え?」
「君は先日、教科書の内容との違いを指摘したそうじゃあないか?」
「それが何か?」
「実にエクセレントだ。君のやり方をとても好ましく思うよ。何しろ、先人達の言葉を今に伝えるという事なのだからな。」
「………そうですか。」
「しかし、勘違いをしてはいけないよ?君は文献と教科書との違いを浮き彫りにしただけだ。」
……この流れ、覚えがあるな。
「よってベルモンド氏が敗北した相手は君じゃない。彼はこの文献に綴られた偉人達の叡智に敗北したのだよ。」
敗北って…そんなはっきり言っちゃうんだ。どんだけ嫌われてんだよ。
「即ち、君は勝ったのでは無い。先人達に勝たせてもらったということなのだよ。」
やっぱりこの流れだったか。
この教師は、事あるごとに偉人や有名人を例に挙げてこちらを窘めようとしてくる。このまま授業時間いっぱい話すつもりだろうか。
「わかるかね?君は、今こうしている間も、偉人の威を借りてワシと対話しているに過ぎないのだよ。」
「存じております。」
しかし、この程度で噛み付くつもりもない。そもそも、言ってることは間違っていないからな。
勝たせてもらった……か、言い得て妙だ。
昨日のあれは、あの男の自爆も同然だ。私のやったことは、ドミノタワーを小突いた程度の事でしかない。
「うむ、実に素直だ。尚のこと気に入った。決めたよ。何が何でも君をワシのゼミに引き込む。」
「あの……その事で質問、宜しいでしょうか?」
「何だね?」
「ゼミって、3年生になってから入るものではありませんか?私は入学してまだ1ヶ月も経っていませんよ?そもそも、私は1週間後に退学になるのでは?」
「心配無用だ。君には飛び級してもらい、明日からワシのゼミに通って貰うからな。」
「………は???」
「ここに飛び級の申請書とゼミの申請書を用意した。直ぐにでも書いて貰おうか。」
「えっ!?」
何というか、行動力が凄いな。
「それと、君の退学についてだが、ワシは元より反対だ。そもそも、以前からあの男の言動は目に余るものがあった。学長含め他の教師もさしてまともに聞きはしてないさ。」
「………」
予想外の事態だ。別にそのまま退学にしてくれたって良いんだけどな。
てか……嫌われ過ぎだろ、あの男。
けど、これでカンナさんに余計な心配をさせずに済む。それに、飛び級すれば卒業までの期間が2年早くなる。その分故郷にも早く帰れる。
そう考えると悪い話でもないのかもしれない。
「(スッ)」
さっさと書いてしまおう。授業が始まる前に……
《キーンコーンカーンコーン》
予鈴が鳴る。授業開始の合図だ。
「………予鈴が鳴りましたね。では、書類は授業の後に………」
「あぁ、構わん。今日は授業を行うつもりはないからな。」
「……何故ですか?」
「そんなの、無駄だからに決まっているだろう?」
そんなはっきり言っちゃうんだ。あの授業が無意味って。
「君は、教科書の不備を見つけて、それを教師に指摘した。普通ならそんな事が出来る生徒は居ない。きっと、毎日図書館で予習復習をしっかりしてきたのだろう。」
いや……図書館には全然通ってないんだけどな。
「それに比べて、なんだ貴様らは。揃いも揃って情けない。」
「「「「「(ザワザワッ)」」」」」
「!……?」
急に空気が変わった。
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