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第三章
観光
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ブブブ……スマホの目ざましで美奈子が、目覚める。
「ここは……? そっか、わたし……友介さんの部屋だ ! 」
「結局泊まっちゃった……すぐに起きないと……鳴ったということは6時ね」
むくりと身体を起すと、ずるりとペニスが抜ける感触がする。
「うわぁ……入れたまま寝てたの……最悪……」
幸い、精液が漏れたりはしていないようだ……
周りを見れば、布団もシーツもぐちゃぐちゃで。
色々と処理したいところだが、ともかく早く自分の
部屋に戻ろうと、そそくさと身支度を整える。
あれから、特にLIMEも入っていないから大丈夫だろうが、
アキラが部屋に来ないとも限らないのだ。
ぐぅぐぅと幸せそうな高いびきで全く起きる気配もない友介には、
「自分の部屋に戻ります。片づけないで、ごめんなさい」
とだけメモして部屋を後にした。
早足で廊下を曲がったところで
「きゃっ ! 」
「あっ、申し訳ございません」
従業員とぶつかってしまう。
抱えたタオルやシーツが散らばる。
「こちらこそ、不注意で……」
「あれ ? 美奈 ? 」
「えっ……アキラくん ? 」
タオルを拾いながら、顔を見合わせる。
「どうしたの? こんなところで。ここ6階だよ」
「……えぇっとぉ……朝早く起きたから、ホテルの中、
探検してたの……」
「ハハッ、探検って。子どもみたい」
「フフッ、そうね」
「はい、これ」
美奈子は、拾ったタオルを手渡す
「おっ……ありがと」
「じゃっ、じゃあ行くね。お仕事中、邪魔してごめんなさい」
「おぅっ、後でまた。朝食フロアにもいるから」
「うん、じゃね」
(び、びっくりしたぁ……そっか、こんな朝早くから仕事してるんだ。
それに引き換え、わたしは……)
(ふぅっ、朝から美奈子に会えてラッキー。
なんか、今朝の美奈子は妙に色っぽかったなぁ。
昨日、気持ちよくさせたから ? なーんてね。
特に、タオルを拾ってくれてたときの胸元が……
あれ ? ネックレスしてなかったような……??)
「うーん 、見間違いかな ……ずっとつけてるって言ってくれてたし」
タオルとシーツを持って廊下を曲がる。
すぐそこがリネン室だ。
「ん ? この先は桔梗の間だけかぁ……
行き止まりで引き返して来たのかな」
(美奈子来た ! ……話しかけたいけど、持ち場離れられないなぁ)
朝食会場に、着替えた美奈子が現れた。
アキラを見つけて、小さく手を振ってくれる。
料理を運んでいるので、アキラはアイコンタクトで返す。
バイキング形式の朝食で、ひと通り料理を取った美奈子は、空いている席に座る。
と、そこへのっそりと中年男が姿を現す。
起きたばかりなのか、頭がボサボサだ。
(ヤバっ ! 浜田先生だ ! タイミング悪いなぁ。
美奈子が見つかりませんように……
おっ、美奈子も気が付いたのかな、俯いてる。いいぞ)
(あっ……友介さんだ……
どうしよう、ゆうべの事思い出すと、こんな明るいところで
まともに顔見れないわ……
あーもーっ、昨夜ゆうべはどうかしてたのよ……)
顔を真っ赤にして俯くしかなかった……
「ここ、よろしいですか ? 」
「はっ、はい ……」
声をかけられて、顔をあげると友介だった。
斜め左の席に座る。
ほぼ埋まりつつある座席状況のため、違和感はない。
「おっ、おはようございます」
「おはよう」
(あーぁっ、先生に見つかっちゃったか……
美奈子、うまくやってくれよ……
あれれ……なんか、和やかに話してるな……??)
