辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー

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1巻

1-3

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  ☆


 ローマンさんとスノーさん、兄様と姉様がいる会議室に入っていく。すると、なぜか母様とメアリーも一緒にいた。
 僕はローマンさんたちに、「僕も一緒に教えてもらっていいですか?」と、子どもが得意とする上目遣いをしながら席に着いてみた。

「クリフ様もですか……? まあ減るもんじゃないし、構わないですよ」

 ローマンさんはこころよく引き受けてくれた。

「クリフ、邪魔はするんじゃないぞ。ローマンさんとスノーさんに迷惑はかけるなよ」

 兄様にそう言われ、「うん。わかった」と返事する。
 兄様しっかりしてるな。これが長男としての自覚ってやつかな。
 僕は兄様と姉様を見ながら、ふとそんなことを思った。

「ではアーサー様、ミリア様。本日から勉強を始めたいと思います。と言っても俺やスノーが教えられるのは冒険者についてだけだから、それほど教えられることはないかもしれません。それに、俺たちは冒険者業がメインだから、あまり来ることもできない。来た時には色々教えてやれるが、あまり期待しないように」

 さすがAランク冒険者だ。普通、高ランク冒険者っていうのはもっと変にプライドが高い人ってイメージがあるのだが、この二人は礼儀もしっかりとしていた。

「先生。先ほど父様も言っていましたが、私たちは先生に教えをう立場です。アーサーと呼んでください」
「私もミリアと呼んでください。私は早く魔法を使ってみたいです。スノー先生、お願いします」
「僕も。クリフです」
「む……わかった。じゃあアーサーくんにミリアちゃん、クリフくんと呼ぶことにしよう」
「「「はい」」」

 すると、母様が言った。

「それじゃあ、午前中は座学をするわよ。アーサー、ミリア、クリフ。よく聞きなさい」
「えっ? 座学は母様がするんですか?」
「そうよ。ローマンとスノーでは教えられないことも多いしね。貴族として覚えないといけないこともあるから、座学は基本、私とメアリーが担当するわ。七歳から領都の基本学校に通うようになるから、その前に文字の読み書きや計算、歴史など、覚えることは多いわ。アーサーとミリアは、学校でも周りから領主の子どもって見られるから、しっかりと勉強しましょうね」

 なるほど。領都の学校だから領主の子どもとして恥ずかしい姿は見せられないってことか。だから優秀な冒険者をつけて今のうちから勉強させる、と。
 まあどこの親も同じようなことを考えるだろうけど、全員が全員、学校が始まるまでに家庭教師を雇えるわけはないだろう。基本学校から読み書きとか計算を学ぶ人もいるんだろうな。
 そう、ここは異世界なので、基本的な教養がない人も多い。家庭の事情で学校に通えない子もいるからだ。


「それじゃ、早速さっそく始めるわよ。今日はこの国について教えるわね。アーサーは、この国の名前を知っている?」

 どうやら座学は母様がメインで話すみたいだ。まあ母様を差し置いてメアリーが色々話すわけにもいかないから、当然か。

「はい。サリマン王国です」
「そうよ。地理で言うと、今私たちが住んでいる所が領都ボールドで、ボールドは王都サリマンの西に位置するの。サリマンを中心に王国があって、北には聖国、南には帝国があるわ。そしてボールドの西に広がる魔の森の向こう側に魔国がある。だいたい大きな国はそれぐらいね。あとは小さな国もいくつか存在するけど。だいたい大きな国を覚えておけば問題ないわ」

 なるほど、聖国ってことは教皇がいて、聖女がいる感じだよな。帝国は実力主義で皇帝がいる感じか。魔の森っていうのもよくあるな。森の奥に行くほど強い魔物がいるのかな? 魔国には魔族がいるのかな? あれっ、じゃあ王国の東側には何があるんだ?
 僕は気になったが、二歳で色々質問するのはやばいと思い、ただただ母様の話を聞いていた。

