辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー

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1巻

1-2

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 メアリーとともに書庫に初めて足を踏み入れた。今まではメアリーが絵本とかを部屋まで持ってきてくれたので、書庫には入ったことがなかったのだ。
 中に入った瞬間、部屋全体を本が埋め尽くしていた。
 さすが大貴族。異世界では本は貴重なはずなのに、何百冊も本があり、僕は「すごい」と盛大に驚いた。
 メアリーとつないでいた手を放して、本の山に歩いていった。
 そこでふと気づいた。
 あっ。僕ってこの世界の文字って読めるんだろうか? 読めなかったら魔法を使う夢が……。
 と、この世界の文字について確認していなかったことを後悔した。


 本の山に近づき、本棚を見上げる。
 背表紙を見て、気づいてしまった。文字が読めない……。
 やはりというか当然、文字は読めなかった。なので、どの本が魔法書なのか当然わからない。魔法を使うためには誰かに文字を教わるか、直接魔法を教わるしかないということだ。
 僕はメアリーに聞いてみた。

「メアリーは魔法って使えるの?」
「私は魔法を使えません。ぼっちゃまは魔法に興味があるんですか?」

 メアリーに聞かれ、僕は「うん。魔法ってかっこいいよね。だから書庫でメアリーに魔法書を読んでもらおうと思ってたんだ」と言ってみた。
 すると……。

「ぼっちゃまはまだ二歳なので、魔法は使えませんよ。魔法は鑑定の儀を経て適性があれば使えるようになるのです。しかも魔法に適性がある方もそれほど多くはありません。私も詳しくはわかりませんが、このお屋敷の中でも奥様ぐらいではないでしょうか。魔法を使えるのは」

 僕はそれを聞いてショックを受けた。
 でも、母様が魔法を使えることを知り、今度母様に魔法を見せてもらおうと心に決めた。

「ぼっちゃまはまだ二歳なんですから、ここにある本よりも部屋で絵本を読んであげます。だから部屋に戻りましょうね」

 メアリーに抱っこされて、書庫の滞在は数分で終わってしまった。


 メアリーに絵本を読んでもらい、その日の夕食時に、僕は母様に魔法を見せてほしいと頼んでみた。

「母様、メアリーから聞いたんだけど、母様は魔法が使えるって本当ですか?」
「あら。クリフちゃん。魔法に興味があるの? ええ、私は魔法が使えるわよ」

 母様は自信満々に胸を張って答えてくれた。

「すごい‼ 母様の魔法見てみたいです」

 僕は魔法を見たい一心で母様にお願いをした。それはもう上目遣いでお願いをした。
 しかし……。

「クリフちゃんには魔法はまだ早いし、危ないから大きくなったらね」

 がんばっておねだりしたのに撃沈した……。

「そうだ。明日、アーサーちゃんとミリアちゃんの鑑定の儀があるの。そこで魔法の適性があれば魔法が使えるようになるのよ。クリフちゃんもいい子にしてたら鑑定の儀で魔法の適性をもらって、魔法が使えるようになるわよ」

 アーサーというのは兄様で、ミリアが姉様だ。

「適性がないと魔法は使えないんですか?」

 僕は母様に思ってた疑問をぶつけてみた。すると、隣にいた父様が答えてくれた。

「適性がないと使えないわけではないが、かなり努力しないと難しいんだ。俺は魔法には適性がないが、剣術に適性があったからそっちの努力をするようにした。だから魔法は全然使えないな」
「父様は剣術に適性があるんですね。すごい‼ 明日は兄様と姉様の鑑定の儀なんですよね。僕もついていっていいですか?」
「そうだな~。もう外に出てもいいかもな。クリフはしっかりしてるから」
「じゃあ明日は家族みんなで鑑定の儀に出かけましょう」

 言ってみるもんだ。これで初めて屋敷の外に出られる。
 魔法が見られなかったのはショックだったが、外に出られることになったので、これはこれでよしとした。


 食事が終わり、僕は部屋で寝る準備をしていた。
 鑑定の儀か~。どんな感じなんだろう。イメージだと教会に行って神様にお祈りする感じだと思うけど……それにしても、魔法を使うまであと三年か~。……長いよな~。
 いや。待てよ。テンプレでは魔法はイメージすれば使えたはず。もしや魔法書がなくても魔法は使えるのかも。
 僕は前世で読んだ小説を思い出し、魔法を使ってみようとベッドから起き上がった。
『火』とか『水』とかは危ないし、『風』を使うと窓を割る心配がある。『土』はこの部屋にはないし、使うなら『光』だな。
 照明とかをイメージしながら、身体の中にある魔力を外に出すようにイメージしてっと。
 僕は目を閉じてゆっくり深呼吸しながら『光』をイメージした。
 手の先を光らせるように。落ち着いて唱えた!