「先生、いくらなんでも頭ボサボサですよ。
ここも、公衆の場ですから、最低限の身だしなみ必要です」
「えぇっ、旅行先くらいのんびりさせてよ」
「最低限のエチケットです」
「はいはい……」
それぞれ和食ベースに盛った料理を食べ始める。
「いきなりご飯に生卵かけるんですね。
殻が混ざったり、お茶碗からこぼれたりしません ? 」
「むっ、何を言う、TKGはこれが基本。
まずは生卵だけをご飯と混ぜて、生卵そのものを味わう。
それから、適宜醤油や薬味を入れていくんだ。
そんな容器に生卵を落として、醤油入れてかきまぜてるなんて……
まだまだだねっ」
「はっ、えっ……あの……TKGって何ですか ? 」
「T・amago・K・ake・G・ohan ! 頭文字。常識だよ」
「えぇっ、そうなんですか……勉強になりました」
「うん。今度試してみて」
雑談しながら朝食が進んで行く。
(美奈、笑ってるな……キモ友のこと気持ちワルイって言ってたのに……
あぁ、そうか。年末に、先生の手伝いするとか言ってたか……
せっかくうまくやってくれているのに、なんか面白くないなぁ……)
浜田先生も美奈子も、朝食が済み、それぞれ部屋に戻っていく。
アキラは、スッと美奈子に近づくと
「キモ友、大丈夫だった ? 」
「えぇ、受験も終わってヒマだからアキラくんの職場が見たくて、遊びに来たって
一応言っておいたわ」
「よし。どうしてひとりで来たのか ? とか、細かく追及されなかった ? 」
「プライベートな質問はされなかったから、大丈夫よ」
「よかったぁ……じゃあ、チェックアウトしたらロビーのカフェで待ってて」
「うん、ゆっくりしてるから、アキラくんはお仕事頑張ってからでいいわ」
「ありがとっ ! 」
(アキラくん……嘘ばっかりでごめんなさい……)
部屋に戻るとLIMEが入る。友介からだ。
「上条と出かけるんだったね」
「はい」
「何時まで ? 」
「お昼ご飯食べたら、ホテルに戻るって」
「戻るころ教えて」
「はい」
「チェックアウトまで時間あるから、海の見える温泉どう ? 」
「行きません」
「本当に ?」
「はい」
「ちぇっ」
美奈子も、一瞬、あのテラスの温泉に入って海を見たら綺麗だろうなと
思わないでもなかったが、同時に起きるだろう行為を考えると、
とても足を踏み入れるわけにはいかない。
流されやすい自分が無事で済むわけもなし……
(あれは、昨日終わったこと。旅先の気の迷い。早く忘れないと……)
「観光って、どこに行くか聞いてなかったわ」
「まあ、このあたりのメイン観光は海だけど、今は冬だからね。
定番として必然的に……」
「金山 ? 」
「うん、昔はこのあたりは金が採れたらしいんだ」
「へぇ~、知らなかったわ」
「で、その金山を模した坑道とかが再現されているらしいよ」
二人は、ホテルから30分ほどをゆっくり散歩しながら、
その金山施設に着いた。
金鉱石などが展示されている施設に入る。
「これが金塊の見本 ? おっきい ! おもい ! 」
「千石船って、こんなものなんだね」
「これが、掘り出された鉱石 ?
