薬師の名門ブレルスクに入学した私は、退学するまで暴れます。〜少年アレクの倫理で殴る学園ファンタジー〜

鮒捌ケコラ

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2章-2節.ヘルデス家の争続に巻き込まれた私は…

11.第2の暗号を解きます。

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「………えっ……と………?」

 物言わぬ壁が、階段を降りて直ぐに立ちはだかっていた。

「おいおい、階段の次は壁かよ。引き返……すのは、辞めた方が良いな。何か死にそうだし。」
「えぇ、恐らく逆棘式のトラップが……え?」
「つーか、これって扉か?微かだが、風の流れがある。迷宮ダンジョンではよくある仕掛け式の扉……とか。」
「………よくご存知ですね。さっきから思ってたんですが、貴方の勘の鋭さ……人間離れしてません?」
「いや、たまたま最近聞いた気がしてよ。……何処かまではわからないんだけど。」
「何ですかそれ。」

 なんか……二人の間で凄く話が弾んでいる。この場において私、完全に門外漢だな。

「まぁ……そうなると、応接室と同じ様に仕掛けがあるんだろうな。」
「えぇ、仕掛けさえ解けばきっと先へ進めます。」
「とは言っても、ヒント無しは流石にキツいぞ。」
「となると……(ピラッ)こいつの出番か。」
「「へ?」」
「えっと……今はこの部分になるのか。」
「おいアレク……それって……」
「………」
「念のために持って来ておいて正解だったみたいだな。」

 応接室でオルブに挨拶した時に、あの男の懐から頂いて来た遺言書だ。

 窃盗?とんでもない。必要な情報の受給は、探索する側の権利だ。

 向こうが一方的に義務探索を課したのだから、こちらは当然の権利を行使しただけの事。

そもそも、グレーどころではないブラックなあいつらに犯罪者呼ばわりされる謂れはない。

「てかお前……持ってるなら先に出せよ。」
「………」
「いや、目的はあくまで脱出だから、必要ないかなと思って。」
「そりゃそうだけどさ。」
「………」
「現に、コイツが無くてもここまで来れただろ?」
「いや…まぁ………」
「………」
「オルブ、本当にすまない。頼むから何か言ってくれ。」
「……今は先に進みましょう。」
「わかった。」

 さてさて、暗号をコードに従って解くと……

「………」
「どうした?一旦紙に書き出すか?」
「いや……ちょっと暗号を読み上げてみるから一緒に考えてくれ。」
「わかった。」
「えっ?……あぁ、お願いします。」

 2人に了承を取り、読み上げる。

「『カワタレドキヲノゾムモノハマドワサレ、タソガレドキヲノゾムモノハミチヲヒラク。』……と、書かれてるな。」
「「………」」

 黙り込んでしまった。

「………意味が分からん。コードが違うのか?」
「つーか、やたら抽象的だな。」
「そもそも、カワタレとかタソガレって何ですか?」
「多分、『カワタレドキ』は、『彼は誰時』で『タソガレドキ』は『誰そ彼時』の事だと思う。」
「だれ…かれ……?」
「……一旦書き出すか。テルマ。」
「ほいよ。紙とペン。」
「ありがとう。」
「何というか……少し安心しました。」

 取り敢えず、分かってる所から文字に起こすか。

〈彼は誰時をのぞむものは惑わされ、誰そ彼時をのぞむものはみちをひらく〉

「うーん、もう少し字を当てられるか?」
「いや、下手に字を当てると意味が変わるからなぁ。」
「そもそも、『彼は誰時』って何ですか?」
「日の出前の時間帯の別名だよ。その反対が『誰そ彼時』だな。どっちも相手の顔がわからないくらいの真っ暗闇で………」
「アレク?」
「アレクさん?」

 そういえば、道中は明かりがあったのに、何故ここには燭台の一つも無かったのだろうか。

「……もしかして。」
「どうしました?」
「テルマ、灯りを消してくれ。」
「は?灯りを?」
「少しの間で良いからさ。頼む。」
「……わかった。(スッ)」

 持っていたランプの灯が消えて、暗闇に変わる。

 《(ボワァ~ン)》

 すると、壁にうっすらと何かが現れる。

「なっ!?」
「これって…文字盤?」
「夜行塗料……やっぱりそういう事か。」
「おい、どういう事だ?」
「カワタレドキってのは朝方、タソガレドキってのは夕方の事を言うんだよ。」
「それはさっき聞いたよ。」
「つまり、暗闇から明るくなる『彼は誰時』に臨む人は進めないけど、逆に暗闇になる『誰そ彼時』に臨む人は……」
「道を…開く?」
「どうなるかまではわからなかったが、恐らくこれは暗証鍵パスコードの入力盤。そして、これも恐らくだが、ここにコードを入力すれば……(トットットットットットッ)」

《(ゴゴゴゴゴゴ………)》

 地鳴りと共に壁……もとい扉は開かれた。

「なるほど。正に、『道を開く』だな。」
「そうなると、この先が第2層……」
「さて、先に進もうか。」


 こうして、第2層の探索は始まった。


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