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2章-2節.ヘルデス家の争続に巻き込まれた私は…
12.第二階層を彷徨います。
しおりを挟む「(カチャッ)……済みました。」
「おぅ……おつかれ。」
第二階層の探索を初めて数時間が経過した。
「一体、どれだけ経ったよ?第二階層に入って……」
「大体2時間くらいじゃないですか?」
「そうか?おれは体感的に一年くらい足止め食らってた気分だな。」
「体感時間の話は辞めましょう。気が滅入るし、何故か話題にしちゃダメな気がします。」
「そうは言ってもなぁ……」
第一階層の探索の倍以上に時間が掛かっている。原因は……
「……どんだけ罠あんだよ。キリがないな。」
「かれこれ40個以上解除してないか?」
「はい、これで43個目です。」
「……何というか……『罠の巣』って感じだな。」
「「言い得て妙」」
罠の量と密度が第一階層の比じゃない。
例えば、とある石畳を踏むと真上から石槌が落ちてくる。
直撃を避けようと周囲に躱すと今度は石畳から無数の杭が打ち出される。
これを大きく跳躍して逃げようものなら、着地点に向けて死角から毒矢が飛んでくる。
こんな着地狩りみたいな事態が起こり得るくらい、罠が密集しているのだ。
だが、この程度は序の口でオルブ曰く、一つの罠が連鎖して他の罠まで起動してしまう事もあるらしい。ここも、そういう罠の組み方である可能性は高いため、慎重に罠を解除しながら進む他ない。
そういった意味では、悪質さも第一階層以上だ。
「……うっ(クラッ)」
「(ガシッ)少し休憩にしよう。」
「はい。直ぐにビパーク地点を確保します。」
だが、私たちが直面している問題はもっと他にある。
「(クゥゥゥゥゥ)………すまん、アレク。」
「気にするな。腹が減れば誰だってそうなるさ。」
探索が長引いた結果、完全に昼食を食いそびれてしまった。私は、森暮らしで飢えに多少慣れているが、テルマには相当応える様だ。
「準備出来ました。」
「あぁ、ありがとう。」
一方のオルブは、特に問題無さそうだ。恐らく、私と同様に長期の空腹に慣れているのだろう。
「……すみません。僕が、食料を持って来ていれば……」
「……違う…」
「えっ?」
「それは…違う……だろ?」
「あぁ、そうだ。オルブは何も悪くない。寧ろ、私たちはここまでオルブに助けられて来た。感謝こそしても恨んだりなんてお門違いだ。」
無理に扉や壁を壊したりすれば落盤の恐れもあった。罠の強行突破も愚策だ。毒やらガスやらを仕込んだ罠があるかもしれない。オルブがいなければ、ここまで来れなかった。
「そもそも……俺の…せいだ。」
「「え?」」
「貴族のいざこざに…2人を……巻き込んだ。」
「何言ってんだ?巻き込んだのは、あの馬鹿だろ?」
「そうです。テルマさんが巻き込んだなんて、それこそお門違いです。」
「例えそうだとしても、私は私の意思で此処に来た。だから、お前に責任はない。」
「けど……」
「いいから、今は大人しくしてろ。」
「………」
さて、この先どうするかな?やはり落盤覚悟で地上まで強引に抜けるか?
或いは、二人を担いで罠を特攻……毒やガスはどうする?私は平気でも二人が……
私が先行して抜け道を……いや、二人だけを残すのはもっと危険だ。さっきのメタルワイバーンの他にも、魔物が潜んでいるかもしれないからな。
いっそ、さっきのメタルワイバーンでも来てくれれば、食料問題は解決するんだが……さっきの様子だともう目の前に出て来ないだろう。
せめてメタルリザードでも良いから、出てこないかな。
「(ピクッ)ん?」
通路の先、距離700m……何か来る。
「………タイミングが良すぎるな。」
「どうしました?」
「いやなに、食料だがな……何とかなりそうだ。」
「えっ……と?それはどういう……」
“「ギェアァァァァッ!!」"
返答より先に、回廊に咆哮が響いた。
「は?メタルリザード?!なんで!?」
どうやら、その咆哮だけで状況を理解してくれた様だ。説明の手間が省けたな。
「オルブ、テルマを頼む。」
「えっ?あ、はい。」
「………」
「2人は下がってろ。あいつは、私がヤる。」
「えっ…!?ちょ…アレクさん!?」
幸い、オルブのお陰で一通りの罠の種類と罠のある場所の見分けはつく様になった。
「まさか、戦うつもりですか!?ここで?!」
「あぁ、そうだ。」
とは言っても、まだ見てない罠があるかもしれないから、迂闊に踏み込む事は出来ないな。
「無理です!!ここではメタルリザードに勝てません!!」
そう。この場所に限って言えば、メタルリザードの方が圧倒的に有利だと言えるだろう。
“「(ペタペタ…ペタペタ)」"
そうしてメタルリザードは……天井を這う様にして現れた。
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