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第24話 ファンドラ国王の怒り

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ミュラを先頭に俺達はファンドラ王の玉座の間に向かった。中央大陸での本当にあった事を伝える為だ。

「どうしたんだミュラよ。」

「お父様。とても大事な話があります。人払いをお願いできますか?」

「む?どうしたんだ急に?それ程の事なのか?」

「はい。とても重要な事なんです。」

「わかった・・・おい。ミュラの話を聞くからお前達は下がっている。」

「「「「「はっ。」」」」」

玉座の間にいる兵士達が部屋から出て行くのを確認すると、ミュラはお礼をいい、王に話し始めた。

「実は話はこの方達の事なのです。お父様はこの方達が誰かわかりますか?」

「はて?白髪の男性に銀髪の女性のコンビなぞ・・・いや待て。その顔、もしやローズマリーか。」

「正解です。王様。ご無沙汰しております。」

「どういう事じゃ。なら隣にいる男性は・・・まさか!?レイドールか!?お主は死んだはずでは・・・」

「お父様、これからレイが話す内容は信じられないかもしれませんが、全て本当の事です。」

ミュラが王に俺達の事を伝えてくれ、王の俺達の事がわかったようなので、俺は魔王ファーラミストとの戦いとその後の事を語った。俺の話を聞く王の表情は怒り・呆れ・落胆といった感じだ。最終的には俺達に同情し、ボルテックスに強い怒りを持っていた。

「まさかそのような事が・・・。勇者がそのような者だったとは。それにレイドール。精霊マスターとはそれ程に強かったのじゃな。儂は勇者という職業に目が眩んでいたようじゃ。そう思うと最初からレイと仲の良かったミュラは良い目をしていたのだな。」

「私は初めからレイだけを見てましたから。」

「それでレイドールよ。これからどうするのじゃ?身を潜め、人払いまでして儂に話をしにきたのじゃ。告発して世間の公表するというのではないのじゃろう?」

「はい。告発しても世間は勇者の言う事を信じるでしょう。王様も思っていたようにあくまで主役は勇者であり、俺は勇者パーティの一員。ほとんどの人がそう思っています。」

「それはそうじゃが。そうなるといつまでもお主が報われんぞ。」

「俺は別に報われたいわけではありません。今は冒険者のレイと名乗っていますし、マリーと冒険者活動をしていても、俺達の事がバレる事はありませんでした。マリーとの冒険はとても楽しく、こんな生活も有りかと思ってたぐらいです。ですが、俺には奪われた仲間がいます。それに、勇者は裏切りと殺人を犯してます。そんな者を世界の英雄にさせる事なんてできません。罪を償わせないといけません。」

「ふむ。言ってる事がわかるが勇者は現時点で世間の評判も高い英雄じゃぞ?どうするのじゃ?」

「はい。ミストの情報ですと、実は中央大陸にいる魔王は全部で4人いるみたいなのです。そして、その実力はミスト以上らしいのです。今、ボルテックス達が探してる魔王アルフェンもミストより実力が上ですが、残りの二人は更に実力が高いみたいです。」

「!?それは本当なのか?」

「残念ながら事実です。そして、俺の作戦はこうです。仲間を増やしたと言ってましたがボルテックス達が魔王を倒すのは苦労すると思います。なので、ボルテックスよりも先に俺が魔王を倒そうと考えています。今の俺が何かいっても世間には何も響きません。ただし、俺が魔王を倒した後ならでしょう?自然と俺の言葉に耳を傾けると思います。それに致命的なミスをしています。」

「ミスとは?」

「俺が生きている事です。ボルテックスは俺が死んだと言っています。そしてそれはマジカルシュートとガウラスも同様です。そんな俺が生きてて魔王を倒し、ボルテックス達に殺されかけたと言えば世間はきっと俺の方が本当の事を言っていると気づくと思います。」

「うむ。たしかにそれができればボルテックスを問い詰めるいい材料になるだろう。だがレイドールにそれができるのか?勇者に力を奪われて今のお主は勇者よりも弱いのじゃろう?それに勇者には剣聖に賢者、新たに2人加えておる。確かにお主には同情するし、勇者には強い怒りを覚えるが、世界はそんなに甘くはないぞ。」

王様の言う通りだ。当初より強くなってるとは言え、俺自身がまだまだボルテックスよりも弱い。それなのに魔王を倒す。とか言っても説得力も何もないよな。ただの無謀で命知らずなバカだ。だけど俺は、主人公の俺は絶対トゥルーエンドにできると信じてる。前世の俺の知識、レイの力、ミストの力、聖獣達や神獣達の力、全て合わさればバッドエンドなんかにはさせない。そうだ。俺ならできる。いや俺しかできない。

「必ず結果を残します。」

俺は決意を込めた目を王へと向けた。

「む・・・では・・・2か月じゃ。お主の言葉が本当であれば、次に出てきた魔王にも勇者は苦戦するだろう。今は中央大陸に行っておるが調査を終えて戻ってきたら今度は魔王討伐へと向かうだろう。それがだいたい予定では2か月後じゃ。勇者より強くなれとは言わん。儂にお主の言葉に嘘がないという可能性を示してくれ。」

「わかりました。2か月後ですね。私の決意がうそではないと、王に証明して見せましょう。」

「うむ。期待しておるぞ。できる事は協力しよう。」

「ありがとうございます。」

そう言って、王との話は終わったのだった。
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