「光よ」

 手が光ったと思ったら、いきなり目が見えなくなった。

「あ~目が……目が……」

 どこかで聞いた悪役のセリフが出てしまった……。いきなり手が力強く光ったせいで、目をやられてしまったみたいだ。でも魔法を使うことができた。異世界に来て本当によかったと思った。
 やった。五歳にならないと魔法を使えないなんてウソじゃん。よし。さっきは魔法を使うために集中しすぎて魔力を込めすぎたから、光が強かったんだと思う。
 次は小さい魔力を意識して指先をちょっとだけ光らせるようにしてみよう。
 僕は再度詠唱した。

「光よ」

 すると、指先が小さく光った。

「やった。成功だ。魔法が使えたぞ。これで僕もまほうつか……」


 僕はガッツポーズをして……そのままベッドに倒れこんだ。


【M P】……0



 第4話 鑑定の儀に行ってみた 兄も姉もチートか⁉


 目が覚めると朝になっていた。

「あれ? いつの間に寝たんだっけ……」

 僕は昨日のことを思い出していた。
 そうだ。昨日魔法を使った後、そのまま気を失ったんだな。ということはMPがなくなって気絶したってことかな。たしかにMPは10ぐらいしかなかったし、『光魔法』が使えたのがうれしくてもう一度使ったのは失敗だったよな。

「ステータスオープン」

 僕はステータスを確認してみた。すると……。


【名 前】 クリフ・ボールド
【年 齢】 2歳
【種 族】 人族
【身 分】 辺境伯家次男
【性 別】 男
【属 性】 火・水・風・土・光・闇・時・空間
【加 護】 創生神の加護・魔法神の加護
【称 号】 転生者
【レベル】 1
【H P】 10
【M P】 11
【体 力】 3
【筋 力】 3
【敏 捷】 3
【知 力】 3
【魔 力】 501
【スキル】 鑑定・アイテムボックス・全魔法適性・身体強化
      無詠唱【NEW!】・光魔法LV1【NEW!】


 おっ‼ 『光魔法』を取得してるぞ。やった!
 僕は異世界に来て魔法が使えるようになったことを、素直に喜んだ。
 それに『無詠唱』も覚えたな。ということは、わざわざ唱えなくても魔法が使えるのか。やっぱり魔法はイメージが大事なんだ。なんだかんだで転生者は前世の記憶があるからイメージもしやすいし、魔法との相性がいいよな。MPと魔力も上がってる気がするし、今後は魔力操作とともに魔法の練習もしていきたいな。
 ステータス画面を見ながらニヤニヤしていると、メアリーが起こしに来た。

「ぼっちゃま、朝食の準備ができております。起きてますか?」
「起きてるよ。着替えるからちょっと待ってて」

 メアリーに声をかけて、僕はすぐに着替えて食堂に向かった。
 今日は兄様と姉様の鑑定の儀についていく日だ。
 僕は屋敷から初めて外に出られるのが、楽しみで仕方なかった。


「父様、母様、兄様、姉様、おはようございます」
「「「「おはよう」」」」

 挨拶あいさつをすると、父様が僕に言った。

「食事が終わったら、みんなで鑑定の儀に出かけるぞ。クリフも大丈夫か」
「はい、父様。ちなみにどこまで行くんですか?」
「ああ、街の中にある教会だよ。五歳になると、みんな教会に行って神様にお祈りをするんだ。今回で言えば、アーサーとミリアが神様に挨拶する感じかな。そして神様から祝福してもらうんだ。その時に加護やスキルを授かるんだよ」

 なるほど。やはりこの世界の住人は、五歳である程度自分の進むべき道がわかるようになるんだな。強力なスキルや加護を授かれば、人生勝ち組ってやつだな。

「父様や母様は、どんな加護やスキルをもらったんですか?」

『鑑定』で見ることもできるとは思うが、『鑑定』を使ったことがバレる可能性もあると思って家族に使ったことがなかった僕は、ここで聞いてみることにした。
「俺は剣術が使える『剣豪けんごう』のスキルに、『剣神の加護』をいただいたよ」と父様。
「私は魔法が使える『魔術』のスキルに、『魔法神の加護』をいただいたわ」と母様。
 二人とも気軽に教えてくれた。

