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第18話 地下30階の隠しエリア『キュービの里』

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地下15階で休んだ翌日から、レイとマリーは精力的に魔物を狩って行った。予定よりもハイスピードで進んでいる事もあり、魔物を倒してレベルと熟練度を上げる事を優先したのだ。

地下20階ではボスのミノタウロスを、レイの火魔法3連ファイヤーボールと、マリーの水魔法ウォーターレインで倒した。火の玉に水の雨って効果が消えないのか?という疑問は受け付けない。

俺も不思議に思ったがウォーターレインの中でも威力を落とさず3連ファイヤーボールはミノタウロスに命中したのだ。不思議現象だった。

ミノタウロスをサクッと倒した俺達は、地下21階からも魔物を見つけては魔法を放って経験値を稼ぎ、モンスターハウスのトラップを見つけては突撃してマリーに怒られ、経験値を大量に持っているスライムなんかがいないのでひたすら出てくるゴブリンを狩りまくり、偶然見つけたモンスターハウスのトラップを偶然を装って発動してマリーに怒られたりと、様々な事があったが、ダンジョンに入ってから10日間で無事に地下30階の手前まで来る事ができた。

「もうレイ。モンスターハウスは危ないから発動させちゃダメって言ったでしょ。」

「いやあれは偶然だよ。俺だって気づかなかったんだ。」

「どうだか。」

やっぱり気づいてるよね。わかったからそのジト目はやめてくれ。でもゲーマーならわかるだろ?モンスターハウスがどれだけ経験値効率が良いか・・・わかっていてもやめれないってヤツだよ。マリーごめん。俺は次にモンスターハウスを見つけたら、多分、いや絶対発動させると思う。がんばって守るからゆるしてくれ。

「それにしてもけっこうレベル上がったな。35か。これならここからファンドラにも転移魔法でいけるんじゃないか?」

「ダンジョンの中から使えないからわからぬが、キュービから大聖堂までなら転移魔法でいけるじゃろうな。」

たしかにそうか。大聖堂からファンドラ、大聖堂から港町、よくよく考えれば直接行くなら倍ぐらいMPが必要だもんな。大聖堂からファンドラに行くのにMPが約300程必要だった事を考えれば港町からファンドラだったら最低でも600はいるか。キュービからを考えると700~800は必要になりそうだな。俺の今のMPは500弱。まだまだだな。

「レイはいいじゃない。レベルがドンドン上がって成長が実感できて。私なんて10日間魔物を狩りまくって上がったレベルは1よ。やってられないわ。」

「ははは。マリーはレベル80だしな。弱い魔物を倒してもなかなかレベルは上がらないさ。でも攻撃魔法の種類は増えたじゃないか。目に見えない所は確実にレベルアップしてるよ。」

「・・・それもそうね。レイと一緒に冒険できるから一応納得してあげるわ。」

「それでレイよ。次の階に聖獣がおるのか?」

「ああ。マリーとフェニクは知ってるけどミストは初めてだったな。地下30階のボスはスリーフォックス、3尾のキツネなんだ。そしてボスを倒すと隠しエリア、キュービの里に入れるんだ。」

「隠しエリアか。よく見つけれたのぉ。」

「あれはレイのおかげね。」

「ああ。あれはレイのお手柄だったな。俺様もわからなかったし。」

「あれはお手柄っていうか俺の職業のおかげだろうな。壁をすり抜けれるなんて誰もわからないだろ。」

ゲームでは、地下30階のボスを倒した後、「どこかでキツネの鳴く声が聞こえる。」とアナウンスがあり、壁を調べると通り抜ける事ができる。リアルではボスを倒した後ゲームと同じようにレイにはキツネの鳴き声が聞こえ、聞こえる方に歩いて行くと壁を通り抜けたという訳だ。

「なるほどのぉ。聖獣マスターならではという事じゃな。」

「そう言う事。」

「妾も聖獣の住む里に行くのは初めてじゃ。楽しみじゃな。」

キュービの里に行くのは俺も楽しみだった。なぜならキュービの里にいるのは、一尾から八尾の尻尾を持った可愛らしい狐達だから。つもりモフモフである。リアル異世界なら一度は憧れるモフモフ。俺も例外ではない。

もちろんキュビについて調べるのも本当だ。けっしてモフモフのついでという訳ではない。断じてモフモフのついでではない。重要なので、2回言っておこう。念の為だ。

翌日、元気いっぱいの俺達は、地下30階にいるスリーフォックスを倒した。キュービの里にいる狐達とは違いスリーフォックスは尻尾に火を纏って凶悪な顔をしているので罪悪感などない。

マリーと共にウォーターアローを連発した。水の矢が雨の様に降り注ぎ、逃げる場所もなく、スリーフォックスは消え去った。

MPは満タン。そして今日はダンジョンで魔物を倒す予定もない。とくればMPの残量を気にする事なく魔法が使える。

オーバーキル気味だったが、MP残量を気にせず魔法を使いまくれるのはめったにないので思い切りぶっ放した。とても楽しく、満足した一戦だった。

スリーフォックスよ。ご愁傷様でした。

俺は消え去ったスリーフォックスに向かって手を合わした。

「よしそれじゃあキュービの里に向かおう。」

偽物の壁を通り抜け、通路を歩いた先には、狐、狐、狐。

俺達は無事に、目標にしてたキュービの里にたどりついたのだった。
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