21 / 23
第2章 犬殺しの章
第19話 蘇り(1)
しおりを挟む
「夜にはそちらに着けると思います」
妹がいまだ体調不良であること、そして僕はこれから深夜までバイトであることを叔父に電話で伝えると、即座にそう返ってきた。
「すみません、昨日も遅くまでうちにいてくださったのに……」
「何を言っているんですか。僕は逆に、普段は遠慮しがちなお兄さんがそうやって私を頼ってくれることを嬉しく思いますよ」
「いや、僕は……」
昨日に引き続き、叔父の言葉にまたも形容しがたい、なんとも落ち着かない気分になる。
そんな僕の様子に気づいているのかいないのか、電話の向こうからは吐息をもらすような笑いが聞こえてきた。
そして、
「お兄さん」
と打って変わって改まったような、幾分硬い声音が僕の鼓膜を揺らす。
「……はい?」
「バイトのことも、金銭面についてなら私にもっと頼ってもらって構わないんですよ。高校に通いながら家事もバイトもするなんてただでさえ大変でしょうに、週末は深夜まで働いて……無理する必要はないんですよ? なんなら仕送りを増やして――」
「無理なんかしてません」
思いのほか響いた自分の声にはっと息をのむ。
いつの間にか立ち止まっていた。
周囲を見渡して人の気配のないことにまず胸をなでおろす。
叔父の言葉を遮ってまで、何を僕は焦っているんだ。
胸に手を添え深呼吸をして、このよく分からない胸のざわめきを抑えることに専念する。
落ち着け。落ち着け。落ち着け。そう唱えながら歩みを再開する。
「……すみません、大きい声を出してしまって」
この第一声を発するのに予想外のエネルギーが持っていかれた。
しかし叔父が二の句を継ぐ前に、僕は話を進めなければならない。
「でも、本当に大丈夫です。バイトは僕が好きでやってるんで」
「それは、たとえそうだとしても」
「それに」
今度は意識的に声を張る。
「叔父さんに完全に甘えてしまうのは、僕の心情的に申し訳ないというか許せないというか……。
今まで叔父さんに仕送りでもらった分、全部とはさすがに言えないんですけど、いつか返したいとも思っていますし」
「それはあなたが気にすることじゃ」
「すみません、これは僕のわがままなんです。……僕のわがまま、聞いてくれませんか?」
食い気味に、そして懇願するように訴えた僕の言葉を最後に会話が途切れた。
僕は無音のスマホを耳に当てたまま、ひたすらに歩く。
そして、長かったような短かったようなその沈黙を最初に破ったのは、叔父だった。
「……ずるい、ですねえ」
自嘲気味な呟き――でも。
「お兄さんにそんなふうに頼まれたら、そのお願い、聴くしかないじゃないですか」
次いで弱ったなあとぼやく叔父の声は、ずいぶん柔らかかった。
「ありがとうございます」
「まったく……お兄さんも体調にはくれぐれも気を付けてくださいよ? 何かあったらすぐに私に伝えるように」
「はい」
ここは素直に肯定の意を示しておいた。
そんな僕の返答に満足したのか、叔父はそれにしてもと話題を変える。
「妹さんはまだ体調不良が続いているんですね」
「はい……というより、何か様子がおかしいというか……」
「様子が?」
「はい」
「そうですか……」
そう思案気に呟いた叔父がしばし思考の海に沈む。
その間に僕はスマホで今の時刻を確認した。……大丈夫、まだバイトの時間までは余裕がある。
「……妹さんは、何か言っていましたか?」
そこで突然浮上した叔父の声に僕は慌てて返答した。
「いえ、なんというか要領を得ないというか、逆に何も言わないというか」
「ほう」
「たぶん上手いことはぐらかされました」
「そうですか」
僕の言い草に叔父がくすくすと笑い声をもらす。
「分かりました。そこら辺のことも気にしておきますね」
叔父のその言葉を最後に、それでは、と電話は途切れた。
まあとりあえずこれで妹が夜、家に一人でいることを回避することができたわけだ。これで一安心と僕はスマホをしまった。
「まじか」
叔父との電話からしばらくして。
いつもバイト先への近道に使っている細い路地に差し掛かると、そこには『通行禁止』の看板が立っていた。
その先では作業服を着た数人がなにやら声を張り上げながら重機を扱っている。
どうも一時的な工事を行っているらしい。
これは面倒だ……。
ちなみに誤解がないように言っておくと、もちろん作業をしている彼らに罪などはなく、逆に住みよい街づくりに貢献してくださってありがとうございますと感謝せねばならないのだが、こちらとしてはなんとも運が悪い。
仕方ない、別の道で行くか。
余裕をもって家を出てよかったと安堵の息をもらしつつ、僕は踵を返した。
そうしてしばらくの間、普段は通らない家々が立ち並ぶ道を歩いていると。
「――、―――!」
怒鳴り声、だろうか。
遠くの方からなにやら荒々しい声が聞こえてきた。
閑静な住宅街に不釣り合いなそれに首を傾げる。
どうも女性の声のようだが、果たしてこの先で何が起こっているか。
気持ち足早に進んでいくと、次第にその内容が聞き取れるようになってきた。
「――んであんたは言うことが聞けないの!?」
数メートル先から響いてくるヒステリックな女の叫び。
「さっさと死んじまいな!」
――バタン!
それに続く、窓を力強く閉めるような音。
そして、静寂。
まだ女の叫びの余韻が耳に残る中、僕は一軒の赤い屋根の家の前で立ち止まった。
何の変哲もない一軒家である。
錆びの浮いた門扉。その先に見える玄関扉は固く閉ざされている。
家の周囲はぐるりとブロック塀で囲われており、中の様子をうかがうのはなかなかに難しい。
しかし門扉の隙間からこっそりと庭をのぞくと――それは、いた。
犬。
雑種、だろうか。
リードでポールにつながれたキツネ色の毛並みの犬が、そこにはいた。
ただし目をそむけたくなるような姿で。
ぐったりと地面に横たわり、生死の判断はかろうじて上下する腹から見て取れる程度。
その腹もあばら骨が浮き出ており、大型犬のサイズであろうその身体は、毛は抜け見るからにやせ細っている。
本来なら精悍な顔つきであろうそれも、まるで生気を感じない。
あの声の主に――飼い主に虐待されてるのか。
犬の近くには水の入っていたであろうトレイがひっくり返って放置されており、辺りの地面が濡れている。
元気な犬ならあんなリード、かみ千切って逃げられるだろうに。
そんな力も残っていないのだろう。
ボロボロのリードが付いた赤い首輪は、犬の首に食い込んでいるようにも見える。
弱いものは逃げられない……耐えるしかない、のか。
呼吸をするのも苦しそうな犬を手の届かないところから見つめながら、なぜか僕には幼い頃の日々が思い出された。
あの時、もしも誰かの手によってもっと早くあの日々が終わりを迎えていたならば……今の僕は、どう変わっていただろうか。
そんな柄にもないありもしない仮定が頭に浮かんだことに自嘲しながら、僕は飼い主に見つからないようそっと門扉から離れ、バイト先への道を急いだ。
そうしながらも僕は、あの虐待されている犬のことが頭からずっと離れずにいた。
妹がいまだ体調不良であること、そして僕はこれから深夜までバイトであることを叔父に電話で伝えると、即座にそう返ってきた。
「すみません、昨日も遅くまでうちにいてくださったのに……」
「何を言っているんですか。僕は逆に、普段は遠慮しがちなお兄さんがそうやって私を頼ってくれることを嬉しく思いますよ」
「いや、僕は……」
昨日に引き続き、叔父の言葉にまたも形容しがたい、なんとも落ち着かない気分になる。
そんな僕の様子に気づいているのかいないのか、電話の向こうからは吐息をもらすような笑いが聞こえてきた。
そして、
「お兄さん」
と打って変わって改まったような、幾分硬い声音が僕の鼓膜を揺らす。
「……はい?」
「バイトのことも、金銭面についてなら私にもっと頼ってもらって構わないんですよ。高校に通いながら家事もバイトもするなんてただでさえ大変でしょうに、週末は深夜まで働いて……無理する必要はないんですよ? なんなら仕送りを増やして――」
「無理なんかしてません」
思いのほか響いた自分の声にはっと息をのむ。
いつの間にか立ち止まっていた。
周囲を見渡して人の気配のないことにまず胸をなでおろす。
叔父の言葉を遮ってまで、何を僕は焦っているんだ。
胸に手を添え深呼吸をして、このよく分からない胸のざわめきを抑えることに専念する。
落ち着け。落ち着け。落ち着け。そう唱えながら歩みを再開する。
「……すみません、大きい声を出してしまって」
この第一声を発するのに予想外のエネルギーが持っていかれた。
しかし叔父が二の句を継ぐ前に、僕は話を進めなければならない。
「でも、本当に大丈夫です。バイトは僕が好きでやってるんで」
「それは、たとえそうだとしても」
「それに」
今度は意識的に声を張る。
「叔父さんに完全に甘えてしまうのは、僕の心情的に申し訳ないというか許せないというか……。
今まで叔父さんに仕送りでもらった分、全部とはさすがに言えないんですけど、いつか返したいとも思っていますし」
「それはあなたが気にすることじゃ」
「すみません、これは僕のわがままなんです。……僕のわがまま、聞いてくれませんか?」
食い気味に、そして懇願するように訴えた僕の言葉を最後に会話が途切れた。
僕は無音のスマホを耳に当てたまま、ひたすらに歩く。
そして、長かったような短かったようなその沈黙を最初に破ったのは、叔父だった。
「……ずるい、ですねえ」
自嘲気味な呟き――でも。
「お兄さんにそんなふうに頼まれたら、そのお願い、聴くしかないじゃないですか」
次いで弱ったなあとぼやく叔父の声は、ずいぶん柔らかかった。
「ありがとうございます」
「まったく……お兄さんも体調にはくれぐれも気を付けてくださいよ? 何かあったらすぐに私に伝えるように」
「はい」
ここは素直に肯定の意を示しておいた。
そんな僕の返答に満足したのか、叔父はそれにしてもと話題を変える。
「妹さんはまだ体調不良が続いているんですね」
「はい……というより、何か様子がおかしいというか……」
「様子が?」
「はい」
「そうですか……」
そう思案気に呟いた叔父がしばし思考の海に沈む。
その間に僕はスマホで今の時刻を確認した。……大丈夫、まだバイトの時間までは余裕がある。
「……妹さんは、何か言っていましたか?」
そこで突然浮上した叔父の声に僕は慌てて返答した。
「いえ、なんというか要領を得ないというか、逆に何も言わないというか」
「ほう」
「たぶん上手いことはぐらかされました」
「そうですか」
僕の言い草に叔父がくすくすと笑い声をもらす。
「分かりました。そこら辺のことも気にしておきますね」
叔父のその言葉を最後に、それでは、と電話は途切れた。
まあとりあえずこれで妹が夜、家に一人でいることを回避することができたわけだ。これで一安心と僕はスマホをしまった。
「まじか」
叔父との電話からしばらくして。
いつもバイト先への近道に使っている細い路地に差し掛かると、そこには『通行禁止』の看板が立っていた。
その先では作業服を着た数人がなにやら声を張り上げながら重機を扱っている。
どうも一時的な工事を行っているらしい。
これは面倒だ……。
ちなみに誤解がないように言っておくと、もちろん作業をしている彼らに罪などはなく、逆に住みよい街づくりに貢献してくださってありがとうございますと感謝せねばならないのだが、こちらとしてはなんとも運が悪い。
仕方ない、別の道で行くか。
余裕をもって家を出てよかったと安堵の息をもらしつつ、僕は踵を返した。
そうしてしばらくの間、普段は通らない家々が立ち並ぶ道を歩いていると。
「――、―――!」
怒鳴り声、だろうか。
遠くの方からなにやら荒々しい声が聞こえてきた。
閑静な住宅街に不釣り合いなそれに首を傾げる。
どうも女性の声のようだが、果たしてこの先で何が起こっているか。
気持ち足早に進んでいくと、次第にその内容が聞き取れるようになってきた。
「――んであんたは言うことが聞けないの!?」
数メートル先から響いてくるヒステリックな女の叫び。
「さっさと死んじまいな!」
――バタン!
それに続く、窓を力強く閉めるような音。
そして、静寂。
まだ女の叫びの余韻が耳に残る中、僕は一軒の赤い屋根の家の前で立ち止まった。
何の変哲もない一軒家である。
錆びの浮いた門扉。その先に見える玄関扉は固く閉ざされている。
家の周囲はぐるりとブロック塀で囲われており、中の様子をうかがうのはなかなかに難しい。
しかし門扉の隙間からこっそりと庭をのぞくと――それは、いた。
犬。
雑種、だろうか。
リードでポールにつながれたキツネ色の毛並みの犬が、そこにはいた。
ただし目をそむけたくなるような姿で。
ぐったりと地面に横たわり、生死の判断はかろうじて上下する腹から見て取れる程度。
その腹もあばら骨が浮き出ており、大型犬のサイズであろうその身体は、毛は抜け見るからにやせ細っている。
本来なら精悍な顔つきであろうそれも、まるで生気を感じない。
あの声の主に――飼い主に虐待されてるのか。
犬の近くには水の入っていたであろうトレイがひっくり返って放置されており、辺りの地面が濡れている。
元気な犬ならあんなリード、かみ千切って逃げられるだろうに。
そんな力も残っていないのだろう。
ボロボロのリードが付いた赤い首輪は、犬の首に食い込んでいるようにも見える。
弱いものは逃げられない……耐えるしかない、のか。
呼吸をするのも苦しそうな犬を手の届かないところから見つめながら、なぜか僕には幼い頃の日々が思い出された。
あの時、もしも誰かの手によってもっと早くあの日々が終わりを迎えていたならば……今の僕は、どう変わっていただろうか。
そんな柄にもないありもしない仮定が頭に浮かんだことに自嘲しながら、僕は飼い主に見つからないようそっと門扉から離れ、バイト先への道を急いだ。
そうしながらも僕は、あの虐待されている犬のことが頭からずっと離れずにいた。
0
あなたにおすすめの小説
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
現代文学
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる