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2章-2節.ヘルデス家の争続に巻き込まれた私は…
9.昼食をとり逃しました。
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探索を始めて早一時間。まだまだ奥は深そうだ。
「そういや、迷宮ってどんな魔物が出るんだ?出来るだけ戦闘は避けたいんだが……」
「安心してください。浅い階層では、そんなにレベルの高い魔物は出現しません。」
「浅い階層?」
「迷宮は幾つもの階層に別れていて、それぞれの階層で出現する魔物の種類が違います。そして、基本的に深くなるほど魔物も強くなる傾向にあるんですよ。」
「そりゃ随分と親切な設計だな。」
「本当にそう思います?」
「……いいや?『そのルールが成り立つのは人が出入りしている迷宮だけ』だろ?」
「えっ?」
「『定期的に探索者が入らない迷宮は、稀に下の階層の魔物が紛れ込む事があるから寧ろあくどい』だっけか?」
「……以前、お話しましたでしょうか?」
「いや、つい最近似た話を聞いた気がしてな。」
「………そうですか。」
随分と話が盛り上がっているな。
今の所は魔物に遭遇せずに来れている。けど、このまま進んだら…
「テルマ…」
「わかった。そっちはやめてさっきの道まで引き返すんだな?」
「……あぁ、そうだ。」
ちょうど魔物の気配がしたから迂回しようと思ったんだが……察しが良い奴だな。
「よし、それじゃ……おっと(タタッ)」
「どうました?テル……」
〈(トサッ)〉
「……へ?」
テルマがいた所に落ちて来たそれは……毒蛇だった。
"「(スルスル)」"
「………」
「よし、回避回避っと。」
「テルマさん……また…」
蛇は、去っていった後に、オルブが問いかける。
「噛まれたら即死だったな。けど、たまたまよろけて助かった。ラッキーだったな。」
嘘だ。それに、さっきのはそこに落ちて来るとわかっていた動きだった。
それだけじゃない。ここまでも妙に勘が鋭い所があった。
「いやぁ、危ない危ない。やっぱ大分古いな、この迷宮。」
「「…………」」
何だろう。迷宮に入った瞬間、勘が鋭くなった気がする。
まぁ、深く追及するつもりもないが。
“「グォォォォッ!!」“
「「「っ!!」」」
突然の咆哮に、振り返るとそこには……
"「グルルルルルゥゥゥ………」"
「………鋼蜥蜴……」
「随分と硬そうなトカゲだな。」
咆哮の主……硬い金属の鎧を纏った巨大なトカゲは、どうやらこちらに狙いを定めた様だ。
「以前、山とかで見かけた事があるな。まさか、迷宮で遭遇するとは。」
「えぇ、本来は坑道や洞窟に住み着く魔物ですが、迷宮にも頻繁に出没します。洞窟と同じく暗く狭い迷宮は連中からすれば格好の住処ですから。」
なるほど。さっきから感じていた気配はコイツか。
「となると、アイツが通って来た穴から外に出られるかもしれないな。」
「そんな冗談より今は、どうやって逃げるかを考えるべきでは?」
とは言っても、こちらが何度道を変えても執拗に先回りして来た追跡者だ。簡単に逃してくれるとは思えない。
「それと……ここで悪い知らせと、最悪の知らせがあります。どちらから聞きたいですか?」
「聞き間違いか?悪い知らせしか無いように聞こえるんだが?」
「相場はいい知らせと悪い知らせで一つずつだろ。」
「残念ながら、段階別々で悪い知らせが二つです。」
「二段構えとは恐れいったな。」
「とりま、悪い知らせから頼む。」
「はい。僕は今まであれだけのサイズに育った個体を見た事がありません。」
「そうか、それは手強いな。」
「で?最悪な知らせは?」
「はい、恐らくあれは鋼蜥蜴ではありません。」
「………は?」
「今、何て?」
「見間違えだったようです。あれは鋼蜥蜴ではなく鋼劣竜です。」
「すまん。もう少しだけ噛み砕いてくれねぇか?」
「えっと……端的に言いますと、冒険者であれば遭遇したら8割は死にます。」
「そうか、覚えとく。」
「要するに、オルブが見た事もないサイズの魔物が、俺たちの眼前にいるって事で合ってるか?」
「はい。」
「けど、その割には全然襲ってこないみたいだが?」
「そこが僕にもわからないんです。普通なら直ぐ襲って来るはずなんですが………とにかく、今のうちに早く逃げましょう。」
「策は?」
「ひとまず、僕が囮になってるうちにお二人は逃げてください。後で必ず追いつきますから……」
「「ダメだ。」」
「っ!?」
「巻き込んだ側が負担を強いるなんて胸糞悪い作戦はごめんだな。」
「というか、それだと逆戻りだよな。」
「言ってる場合ですか?」
「そもそも、お前が身体を張る必要はない。私に任せろ。」
「何言ってるんですか!!そんなことを……」
「(グィッ)まぁまぁオルブ、心配ないから下がってろって。」
「……へ?」
「………さて。」
“「………?」"
こうして、トカゲとの睨めっこが始まる。
そういえば、そろそろ正午だな。探索はもう暫く続きそうだし、何の食料も持ち込めて居ない以上、迷宮で現地調達するしかないな。
「(ペロリ)」
"「(ビクッ)っ!?」"
それにこいつら、唐揚げにすると美味いんだよなぁ。
“「ギェェェア゛ァァァァァァッ(ドドドドドドッ)」“
「…………へ?」