「父様も母様もすごいんですね。今日は兄様と姉様もいい加護とスキルがもらえるといいですね」

 僕は父様と母様がいいスキルと加護をもらってるから、兄様や姉様も同じようなスキルや加護をもらうんだろうなぁ~と思って言った。すると、兄様と姉様が反応した。

「クリフ! プレッシャーをかけるなよ。たしかに父様と母様はいい加護とスキルをもらってるけど、こればっかりは行ってみないとわからないからな」
「そうよ、クリフちゃん。私もいい加護とスキルはもらいたいけど、もし何ももらえなかったらどうしよ~って緊張しっぱなしなんだよ」

 僕はどうやらよけいなことを言ってしまったようだ。

「アーサーもミリアも、そんなに緊張しなくていいよ。もし加護やスキルを授からなくても、お前たちは俺たちの大事な息子と娘だよ。だから気軽に鑑定の儀に臨めばいい」
「そうよ。加護やスキルがなくたって、あなたたちは私たちの大事な子どもなんだからね」

 父様と母様が偉大すぎて何も言えない……。
 異世界では、加護やスキルが得られなかったら、追放されたり、白い目で見られたり、嫌がらせされたりするのはけっこうありがちだ。
 僕はかなりいい家に転生できたようだ。
 改めてこんな所に転生させてくれた神様に感謝した。

「よし。じゃあ教会に行こうか」

 食事が終わり、みんなで教会に向かった。


   ☆


 教会に着くと、神父のような人が声をかけてきた。

「アレク様にミレイ様! 今日はどのようなご用でしょうか」
「ああ、モルト司祭。今日はアーサーとミリアが五歳になったから、鑑定の儀をお願いしに来たんだよ」
「そうですか。アーサー様もミリア様も、もう五歳になられたんですね。それでは中にお入りください」

 司祭に案内されて、僕たちは教会の中に入っていった。
 そういえば、両親の名前って初めて聞いたな。父様がアレク・ボールドで、母様がミレイ・ボールドかな?


 教会の中には神様の像が並んでおり、その真ん中には見たことがあるような像があった。
 あれは創生神様かな。色々な像が置かれているのを見ると、他にも神様はたくさんいるみたいだ。
 僕は神様の像を見回しながら歩いていく。

「皆様はここでお待ちください。アーサー様とミリア様は奥の儀式の間へお進みください」

 司祭が兄様と姉様を呼んだ。どうやら、儀式の間には本人しか入れないみたいだ。

「アーサー、ミリア、行ってこい」
「「はい。父様」」

 二人は司祭に連れられて儀式の間に入っていった。


 待つこと十分……。
 二人はどこから見てもいい加護とスキルをもらったというのがわかるぐらい、ニヤニヤ、キラキラした表情で、テンション高めに戻ってきた。
 これはすぐに確認しなければ。

「父様。無事、鑑定の儀を終えて加護とスキルを授かりました」
「私も、アーサーと同じように加護とスキルを授かりました」
「おおっ! アーサー、ミリア、おめでとう」
「アーサーちゃんも、ミリアちゃんもよかったわね。今日はお祝いしなくちゃ」
「兄様、姉様、おめでとうございます」

 みんなから祝福されて、二人はとてもうれしそうだ。
 それもそうだ。加護やスキルがなくてもいいと父様は言っていたが、ある方がいいに決まっている。
 兄様と姉様のステータスを『鑑定』してみたいな、と思っていると……父様が言った。

「では、どんな加護とスキルを得たか見せてくれ。ステータスの表示の仕方は、司祭様に教えてもらったな?」
「はい。じゃあ俺からいきます。ステータスオープン」

 父様に言われ、兄様はステータスを公開した。


【名 前】 アーサー・ボールド
【年 齢】 5歳
【種 族】 人族
【身 分】 辺境伯家長男
【性 別】 男
【属 性】 
【加 護】 武神の加護
【称 号】 
【スキル】 剣術A・体術A