全然金色じゃない」
とか見学しているうちに
美奈子はどこかで見た後ろ姿を発見した。
嫌な予感がして、アキラに伝えようと裾を引いたとき、
「おやぁ、奇遇だね」
声をかけられてしまった。
「あっ、浜田先生。こんにちは。
先生もいらしてたんですね」
アキラもやむなく、にこやかに対応する。
「まあ、このあたり観光すると言ったら、まずはここかなぁと。
上条くんは仕事はいいの ? お客様の案内かな ? 」
「えっ……ええ。せっかく来てくれた葛城さんをご案内しています」
「じゃあ、ボクもお客さんだから、一緒に案内してよ」
と、ずうずうしく言ってくる。
「はい……」
あからさまにアキラは嫌そうな態度を示すが、友介は全く動じず、
ニコニコしている。
「すみません、僕も来るのは初めてで、案内と言っても
ホテルのお客様へのご案内用に、ちょっと聞きかじっただけなんですが」
「あぁ、構わないよぉ。少しでもいいんだ」
「では、こちらの展示館はひと通りごらんになったのでしたら、
坑道に参りましょう。
金山の模様を再現しています」
あまり人気がないのか、たまたまか、ほとんどお客はいない。
アキラが先頭に立って歩き始める。
(ちゃっちゃと終わらせて、別なところに行こうっと)
「結構不気味ねぇ……」
「思ったより暗い……」
美奈子は、そっと友介に囁く
「どういうつもり ? 」
「ヒマつぶしさ。そんなに長く一緒にいないよっ」
「本当 ? 」
美奈子は疑わしそうだが、あまりしゃべれないので、
アキラの方に行く。
こちらにも囁く
「先生、困ったね」
「坑道出たら、他に行くと言って別れましょ」
「そうしよう」
坑道は、若干薄暗い中を縦列で進む。
美奈子の後ろについた友介が、お尻をスリスリ撫でる。
パシッとはたく。
スリスリ
パシッ
スリスリ、ぐにゅ
お尻がつかまれる
「ひっく ! 」
「どうした美奈 ? 」
「ちょっとつまずいて」
「足元気を付けて」
美奈子が睨みつけるが、友介は素知らぬ顔だ。
開けた場所に出る。
ここからは採掘の再現や、神社、銭洗い弁天、お地蔵さま
などの施設が続く
「こんな粗末な衣服と装備で、ホントに掘ってたのかな」
「この黄金の鳥居ってご利益あるんだって ! 」
「それから、お金、洗おっ ! 」
「えっ、アキラくんお札はちょっと……」
「後で乾かせば大丈夫」
友介のことなど忘れて、キャッキャッとふたり楽しそう。
と、アキラに電話がかかってきた。
「やべ、ホテルからだ。ここ電波最悪だから、先に出口
行ってるね。ゆっくり来て……」
「あっ……うんっ……」
アキラは走り去った。
すかさず、友介が近づき
「カノジョをほって仕事かぁ……」
「立派だと思います……」
「でも、ちょっと淋しいよね」
「……」
「まあ、お言葉通り、のんびり見て行こうよ。仕事の話が
続いてるかもしれないし」
「ここを出たら、別行動にするから安心して」
「そうですか」
(よ、よかったぁ)
「だから、ちょっとだけ、こっち」
手を引き、通用口っぽい暗い道に入る。
「ミナが、元カレと楽しんでるのは別にいいさ。
だから、せめて約束の日まではボクが彼氏だと実感させて」
そう言ってキスを迫る。
美奈子は一瞬逡巡するが
「もうっ、少しだけよ」と言いながら受け入れる。
プチュッ
バードキスに留めようとする美奈子だが、
友介は、お尻をわしづかみ、右足を股間に当てて、
ギュっと抱き締める。
その強さに、若干口が開くと、強引に舌をねじこまれ、
舌が絡まり、唾をたっぷりと送り込まれる。
次々と送られて、美奈子はやむなくゴクリと呑み込む。
それだけで、頭がボーッとしてきて、友介の舌が
まとわりついてくるのに翻弄される。
いつの間にか胸も、揉まれ、
股間からは、時々鋭い感覚が伝わる。
「あん……あんまり……触らないで」
「じゃあ、触ってよ」
美奈子の手をペニスに導く……
カチカチだ。
(また……凄い硬い……これに昨夜はイかされたんだ……