「………逃げた?」
「あぁ、逃げたな。」
「………(チッ)」
殺気が漏れていたらしい。トカゲは一目散に走り去っていった。
「そういや、迷宮ってどんな魔物が出るんだ?出来るだけ戦闘は避けたいんだが……」
「安心してください。浅い階層では、そんなにレベルの高い魔物は出現しません。」
「浅い階層?」
「迷宮は幾つもの階層に別れていて、それぞれの階層で出現する魔物の種類が違います。そして、基本的に深くなるほど魔物も強くなる傾向にあるんですよ。」
「そりゃ随分と親切な設計だな。」
「本当にそう思います?」
「……いいや?『そのルールが成り立つのは人が出入りしている迷宮だけ』だろ?」
「えっ?」
「『定期的に探索者が入らない迷宮は、稀に下の階層の魔物が紛れ込む事があるから寧ろあくどい』だっけか?」
「……以前、お話しましたでしょうか?」
「いや、つい最近似た話を聞いた気がしてな。」
「………そうですか。」
随分と話が盛り上がっているな。
今の所は魔物に遭遇せずに来れている。けど、このまま進んだら…
「テルマ…」
「わかった。そっちはやめてさっきの道まで引き返すんだな?」
「……あぁ、そうだ。」
ちょうど魔物の気配がしたから迂回しようと思ったんだが……察しが良い奴だな。
「よし、それじゃ……おっと(タタッ)」
「どうました?テル……」
〈(トサッ)〉
「……へ?」
テルマがいた所に落ちて来たそれは……毒蛇だった。
"「(スルスル)」"
「………」
「よし、回避回避っと。」
「テルマさん……また…」
蛇は、去っていった後に、オルブが問いかける。
「噛まれたら即死だったな。けど、たまたまよろけて助かった。ラッキーだったな。」
嘘だ。それに、さっきのはそこに落ちて来るとわかっていた動きだった。
それだけじゃない。ここまでも妙に勘が鋭い所があった。
「いやぁ、危ない危ない。やっぱ大分古いな、この迷宮。」
「「…………」」
何だろう。迷宮に入った瞬間、勘が鋭くなった気がする。
まぁ、深く追及するつもりもないが。
“「グォォォォッ!!」“
「「「っ!!」」」
突然の咆哮に、振り返るとそこには……
"「グルルルルルゥゥゥ………」"
「………鋼蜥蜴……」
「随分と硬そうなトカゲだな。」
咆哮の主……硬い金属の鎧を纏った巨大なトカゲは、どうやらこちらに狙いを定めた様だ。
「以前、山とかで見かけた事があるな。まさか、迷宮で遭遇するとは。」
「えぇ、本来は坑道や洞窟に住み着く魔物ですが、迷宮にも頻繁に出没します。洞窟と同じく暗く狭い迷宮は連中からすれば格好の住処ですから。」
なるほど。さっきから感じていた気配はコイツか。
「となると、アイツが通って来た穴から外に出られるかもしれないな。」
「そんな冗談より今は、どうやって逃げるかを考えるべきでは?」
とは言っても、こちらが何度道を変えても執拗に先回りして来た追跡者だ。簡単に逃してくれるとは思えない。
「それと……ここで悪い知らせと、最悪の知らせがあります。どちらから聞きたいですか?」
「聞き間違いか?悪い知らせしか無いように聞こえるんだが?」
「相場はいい知らせと悪い知らせで一つずつだろ。」
「残念ながら、段階別々で悪い知らせが二つです。」
「二段構えとは恐れいったな。」
「とりま、悪い知らせから頼む。」
「はい。僕は今まであれだけのサイズに育った個体を見た事がありません。」
「そうか、それは手強いな。」
「で?最悪な知らせは?」
「はい、恐らくあれは鋼蜥蜴ではありません。」
「………は?」
「今、何て?」
「見間違えだったようです。あれは鋼蜥蜴ではなく鋼劣竜です。」
「すまん。もう少しだけ噛み砕いてくれねぇか?」
「えっと……端的に言いますと、冒険者であれば遭遇したら8割は死にます。」
「そうか、覚えとく。」
「要するに、オルブが見た事もないサイズの魔物が、俺たちの眼前にいるって事で合ってるか?」
「はい。」
「けど、その割には全然襲ってこないみたいだが?」
「そこが僕にもわからないんです。普通なら直ぐ襲って来るはずなんですが………とにかく、今のうちに早く逃げましょう。」
「策は?」
「ひとまず、僕が囮になってるうちにお二人は逃げてください。後で必ず追いつきますから……」
「「ダメだ。」」
「っ!?」
「巻き込んだ側が負担を強いるなんて胸糞悪い作戦はごめんだな。」
「というか、それだと逆戻りだよな。」
「言ってる場合ですか?」
「そもそも、お前が身体を張る必要はない。私に任せろ。」
「何言ってるんですか!!そんなことを……」
「(グィッ)まぁまぁオルブ、心配ないから下がってろって。」
「……へ?」
「………さて。」
“「………?」"
こうして、トカゲとの睨めっこが始まる。
そういえば、そろそろ正午だな。探索はもう暫く続きそうだし、何の食料も持ち込めて居ない以上、迷宮で現地調達するしかないな。
「(ペロリ)」
"「(ビクッ)っ!?」"
それにこいつら、唐揚げにすると美味いんだよなぁ。
“「ギェェェア゛ァァァァァァッ(ドドドドドドッ)」“
「…………へ?」
「………逃げた?」
「あぁ、逃げたな。」
「………(チッ)」
殺気が漏れていたらしい。トカゲは一目散に走り去っていった。
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