「じゃあミリア。辺境伯領の役割って、何かわかる?」
「はい。ボールド領は魔の森から魔物がおそってこないように、定期的に森の魔物を狩って王国に被害が出ないようにすることと、万が一魔族が攻めてきた時に防衛できるように備えていると、父様が言っていました」
「正解よ。ボールド領では魔物の討伐とうばつを定期的に行っているのよ。なので、強さが求められるの。だから、ボールド領にいる冒険者の平均ランクは王都の次に高いのよ」

 そこまで母様が話すと、スノーさんが言った。

「ちなみに、領主様は魔の森に現れたドラゴンを倒したのよ」
「「「えっ」」」

 僕たち三人は驚いた。

「父様はドラゴンを倒したんですか? ドラゴンって物語に出てくる大きな火をく竜ですよね」

 兄様が代表でスノーさんに質問した。

「そうよ。アレクとミレイ、王様と王妃様の四人でパーティーを組んでいてね。魔の森の中心ぐらいにドラゴンが現れたんだけど、当時は大騒ぎだったのよ」

 おお⁉ 父様と母様はドラゴンスレイヤーだったのか。すごいな、英雄レベルだ。しかも王様とパーティーを組んでたとか、まさにテンプレだな。これは王様が娘である王女様を連れて辺境伯領に来た時に、王女様と僕は出会い仲良くなって……って流れで決まりだな。
 僕はハーレムのきざしが見えたことにニヤニヤしながら妄想もうそうした。

「「父様、すごい」」

 兄様と姉様も目をキラキラさせて、スノーさんの言葉を聞いていた。

「アレクとミレイは英雄ね。だからアーサーくんとミリアちゃんにも強くなってほしいと、私たちに家庭教師を依頼したの。英雄様からの依頼だし、私も張り切ってるわ」

 スノーさんの話をどこか恥ずかしそうに聞いていた母様が言った。

「アーサーとミリアの適性は分かっているから、お昼ご飯を食べたら、午後からは護衛騎士のネルソンがアーサーを、ミリアは私が引き続き見るわね」
「えっ? ローマン先生とスノー先生は?」
「ああ、俺たちは今日は挨拶に来ただけで、午後からは予定があるんだ。悪いな」

 せっかくAランク冒険者の腕が見れると思ったのに、残念だな。まあ王国のことやボールド領のことが知れたのはよかった。
 午後の実技、どうしよっかな。魔法を取るか、剣術を取るか。どちらについていこうかな~……。


   ☆


 午後からの実技に向けて、僕はどちらについていこうか考えていた。
 剣術のネルソンか、魔法の母様か。どうしようかな? どっちも魅力的だけど……魔法は五歳になるまで使えないってことになってるから、ネルソンの方に行ってみるか。
 僕は剣術系のスキルはまだ持ってないが、将来的には必須だと思っていたので、ネルソンに実技を教わることにした。


 屋敷の庭に行くと、ネルソンと兄様が話をしていた。

「さて、アーサー様は『剣術』と『体術』のスキルと、『武神の加護』を持っているんでしたね」
「うん。どちらもAランクだったよ」
「そうですか。かなりいいスキルと加護を授かりましたね。『剣術』は『両手剣』や『片手剣』などの剣を使うスキルに上昇補正がかかるし、『体術』は素手での戦いに上昇補正がかかります。さらに『武神の加護』は戦闘に対して上昇補正がかかるので、ここで基礎を学んでしっかり勉強すれば、私よりも強くなれると思いますよ」
「本当⁉ がんばる」

 兄様は気合いを入れて答えた。

「ですが、まず知っておいてほしいのが、スキルが全てではないということです。『剣術A』のスキルがあるからといって、『剣術』スキルを持たない者に必ず勝てるかといえば、そうではありません。負けることもあります。アーサー様、なぜかわかりますか?」
「わからない……」
「要はスキルとは才能であり、使いこなせなければ全く意味がないということです。アーサー様はまだ剣の握り方も知らなければ、振り方も知りません。スキルは努力をする者への後押しだと思ってください。いいスキルがあるからと訓練をサボって堕落だらくした人を見たことがありますが、アーサー様はしっかりと努力できますよね?」
「もちろんだよ。ネルソン」

 なるほどな。たしかに「スキルがある=強い」ということではないよな。『剣術』スキルだって、持ってれば剣のレベルが上がりやすいってだけで、実際に剣を振れるかは経験によったりするもんな。
 僕はネルソンの話に真剣に耳をかたむけながら、剣術系のスキルがない僕でも、剣を握って魔物を狩ることができる可能性があると考えて、早く剣を振ってみたくなった。

「よし、それじゃ実際に剣を振ってみましょうか。まずは素振りからですね。と、その前に準備運動をしましょう。剣に慣れるのも大事ですが、身体をほぐしておかないとケガをするし、危ないですからね」

 ネルソンを真似まねて、僕と兄様は準備運動とストレッチをした。

「よし、じゃあ素振りからしてみましょう。まずは私が見本を見せるので、同じようにしてください。剣は木剣を使います。危ないですからね。素振りの基本は上からの振り下ろしです。片手剣だと片手で振り下ろしたり、振り上げたり、横になぎ払ったりしますが、初めは木剣の重さに慣れることから始めます」

 ネルソンにそう言われ、木剣を握ってみるとたしかに重い……。これは難しいな。素振りというより、上下に移動させてるだけって感じだ。兄様も何度も素振りをしているが、かなりきつそうだ。僕も兄様を見習って、休憩を取りながら木剣を上下に懸命に動かした。

「はい。その辺でやめましょうか。どうでしたか?」
「ネルソン。腕が重くてもう上がらないよ」
「僕も腕が重いよ」
「はっはっはっ。そうでしょうね。初めはみんなそんなものです。これから毎日素振りをして慣れていくんです。私が来られない時も、しっかり素振りをしておいてくださいね」
「「うん。わかった」」
「つまらないかもしれないですが、強くなるためには基本の動きがすごく大事なんです。応用は基本が身につけば自然とできるようになるので、しばらくは座学と、実技は基本の素振り、打ち合いと身体づくりですね。これが自然にできるようになるまでは他のことは覚えない方がいいです」

 なるほど。たしかに地味なことをコツコツと、って前世でもよく言われてたな。実際に経験してみると重要性もよくわかるし、僕は兄様よりも三年も早く始めてるんだから、少しずつ慣らしていけばいいか。
 初日の実技の授業はきつかったが、教えてもらった内容がとても充実してたので、自分自身の成長に大きくつながった気がした。


 その日の夕食時――――

「アーサー、ミリア、今日の授業はどうだった?」

 父様から今日の授業の内容を聞かれて、二人が答えた。

「はい。木剣で素振りをしたんですが、重くてネルソンみたいには全然できませんでした」
「私も母様に魔術の基礎を教えてもらったんですけど、魔力の塊が全然動かなくて大変でした」
「そうだな。俺も木剣を握った頃はそんな感じだったな。だが、毎日続けていたら違いが自分でもわかるようになって、うれしくてずっと木剣を振っていた気がするな」
「私もそうね。初めは動かなかった魔力の塊が、少しずつ動く距離が伸びてきて、魔力も目に見えて増えるのがわかると、楽しくなるのよね~」
「クリフはアーサーと一緒に素振りしたんだってな。大丈夫だったか」
「はい。重くて動かすだけでも苦労しましたが、最後の方は上から下に振り下ろせた気がします」
「お前はまだ二歳なんだから、無理するなよ」
「は~い」

 僕はしれっと返事をした。
 その日から、母様とメアリー、そしてネルソン、ローマンさん、スノーさんに色々なことを教わる日々が始まった。



 第6話 相棒ゲットだぜ⁉


 ローマンさんたちが家庭教師をするようになって、僕の生活は少し変わった。兄様と姉様と一緒に座学をして、昼からは兄様についていって身体を動かしたり、姉様のそばで魔法を見たりと、ようやく異世界っぽくなってきた。
 と言っても二歳児の身体なので、速く走ることもできないし、長くしゃべり続けることもできない。心は大人、身体は子どもの状態だ。
 そんな中、今日も兄様と一緒に身体を動かそうと庭に出ると、家庭教師のローマンさんたちはまだ来ていなかった。