 兄様のステータスを確認すると、『武神の加護』と、『剣術』と『体術』のスキルを授かったようだ。レベルとか能力値は他人には見えないみたいだ。

「アーサーは武神様の加護に『剣術』と『体術』か。それも、Aならかなりすごいな。よくやった、アーサー」

 父様に褒められた兄様は、満面の笑顔で「はい。ありがとうございます」と答えた。

「次は私ね。ステータスオープン」

 続いて姉様がステータスを公開した。


【名 前】 ミリア・ボールド
【年 齢】 5歳
【種 族】 人族
【身 分】 辺境伯家長女
【性 別】 女
【属 性】 火・水
【加 護】 魔法神の加護
【称 号】  
【スキル】 魔術A・魔力アップA


 姉様のステータスを確認すると、『魔法神の加護』と、『魔術』と『魔力アップ』のスキルがあった。兄様は父様と同じような加護とスキルを、姉様は母様と同じような加護とスキルを得たようだ。

「ミリアちゃん。私のように魔術師タイプね。加護もスキルも優秀よ。おめでとう」

 兄様と同じように、姉様も満面の笑みで「はい。ありがとうございます」と答えていた。

「よし。鑑定の儀も終わったし、家に帰って今後のことについてみんなで話そうか」

 父様がみんなにそう言うと――――

「アレク! せっかく家族で街に出たんだから、買い物していきましょ」

 母様がいいことを言った。
 せっかく屋敷から外に出られたんだ。色々街を見てみたい。母様の意見には大賛成だ。

「ミレイの言うとおりだな。クリフも初めての外だから色々見たいだろうし、ちょっとぶらぶらするか」

 父様はそう言い、みんなでボールドの街を歩いて見て回った。


 服屋、武器屋、防具屋、おしゃれな食べ物屋、宿屋っぽい所や肉屋や野菜を売ってる店など、初めて見る街並みは新鮮で、僕は目をキラキラさせながら「ここは何? ここは何?」とはしゃぎ続けた。
 さすが異世界だ。早く一人で色々見てみたい!
 僕は異世界の街並みに感動しながら、一人でギルドに行って、武器屋で武器を買い、宿屋に泊まって……と冒険することを考えていた。


   ☆


 家に帰ると、夕食時に父様から家族の今後についての話が出た。

「アーサーとミリアは鑑定の儀を終えて適性がわかったから、近いうちに家庭教師を呼んで勉強してもらう。これは七歳から学校に通うために、貴族はみんなしていることだ。まあ家庭教師と言っても、私の友人夫婦だがね」

 この世界では、五歳で鑑定の儀を受け、七歳から基本学校に通い、十一歳で高等学校に通い、十五歳で成人という流れらしい。基本学校は領都にある学校に通うが、高等学校はこれからの付き合いを考えて、王都の学校に通うらしい。
 学校か~。入学試験で無双むそうしたり、生意気な貴族をざまぁしたりとか、やりたいことがありすぎるな。
 僕は前世では学校があまり好きではなかったが、この世界ではとても楽しみにしていた。
 学校で力を発揮するためにも、今は努力してチートできる力を身につけないとな。
 僕は学校に通うまでさらに努力することを心に決めて、父様にあるお願いをした。

「父様! 兄様と姉様の家庭教師が来たら、僕も一緒に勉強してもいいですか?」

 そう。家庭教師が来るなら、剣術や魔法も教えてくれるはず。この機会に僕も色々学びたかった。ていうか早く剣を振ってみたいし、魔法をもっと使ってみたかった。

「クリフにはまだ早いな。まあ、アーサーとミリアの邪魔にならない程度なら、構わないとは思うが……」
「そうね。クリフちゃんは二歳にしては成長が早すぎるから、邪魔にならない程度なら参加しても構わないわよ」

 父様と母様がダメとは言わなかったので、僕も剣術や魔法を学ぶ機会を得ることができた。
 やった。早く家庭教師さん来ないかな~。


 食事を終えた僕は、ベッドに寝転んで指先に『光魔法』で光を灯す練習をしながら、家庭教師がいつ来るのか考えていた。
 ただ……案の定、すぐにMPが切れて気絶した……。


【M P】……0



 第5話 ボールド領の冒険者(家庭教師)はすごかった


 兄様と姉様の鑑定の儀が終わって一カ月が経ち、今日は我が家に家庭教師が来る日だ。
 家族全員で朝から家庭教師が来るのを待っていると、冒険者風の恰好かっこうをした男女のコンビが現れた。
 まず男性が口を開いた。