それも、今まで経験したこともないイキ方で……
あれは、夢だったんじゃないかと、冷静な頭では思える……)
しゅっしゅとペニスをズボンの上から愛撫する。
友介の手も服の上から乳首を摘まんでお返ししてくる。
膝で股間をブルブルと震わせる。
「やっ……あんまりされると……ホントに……」
「ホントに ? 」
通路で本格的に昂まりかけたその時……
その時、
「あれ ? いないなぁ……」
戸惑うアキラの声が聞こえてきた。
「ここは……? そっか、わたし……友介さんの部屋だ ! 」
「結局泊まっちゃった……すぐに起きないと……鳴ったということは6時ね」
むくりと身体を起すと、ずるりとペニスが抜ける感触がする。
「うわぁ……入れたまま寝てたの……最悪……」
幸い、精液が漏れたりはしていないようだ……
周りを見れば、布団もシーツもぐちゃぐちゃで。
色々と処理したいところだが、ともかく早く自分の
部屋に戻ろうと、そそくさと身支度を整える。
あれから、特にLIMEも入っていないから大丈夫だろうが、
アキラが部屋に来ないとも限らないのだ。
ぐぅぐぅと幸せそうな高いびきで全く起きる気配もない友介には、
「自分の部屋に戻ります。片づけないで、ごめんなさい」
とだけメモして部屋を後にした。
早足で廊下を曲がったところで
「きゃっ ! 」
「あっ、申し訳ございません」
従業員とぶつかってしまう。
抱えたタオルやシーツが散らばる。
「こちらこそ、不注意で……」
「あれ ? 美奈 ? 」
「えっ……アキラくん ? 」
タオルを拾いながら、顔を見合わせる。
「どうしたの? こんなところで。ここ6階だよ」
「……えぇっとぉ……朝早く起きたから、ホテルの中、
探検してたの……」
「ハハッ、探検って。子どもみたい」
「フフッ、そうね」
「はい、これ」
美奈子は、拾ったタオルを手渡す
「おっ……ありがと」
「じゃっ、じゃあ行くね。お仕事中、邪魔してごめんなさい」
「おぅっ、後でまた。朝食フロアにもいるから」
「うん、じゃね」
(び、びっくりしたぁ……そっか、こんな朝早くから仕事してるんだ。
それに引き換え、わたしは……)
(ふぅっ、朝から美奈子に会えてラッキー。
なんか、今朝の美奈子は妙に色っぽかったなぁ。
昨日、気持ちよくさせたから ? なーんてね。
特に、タオルを拾ってくれてたときの胸元が……
あれ ? ネックレスしてなかったような……??)
「うーん 、見間違いかな ……ずっとつけてるって言ってくれてたし」
タオルとシーツを持って廊下を曲がる。
すぐそこがリネン室だ。
「ん ? この先は桔梗の間だけかぁ……
行き止まりで引き返して来たのかな」
(美奈子来た ! ……話しかけたいけど、持ち場離れられないなぁ)
朝食会場に、着替えた美奈子が現れた。
アキラを見つけて、小さく手を振ってくれる。
料理を運んでいるので、アキラはアイコンタクトで返す。
バイキング形式の朝食で、ひと通り料理を取った美奈子は、空いている席に座る。
と、そこへのっそりと中年男が姿を現す。
起きたばかりなのか、頭がボサボサだ。
(ヤバっ ! 浜田先生だ ! タイミング悪いなぁ。
美奈子が見つかりませんように……
おっ、美奈子も気が付いたのかな、俯いてる。いいぞ)
(あっ……友介さんだ……
どうしよう、ゆうべの事思い出すと、こんな明るいところで
まともに顔見れないわ……
あーもーっ、昨夜ゆうべはどうかしてたのよ……)
顔を真っ赤にして俯くしかなかった……
「ここ、よろしいですか ? 」
「はっ、はい ……」
声をかけられて、顔をあげると友介だった。
斜め左の席に座る。
ほぼ埋まりつつある座席状況のため、違和感はない。
「おっ、おはようございます」
「おはよう」
(あーぁっ、先生に見つかっちゃったか……
美奈子、うまくやってくれよ……
あれれ……なんか、和やかに話してるな……??)
