婚約者にざまぁしない話(ざまぁ有り)

しぎ

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王太子

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アランが呆ける。アランは第一王子である。いつでもアランは周囲の人間に殿下と呼ばれてきたはずだ。そう、そのはずなのだ。・・・今日、ガブリエーレは、エメラインはアランを殿下と呼んだだろうか。
「アラン様」と呼ばなかっただろうか。アランは思い返す。ガブリエーレはいつから自分をアラン様と呼んでいただろうか。ローザと会ってから、生徒会室に来ないことに苦言を呈しに来た時から。
今日のパーティーの開会の挨拶の原稿を渡しに来た時、ガブリエーレはアランを何と呼んでいただろうか。
「アラン様はたくさんの勘違いをしておられますが、その中でも特に大きいものがそれだと思いますわ。アラン様は自分のことを王太子だと思っておられましたね?」
だからこそ王妃はローザだなどと世迷いごとが吐けたのだ。
「第一王子だから。王妃の唯一の子だから。そんな理由で空っぽの頭に国を任せられるほどこの国は盤石ではないのです」
ガブリエーレがともにいれば良かった。優秀な婚約者がそばで支えられるならアランはいつか国王になれただろう。
唯一の王妃の子。そんなものに胡坐をかいたからこそ、こんなことになってしまうのだ。
「次の王太子には第二王子殿下がなられるでしょう。側妃の子という立場ですが、優秀な方ですし、婚約者との関係もよろしいですから、支えあうことが出来るでしょう」
私たちもそうあれれば良かったのですけれど。
優秀とは程遠い王子は優秀な婚約者である公爵令嬢が支えることで王太子になれるはずだったのだ。婚約破棄をしてしまってはもう遅い。ガブリエーレにも今更関係を修復しようという意思はない。
「廃嫡、となられるか、公爵令嬢達に冤罪をかけたことで幽閉か国外追放か。どうなるのかは私にもわかりません。できるだけましな選択がなされることを祈っております。それではアラン様」
さようなら。お元気で。
ガブリエーレが静かに礼をした。

アランはいつまでも呆けていた。
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