「兄様、今日はローマン先生とスノー先生、遅いですね」
「そうだな。今日の午前中は、冒険者の依頼があるって言ってたから、もしかしたら長引いてるのかもしれないな。先生がいつ来てもいいように、身体をほぐしておこうか」
「はい」

 僕は二歳児の身体を思いっきり動かした。そして……。

「兄様、疲れました……」

 準備運動だけで完全燃焼してしまった。
 まあ二歳児だし、体力も全然ないんだから仕方ないよな。あ~、早く剣を振り回してゴブリンとかスライムを倒したり、魔法を使ってドラゴンを倒したりしたいな~。異世界ってあこがれてたけど、成長するまでは地味なことが多いから、小説でも「ひたすら魔力操作をした」とかで、さらっと流されることが多いんだよな~。体験してみないとこればっかりはわからないよな~。

「ははは。それはそうだろう。俺だってお前くらいの頃はこんなことしてなかったからな。屋敷の中をミリアと歩き回ってたぐらいだ。まあ無理するなよ」
「はい」
「おっ。来たみたいだな」

 準備運動が終わるタイミングで、ローマンさんとスノーさんが現れた。

「待たせてしまったみたいだな。ちょっと魔の森でトラブルがあってな」
「トラブル⁉ 大丈夫なんですか?」
「ええ。解決したからもう大丈夫よ。って、あっ‼」

 スノーさんの持っているバッグから黄色い何かが飛び出してきた。

「えっ⁉」
「もう、まだ動き回れる状態じゃないんだから、大人しくしてなさい」

 スノーさんは黄色い何かを捕まえて、頭をなでた。よく見ると、それは小さな生き物だった。

「スノー先生、それは?」
「ああ。さっきローマンがトラブルがあったって言ったでしょ。森の中でこの子が魔物に襲われていたの。さすがに見殺しにはできなかったから、助けて保護したのよ」

 その見た目、そして「キッキッ」と鳴く声。あれはまさか⁉ ……と思っていると、兄様が言った。

「フェネックですね」
「フェネック? 兄様⁉ 知ってるんですか?」
「うん。本物を見たのは初めてだけど、家の書庫にあった本で見たことがある」
「ああ。近くに親の死骸しがいがあったから、多分この子を守ったんだろう」

 フェネックって言うんだ。でもこの動物ってアレだよね? マジか……これはほしい。絶対ほしいぞ。異世界に来たらスライムとかフェンリルとかドラゴンだろ? って思ってたけど、小動物もありだな。何がありって、異世界定番のもふもふ。そしてさらに小動物と言えばアニメの定番だ。有名キャラは、だいたいリスだったりキツネだったりお供にしてるもんな。あ~、指出して「痛くない」って言いて~‼

「スノー先生。僕も触っていいですか?」
「構わないわよ。でも魔物に襲われてちょっと臆病になってるから気をつけてね」

 僕はスノーさんに近づいて、抱きかかえられているフェネックの耳を触った。
 柔らかーーい。これがもふもふか。こりゃラノベの主人公たちがとりこになるのもわかるな。
 耳をなでられたフェネックは、気持ちよさそうに目をつぶり、喉を鳴らした。そして、スノーさんの腕から抜け出して、僕の身体を登ってきた。フェネックの子どもとはいえ、頭の上に乗ってくると、二歳の僕にとってはとても重かった。

「あら! クリフくん、気に入られたみたいね」

 そうなのだ。頭の上に乗ったかと思えば、僕がその重みにえきれなくなって座り込むと、頭から降りて僕の顔をチロチロとめ始めたのだ。
「怖くない」って言って仲良くなりたかったけど……まあ結果オーライか。こんなにかわいいんだ。気に入られたのは素直にうれしいな。

