5 / 6
新婚生活?
結婚式はいつですか
しおりを挟むお腹が急に苦しくなって、ずっとうずくまってた。
ラウさんもそばにいてくれたから、ちょっとだけ痛いのが無くなったけど、痛すぎて泣いちゃうくらいにいたかった。
何分か奮闘していたら、何か出てきそうな感じがして、急いで下着を脱いだら、なんと卵がでてきた。
ピンクと黄色のかわいい模様で、嬉しかった。
「ラウさん!僕とラウさんの子が産まれました!」
「そうだな、嬉しい…この子が次期大神だからね」
「ふぇ?!そうなんですか?!」
みんなのあこがれの存在の大神様を僕が産んでしまうなんて…人生分からないものだ。
でも、嬉しいな。ラウさんとの家族の形ができた感じがして。
「子も生まれたことだし、結婚式をしよう」
「けっこんしき…」
「来週辺りにするから、楽しみにしておいて」
いや早過ぎないですか?!普通はそのくらいなのかな。僕、ラウさんと結ばれた余韻が消えなくて、幸せすぎるのに、来週もっと幸せになるなんて。こんなに幸せになっていいのだろうか?
「そういえば、この赤ちゃん、どうやって温めるのですか?」
「いや、もう産まれるから大丈夫だよ」
「んぇ?」
驚いて硬直していたら。
ーーーーパキパキ
と、卵のひびわれる音がした。
咄嗟にベッドに卵を置いて、観察してみると。
赤ちゃんが上の方から頭を出した。
髪の色は金色、目は黒色。
髪はラウさんに似たけど、目は僕に似てしまったみたいだ。
でも、ラウさん怒らないし、幸せそうな顔してるから…気にしなくてもいいのかな。
顔も、僕に似ているかもしれない。でも、髪の色が大好きな人と一緒だから、可愛らしく思う。
羽は赤ちゃんにしては大きくて、よかった。羽は大きい方がいいもんね。
「きゃっきゃっ!」
「ふぇ?」
赤ちゃんが僕の方を見て笑う。どうしたのだろう?
「ほら、シーちゃんのことお母さんだと思ってるんだよ。」
「そ、そうなんだ…」
漠然とする。そっか、僕もうお母さんなんだ。
愛しく思えて、抱っこした。ふわふわしてて、可愛いな。
「この子の名前、どうする?」
「僕、人間界のゼラニウムって花が好きだから、そこからとってゼラムくん、どうかな」
「いいね、そうしようか!」
「ゼラ厶くん、よろしくね」
「あい!!!」
まるでこちらの言っていることがわかっているような反応に、嬉しくて笑いがこぼれた。
♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・゜
僕とシーちゃんが出会ったのは、ずっと前の幼い日。
僕はシーちゃんより二歳年上で、現在僕十八歳のシーちゃん十六歳。
でも出会ったのは、僕が五歳の時。
家の近くの公園で、僕は泣いていた。大神様になるのが不安で、お父様のようになれるのか不安で。
影で泣いていたのに、小さいシーちゃんは僕のことを見つけてくれたんだ。
それを騒ぎもしないで、静かに寄り添ってくれていた。
それが嬉しくて、シーちゃんのことが大好きになったんだ。
もうずっと前のことだからかシーちゃんは忘れてしまっているけれど、僕にとっては大切な思い出。
ゼラ厶くんもこんなふうに幸せになって欲しいな。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
28
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる