辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー

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第十一章 新大陸ウエストディザイア

第360話 クリフの秘密

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「どうしたの改まって?」

「実はララに色々隠してる事があるんだ。大事な話だから聞いてくれるかい?」

「隠し事?大事な事なのね・・・わかったわ。」

クリフは、こことは別の大陸から来た事。そこで、破壊神アシュラが大陸二つを巻き込む戦争をしようとしてる事。その戦争を止める為に来た事を話した。

「それって・・・本当の事なのよね?」

「まあいきなり信じろって方が難しいのはわかってるよ。でもほら。これでどうかな?」

クリフは何もない所から、剣を取り出した。

「それって・・・アイテムボックス?」

「うん。他にも回復魔法も使える。こっちの大陸に来る時にアシュラと悪魔達にバレない様に能力を封印してるんだ。スキルなんかは封印してないけど、なるべく使わないようにしてる。」

「そうなんだ・・・うん。たしかにそれを見せられたらクリフの言ってる事がうそじゃないってわかるよ。でもなんで私に教えてくれたの?」

「単純にララが信用できると思ったからだ。俺は一人でこの大陸に来た。アシュラは直接下界に干渉できないって言われてるから戦争するにしてもこちらの大陸で、どこかの組織が関わっていると思っている。今の俺は能力が封印されてるから、強い相手がくると対処できない。だから慎重に行動してるんだ。冒険者になって、行動してみて、現状一番怪しいと思ってるのが教会だ。」

「教会が?」

「ああ。ララも気づいてると思うけど、教会は冒険者が試練の塔で魔物を狩るのを快く思ってない。」

「だけど、教会が回復術士を貸し出したりマジックバッグを貸し出したり冒険者に協力してるよ。」

「表向きはね。考えても見てよ。マジックバッグ・・・あれがあれば冒険者はより長く試練の塔に滞在する事ができ、多くの魔物を倒して多くの素材を手に入れる事ができる。ただ現状は、マジックバッグの貸し出し料金が高い為、容量一杯に素材を入れたとしても赤字になる。そんなマジックバッグを借りる冒険者なんていないし、採算度外視でマグックバッグを借りる冒険者は、素材よりも魔物を倒す事を目的としてるから、きっと教会に目を付けられてると思う。ただでさえ、冒険者の情報はギルドを通じて教会へ伝わってる。魔物の討伐数が良い例だ。素材の量と冒険者の討伐数が合わない冒険者はやはり教会に目を付けられてると思う。」

「まさか・・・そんな・・・あっ。だからクリフはマジックバッグを使わずあんな方法を使ってたの?」

「うん。まあ教会には目を付けられただろうけど、合法的なやり方だし目くらましにはなってると思う。アシュラが教会に指示を出してるのか。それとも悪魔と教会が繋がってるのか。現状は推測の域を出ないけど、その辺が怪しいと思った。」

「・・・クリフ。実はクリフに言ってなかった事があったんだけど、私のパーティが全滅したのって、毎回一体の魔物だったんだ。赤い目に二対四枚の翼に真っ赤な唇、クリフの話を聞いた後だと、あれって悪魔なのかもしれない。」

「ララ。それは・・・。」

「うん。よくよく考えたら、都合よく違う階で同じ魔物っていうのはおかしいと思う。私はアルファロードの試練の塔で、3度遭遇してる。アレはその階に出てくるどの魔物よりも圧倒的に強かった。」

(試練の塔に悪魔がいる・・・。もしかして悪魔は試練の塔の中で冒険者を狩っている?何のために・・・まさか数を減らしてるのか?となると今回、大きく魔物を倒した俺をターゲットにする可能性はあるな。逆にララと一緒にいると危険か?)

「なるほど。たしかにそれはちょっとおかしいな。悪魔の可能性もある。試練の塔で死ぬ冒険者の内、何人かは悪魔の仕業かもしれないな。死んだら情報は持ち帰れないから広まっていないって事か。」

(でもそう考えると、悪魔と遭遇して生き延びているララも危ないか。なら置いて行くより一緒に行く方が良いな。だが、今の俺の実力で悪魔に勝てるのか?)

「クリフが言うように教会と悪魔が繋がってて、教会が魔物を倒すのを良く思ってないなら、今後クリフが悪魔に狙われるんじゃ?」

(ララは意外に頭が良い。俺と同じ考えに至ったか。)

「その可能性はあるね。だから俺は一日も早く封印した能力を解放する為にも魔物を狩って経験値を増やして強くならないといけないし信用できる戦力は多い方がいい。悪魔がどれだけ強いかわからないけど、今の俺の実力はBランク程だ。悪魔以外にも敵対するモノの実力がSランクやAランクじゃちょっとヤバい。」

(まあいざとなったらスキルを駆使するから、倒せない訳ではないと思うけど・・・)

「だから奴隷の事を言ってたのね。奴隷は裏切らないから。もしかしてクリフはあの手足が無い獣人の子の欠損を治せたりするの?」

「・・・俺なら治せる。だが正直迷ってる。俺が獣人の子を治した事が教会に伝われば俺が回復魔法が使えるがバレる。教会がどこだけ警戒してるかわからないけど、最悪、俺がもう一つの大陸から来た事がバレるかもしれない。そうなると計画を早めて戦争を仕掛けるかもしれない。それはまずい。」

「たしかに・・・なら、通常の奴隷で戦力を増やすしかないか・・・。でもそうするとお金が足りないね。」

「ああ。何をするにも魔物を狩って、素材を売って、お金を稼ぐしかないんだよな~。正攻法を続けていくのが、一番の近道なのかもしれない。」

「クリフ!!私も仲間の仇を討ちたい。協力させて!」

「いいのか?危険な道だぞ?」

「クリフは私を信じてくれた。だから私はそんなクリフを信じてついて行く。」

「・・・ありがとうララ。やっぱり一人よりも二人の方が選択肢が広がる。ララの事は俺が絶対に守るし、ララの前で俺は死なない。だから・・・協力してくれ。」

「もちろんよ。」

秘密を打ち明けたクリフは、信頼できるララを得て、大規模戦争回避に向けてその後も打合せを続けるのだった。
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