薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。〜少年アレクの倫理で殴る学園ファンタジー〜

鮒捌ケコラ

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2章-1節.授業を荒らして停学処分を受けた私は……

18.ギルドマスターに会いに行きました。

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「………フゥ………」
「どうした?随分疲れた顔してんな。」

 ここは冒険者ギルドの待合室。前日の件で呼び出しを受けてヴラド と共にやって来た。

「いや……色々あってな。」

 あの後、風呂上がりの彼女とばったり遭遇して再び硬直。夕食後に働こうとする彼女を無理矢理寝かし付けて私も寝床に着いた。

 そして、朝起きると彼女は……私より早くに起きて館中の掃除を済ませ、朝食まで用意していた。

 献身的な所には好感が持てるが、いつ倒れるか気が気でないからやめて欲しい。

 まぁ、現時点では特に不調もなさそうだし好きにさせる事にした。

 ……というか、彼女の労働に対する執念に根負けしたって方が正しいかもしれない。

 そうしてカンナとモコに館の留守を任せ、こうして冒険者ギルドに来た。

「へぇ……何があったんだ?」
「(フィッ)……聞かないでくれ。」
「ははん?さては、女絡みだな。」
「………」
「でもって、昨日の用事もそれだろ。」
「………」
「冗談だって。んなわけ……………」
「…………」
「……マジで?」
「………当てる気が無いなら、当てるな。」

 ほんと、勘が鋭いな。

「………ただでさえ、この後に頭を抱えたくなるイベントが控えてるんだから。」
「そんなに憂鬱か?」
「当たり前だろ?結果的とはいえ、Dランク冒険者を3人も再起不能にしたんだ。私もライセンス剥奪……いや、もしかしたら収監もあり得る。」
「ウチのギルマスはそんな理不尽じゃないから安心しろって。」
「そういえば、ギルドマスターってどんな人なんだ?」
「……あ~、まぁ悪い奴じゃないな。」
「随分、含みがある言い方だな。」
「実力は確かだ。熟練の元Aランク冒険者で、人望もある。現役当時の通り名は『女傑』だ。」
「女傑?女の人なのか?」
「あぁ、貴族社会と違って冒険者の世界は完全な実力主義だからな。」

 それはちょっと、皮肉が効き過ぎじゃないか?

「そういえば、今は何時だ?」

 件のギルドマスターギルドの長はまだ来ていない。そろそろ約束の時間だと思うが、対面したソファーは空席のままだ。結構、時間にルーズなのかもしれないな。

「えっと……あぁ、今ちょうど正午に……」
「(バンッ)」
「っ!?」
「おぉ、滑り込みセーフだな。」

 ……なる前に、扉を蹴破る様にして誰かが入って来た。

「(シュゥゥゥゥ)……すまない、遅れた。」
「そうか?俺らの時計じゃ、丁度だぜ。」
「いいや、約束を取り付けた私は、約束の10分前に来て君たちを待つべきだった……(ペコッ)本当にすまない。」

 見ると、麗人が赤い長髪をたなびかせ、こうべを垂れていた。

 を片手に。

「…………」
「あいっかわらず生真面目だなぁ。別に良いじゃねぇか。」
「何を言っている。ギルドの長だからって……いや、長だからこそ、こういう規則や礼節はきちんと守らねばならない。誰であろうと、違反なんて許される事ではないんだ。」

 高潔な人だという事はわかる。だが、ドアは守らなくて良いのか?壊しても許されるものなのか?

「ギルマス。今日はどうして遅れたんだ?」
「いやなに、(ストストスト)ちょいとばかし馬鹿共にお灸を据えて来た所だ。気にするな。」

 その馬鹿共が、誰なのかは聞くべきではないんだろうなぁ。

「(ストッ)……さて、初めまして。私がギルドマスターのミーロフェーデ・ラグラドスだ。」

 この人がギルドマスター………なるほど、ヴラド の言う通り実力者でもあるが、組織の長としての責任を充分に認識している事と、立場に甘んじる事のない矜持が見受けられる。

 そういった言動を見る限り、確かに女傑っぽいな。学園の馬鹿共も見習って欲しい所だが、到底無理な話だな。

 ………ところで、いつまで右手にを持ち続けるつもりだろうか?

「………すまない。名乗って欲しいのだが……」
「あっ……失礼致しました。私はアレク。アレクサンダーでもアレクシスでもなく、アレクが名前です。」
「ふむ。これから宜しく頼む、アレク。」

 素直に聞いてくれた。大抵は偽名じゃないかと疑われるから、こういう対応は純粋にありがたい。良識のある方で助かった。

 故に、どうしても気になってしまう。それドアだったものはいつ手離すのだろうか?

「なるほど……きみがヴラド のお気に入りって訳だ。」
「そんなんじゃねぇよ。ただの友人ダチだ。」

 友人ダチか。言い出したのは私だけど、改めて言われると照れる……やっぱり、気になるな。

「話は聞いてるぞ。あのクラバスバードにワイバーンも卸してくれた上に、ワイバーンの異常行動の発見及び報告。それに、馬鹿共からヴラドを守ってくれたそうじゃないか。」

 ………ダメだ。が気になって、話が頭に入って来ない。てか、ギルドマスターは何故そんな平然としていられるのだろうか。

 私は相手と対面する事で、相手の発言の真偽や何を隠しているのか等、大体のことを読み取る事が出来る。だが、今のギルドマスターからはが何も読み取れない。

 まるでかの様だ。そんなを狙って出来るのだから、流石ギルドマスターといった所か。

「?……どうかしたかね?」
「あっ……いえ、その………」

 一体、何のつもりだろうか。ちょっとした冗談のつもりか?けど、ヴラドは何も言わないし………もしかして、何かを試されているのか?

「………何でもありません。」
「そうか?(ガタッ)気になる事があるなら遠慮なく聞いてくれ。」

 良いのか?本当に聞いても良い事なのか??どっちなんだ???わからない。ギルドマスターが何を狙っているのかがさっぱりわからない!!

「てか、ギルマス……いつまでドアノブ握ってんだよ。」
「…………へ?」
「………は?ドアノブ?」

 冗談のつもりだったのか。

 けどヴラド 、このタイミングなのか?ツッコミを入れるのはこのタイミングで合っているのかヴラド ??

「……っ!?…あ…あぁ……すまない。(ゴトッ)」

 そう言って、を傍に置いた。

「……は、ははは……通りで右手が使いにくい訳だ。」

 『動揺』・『焦燥』・『羞恥』………それが、今しがたギルドマスターから読み取れただった。

「………見苦しいものを見せてしまったね。すまない。」
「………」

 マジか。ただのうっかりだったのか。別に何も狙っていなかったのか。ただのど天然だったか。深読みし過ぎだったな。

 てかヴラド。言うならもっと早く言えよ。無駄にあれこれ迷ったじゃないか。
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