「先生、いくらなんでも頭ボサボサですよ。
ここも、公衆の場ですから、最低限の身だしなみ必要です」
「えぇっ、旅行先くらいのんびりさせてよ」
「最低限のエチケットです」
「はいはい……」
それぞれ和食ベースに盛った料理を食べ始める。
「いきなりご飯に生卵かけるんですね。
殻が混ざったり、お茶碗からこぼれたりしません ? 」
「むっ、何を言う、TKGはこれが基本。
まずは生卵だけをご飯と混ぜて、生卵そのものを味わう。
それから、適宜醤油や薬味を入れていくんだ。
そんな容器に生卵を落として、醤油入れてかきまぜてるなんて……
まだまだだねっ」
「はっ、えっ……あの……TKGって何ですか ? 」
「T・amago・K・ake・G・ohan ! 頭文字。常識だよ」
「えぇっ、そうなんですか……勉強になりました」
「うん。今度試してみて」
雑談しながら朝食が進んで行く。
(美奈、笑ってるな……キモ友のこと気持ちワルイって言ってたのに……
あぁ、そうか。年末に、先生の手伝いするとか言ってたか……
せっかくうまくやってくれているのに、なんか面白くないなぁ……)
浜田先生も美奈子も、朝食が済み、それぞれ部屋に戻っていく。
アキラは、スッと美奈子に近づくと
「キモ友、大丈夫だった ? 」
「えぇ、受験も終わってヒマだからアキラくんの職場が見たくて、遊びに来たって
一応言っておいたわ」
「よし。どうしてひとりで来たのか ? とか、細かく追及されなかった ? 」
「プライベートな質問はされなかったから、大丈夫よ」
「よかったぁ……じゃあ、チェックアウトしたらロビーのカフェで待ってて」
「うん、ゆっくりしてるから、アキラくんはお仕事頑張ってからでいいわ」
「ありがとっ ! 」
(アキラくん……嘘ばっかりでごめんなさい……)
部屋に戻るとLIMEが入る。友介からだ。
「上条と出かけるんだったね」
「はい」
「何時まで ? 」
「お昼ご飯食べたら、ホテルに戻るって」
「戻るころ教えて」
「はい」
「チェックアウトまで時間あるから、海の見える温泉どう ? 」
「行きません」
「本当に ?」
「はい」
「ちぇっ」
美奈子も、一瞬、あのテラスの温泉に入って海を見たら綺麗だろうなと
思わないでもなかったが、同時に起きるだろう行為を考えると、
とても足を踏み入れるわけにはいかない。
流されやすい自分が無事で済むわけもなし……
(あれは、昨日終わったこと。旅先の気の迷い。早く忘れないと……)
「観光って、どこに行くか聞いてなかったわ」
「まあ、このあたりのメイン観光は海だけど、今は冬だからね。
定番として必然的に……」
「金山 ? 」
「うん、昔はこのあたりは金が採れたらしいんだ」
「へぇ~、知らなかったわ」
「で、その金山を模した坑道とかが再現されているらしいよ」
二人は、ホテルから30分ほどをゆっくり散歩しながら、
その金山施設に着いた。
金鉱石などが展示されている施設に入る。
「これが金塊の見本 ? おっきい ! おもい ! 」
「千石船って、こんなものなんだね」
「これが、掘り出された鉱石 ?