「スノー先生……。このフェネック、僕にくれませんか?」
「えっ? それは……」
「クリフ。ダメだろ! スノー先生が見つけてきたんだぞ」

 止めようとした兄様に、スノーさんが言った。

「ううん。それは大丈夫なんだけど……」
「ああ。クリフくんが飼いたいって言うなら、この子をゆずってやるのは構わない。この子もクリフくんになついているようだしな。が、ご両親に許可を取らないとな」

 ローマンさんがそう言うのを聞いた僕は、とたんに走り出した。

「「あっ⁉」」

 先ほどの準備運動で疲れていたのも忘れて、屋敷の中に戻り、父様にフェネックを飼っていいか聞きに行った。
 フェネックも僕の後を追ってきた。といっても、僕よりもフェネックの方が速かったので、何度も何度も僕を追い抜いては立ち止まってこちらを振り向く。その仕草がなんともかわいくてかわいくて……。絶対にフェネックを飼うと心に決めた。
 そして、父様に言った。

「父様。僕に初めての友達ができました」

 フェネックを飼いたいとお願いするのではなく、もう友達だから一緒にいていいよね、というていで伝える作戦に出て、フェネックを無事に飼えることになったのだった。
 異世界での僕の初めての仲間は、フェンリルでもスライムでもなく、アニメによく出てくる小動物、フェネックだった。


 僕はフェネックに「リース」と名前をつけた。リースと友達になってからは、日々の訓練も苦じゃなくなった。それはそうだろう、あのもふもふ、つぶらな瞳。リースがいれば、練習の疲れなんて吹っ飛んだ。
 そして僕は、フェネックのリースとともに、異世界をもっともっと楽しむことを心に決めたのだった。



 第7話 ステータス爆伸び 二年間の努力


 家庭教師のローマンさんとスノーさんが初めて来た日から、二年が経った。僕は四歳になり、アーサー兄様とミリア姉様は七歳になっていた。
 この二年間はとても充実していた。
 毎日毎日、体力づくりのために庭をけ回り、兄様と素振りをしたり、姉様に魔法を見せてもらったりと、努力した。しんどかったけど、チートのため、ハーレムのため、子どもながらに地味な訓練はこたえたが、必死にがんばった。
 ローマンさん、スノーさんとの家庭教師の契約は、兄様と姉様が基本学校に入学するまでだったので、今日で終了である。さみしい限りだ。
 あ~、長かったけど二人とも今日でお別れか~。二人には本当によくしてもらったな。こんな四歳児にすごい丁寧に教えてくれて、感謝しかないな。
 父様が言った。

「ローマン、スノー。二年間ありがとう。おかげでアーサーもミリアも、そしてクリフもたくましくなったよ」
「「「先生、ありがとうございました」」」

 僕たちは二人に感謝の言葉を口にした。

「いやいや、家庭教師って言われるほどのことなんて全然してないから、そこまでお礼を言われても困るな。暇な時にアレクの屋敷に来て、ちょっとお前らを見てタダ飯食ってただけだからな」
「いえ、先生たちからは冒険者のイロハを教えてもらいました。このボールド領には魔の森があるので、先生たちに教えてもらったことはすごくためになりました」
「そうね。二年間があっという間だったから、さみしいわね」

 ローマンさんと、スノーさんが別れを惜しんでくれている。姉様は泣き出してしまった。

「まあ、ローマンもスノーも依頼で王都に行っても、また戻ってくるんだろ? 全く会えなくなるわけじゃないんだ。また戻ってきた時には一緒に魔物の討伐とかをすればいいじゃないか」
「「「父様!?」」」
「そうだな。俺たちのホームはボールド領だから、アレクの言うように、アーサーくんたちが冒険者登録したら一緒に冒険するのもおもしろいかもしれないな」
「なら話が早い。ボールド領に戻ってきたらまた顔を出してくれ。こちらから指名依頼という形で依頼を出すようにしよう」
「わかった。アレク、ミレイ、アーサーくんにミリアちゃん、クリフくんもまたな」
「みんな。またね」
「ローマン先生。スノー先生。二年間ありがとうございました。また会える日を楽しみにしています」

 そう言って、また冒険者のイロハを教えてもらう約束をし、ローマンさん、スノーさんと別れたのだった。

   
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