「おはようございます。今日からボールド様のお子様の家庭教師をさせていただく、ローマンと申します」

 赤髪が似合うさわやかイケメンだ。マッチョというほどではないが、身体は引き締まっており、たたずまいから強そうな印象を受ける。
 そして次に、女性が話す。

「おはようございます。私はスノーと申します。本日より家庭教師を務めさせていただきます。よろしくお願いします」

 こちらは完全に魔法使いの恰好だ。黒のローブに帽子、杖を持ってるから間違いないだろう。魔女と言えばあやしいおばあちゃんが定番だが、スノーさんはすらっとした体形に、ローマンさんと同じく赤髪のロングヘアである。
 おお~、冒険者だ。どっちも強そうだ。父様の友人っていう割には、父様より年上っぽいな。だけどさすが冒険者だな。なんかこう、貫禄かんろくみたいなのがある。これは期待できそうだな。
 すると、二人の挨拶を受けた父様が話し出した。

「ローマン、スノー、久しぶりだな。それにしてもどうしたんだ? そんな丁寧なしゃべり方で。一瞬、別人かと思ったぞ」
「仮にも辺境伯家の当主の家に来るんですから、これぐらいは普通ですよ」
「いやいや、気持ち悪いぞ。いつもみたいに話してくれて構わない」
「ははは。わかったよ。久しぶりだな。アレク、ミレイ」
「ええ。ローマンもスノーも元気そうで何よりだわ。それよりも、あなたたちみたいなAランクの冒険者が、よくうちの家庭教師を引き受けてくれたわね。忙しいんでしょ?」
「ローマンの勘が、この依頼は受けた方がいいって。ローマンの勘は当たるから、今回は引き受けたのよ。まあ、久しぶりにアレクとミレイに会いたかったっていうのもあるからね」
「ああ。俺は直感を大事にしてるからな。そのおかげで今まで五回は死なずに済んでいる。冒険者の心得こころえぐらいしか教えることはできないが、期待してくれ」
「もちろんだ。勉強なんかは俺やミレイが教えられるからな。頼りにしてるぞ」

 父様たちの話を聞きながら、Aランク冒険者っていうのがどれほどの者なのか気になった僕は、好奇心が抑えきれなくて、こっそりローマンさんに『鑑定』を使った。


【名 前】 ローマン
【年 齢】 42歳
【種 族】 人族
【身 分】 Aランク冒険者
【性 別】 男
【属 性】 火
【加 護】 戦神せんしんの加護
【称 号】  
【レベル】 45
【H P】 15000
【M P】 500
【体 力】 2500
【筋 力】 3000
【敏 捷】 1000
【知 力】 300
【魔 力】 300
【スキル】 気配察知・狂化・身体強化
      火魔法LV3・剣術A・片手剣LV7・両手剣LV6・短剣LV6


 ローマンさんのステータスを見て、僕は絶句した。
 強え~。僕の何倍だ? 剣も使えるし魔法も使える万能タイプだな。でも魔法のレベルは剣より低いから、あまり得意ではないのかも……それよりもレベル45‌⁉‌ さすがAランクだな。
 Aランクのステータスを初めて見て、この世界で強者とされる程度がわかった。
 このぐらいまで鍛えればAランク冒険者ってことね。
 それについ『鑑定』を使ってしまったけど、バレている様子もなかったし、これからどんどん使っていこう! しかも、『鑑定』を使うと、普通は見られないはずの他人のレベルとか能力値も見えるんだな。
 僕は続いてスノーさんを『鑑定』してみる。


【名 前】 スノー
【年 齢】 40歳
【種 族】 人族
【身 分】 Aランク冒険者
【性 別】 女
【属 性】 水・土・光
【加 護】 魔法神の加護
【称 号】  
【レベル】 43
【H P】 8000
【M P】 6500
【体 力】 1000
【筋 力】 800
【敏 捷】 800
【知 力】 2000
【魔 力】 2000
【スキル】 同時魔法・詠唱短縮・消費MP半減・魔術A
      水魔法LV7・土魔法LV5・光魔法LV7


 スノーさんのステータスもすごかった。魔法使いタイプで属性が三つか……。
 この世界には、複数属性を持っている魔法使いはどれぐらいいるのかな? 僕は全属性に適性があるけど、全属性使える魔法使いっていないよね……。


 そしてローマンさんとスノーさんに連れられて、兄様と姉様は会議室へと向かっていった。
 もちろん僕も後を追った。
 これから色々がんばるぞ。僕は期待に心を躍らせ、スキップしながら後をついていった。

  
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