全然金色じゃない」
とか見学しているうちに
美奈子はどこかで見た後ろ姿を発見した。
嫌な予感がして、アキラに伝えようと裾を引いたとき、
「おやぁ、奇遇だね」
声をかけられてしまった。
「あっ、浜田先生。こんにちは。
先生もいらしてたんですね」
アキラもやむなく、にこやかに対応する。
「まあ、このあたり観光すると言ったら、まずはここかなぁと。
上条くんは仕事はいいの ? お客様の案内かな ? 」
「えっ……ええ。せっかく来てくれた葛城さんをご案内しています」
「じゃあ、ボクもお客さんだから、一緒に案内してよ」
と、ずうずうしく言ってくる。
「はい……」
あからさまにアキラは嫌そうな態度を示すが、友介は全く動じず、
ニコニコしている。
「すみません、僕も来るのは初めてで、案内と言っても
ホテルのお客様へのご案内用に、ちょっと聞きかじっただけなんですが」
「あぁ、構わないよぉ。少しでもいいんだ」
「では、こちらの展示館はひと通りごらんになったのでしたら、
坑道に参りましょう。
金山の模様を再現しています」
あまり人気がないのか、たまたまか、ほとんどお客はいない。
アキラが先頭に立って歩き始める。
(ちゃっちゃと終わらせて、別なところに行こうっと)
「結構不気味ねぇ……」
「思ったより暗い……」
美奈子は、そっと友介に囁く
「どういうつもり ? 」
「ヒマつぶしさ。そんなに長く一緒にいないよっ」
「本当 ? 」
美奈子は疑わしそうだが、あまりしゃべれないので、
アキラの方に行く。
こちらにも囁く
「先生、困ったね」
「坑道出たら、他に行くと言って別れましょ」
「そうしよう」
坑道は、若干薄暗い中を縦列で進む。
美奈子の後ろについた友介が、お尻をスリスリ撫でる。
パシッとはたく。
スリスリ
パシッ
スリスリ、ぐにゅ
お尻がつかまれる
「ひっく ! 」
「どうした美奈 ? 」
「ちょっとつまずいて」
「足元気を付けて」
美奈子が睨みつけるが、友介は素知らぬ顔だ。
開けた場所に出る。
ここからは採掘の再現や、神社、銭洗い弁天、お地蔵さま
などの施設が続く
「こんな粗末な衣服と装備で、ホントに掘ってたのかな」
「この黄金の鳥居ってご利益あるんだって ! 」
「それから、お金、洗おっ ! 」
「えっ、アキラくんお札はちょっと……」
「後で乾かせば大丈夫」
友介のことなど忘れて、キャッキャッとふたり楽しそう。
と、アキラに電話がかかってきた。
「やべ、ホテルからだ。ここ電波最悪だから、先に出口
行ってるね。ゆっくり来て……」
「あっ……うんっ……」
アキラは走り去った。
すかさず、友介が近づき
「カノジョをほって仕事かぁ……」
「立派だと思います……」
「でも、ちょっと淋しいよね」
「……」
「まあ、お言葉通り、のんびり見て行こうよ。仕事の話が
続いてるかもしれないし」
「ここを出たら、別行動にするから安心して」
「そうですか」
(よ、よかったぁ)
「だから、ちょっとだけ、こっち」
手を引き、通用口っぽい暗い道に入る。
「ミナが、元カレと楽しんでるのは別にいいさ。
だから、せめて約束の日まではボクが彼氏だと実感させて」
そう言ってキスを迫る。
美奈子は一瞬逡巡するが
「もうっ、少しだけよ」と言いながら受け入れる。
プチュッ
バードキスに留めようとする美奈子だが、
友介は、お尻をわしづかみ、右足を股間に当てて、
ギュっと抱き締める。
その強さに、若干口が開くと、強引に舌をねじこまれ、
舌が絡まり、唾をたっぷりと送り込まれる。
次々と送られて、美奈子はやむなくゴクリと呑み込む。
それだけで、頭がボーッとしてきて、友介の舌が
まとわりついてくるのに翻弄される。
いつの間にか胸も、揉まれ、
股間からは、時々鋭い感覚が伝わる。
「あん……あんまり……触らないで」
「じゃあ、触ってよ」
美奈子の手をペニスに導く……
カチカチだ。
(また……凄い硬い……これに昨夜はイかされたんだ……
それも、今まで経験したこともないイキ方で……
あれは、夢だったんじゃないかと、冷静な頭では思える……)
しゅっしゅとペニスをズボンの上から愛撫する。
友介の手も服の上から乳首を摘まんでお返ししてくる。
膝で股間をブルブルと震わせる。
「やっ……あんまりされると……ホントに……」
「ホントに ? 」
通路で本格的に昂まりかけたその時……
その時、
「あれ ? いないなぁ……」
戸惑うアキラの声が聞こえてきた。
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