地味令嬢は前世の推しにあやかりたい。

しぎ

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お茶会

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鏡を見る。
鏡の中に座る少女はいつだって沈鬱そうな表情をしている。黒の長い髪に薄灰色の瞳。口を引き結んだ表情はおどおどとして見える。
私はいつだって可愛くない。姉と見た目だけはそっくりだというのに。中身が外見ににじみ出ている。
はぁとため息を一つついて無理やり口角を引き上げる。どうか少しだけでも可愛くなりたい。姉のようになりたい。
「・・・行こう」
また出そうになったため息を一つ飲み込んで私は鏡の前から立ち上がった。

「あ、やっと来た。コーネリア。こっちに座りなさいな」
家の庭園に据え付けられた東屋から、姉が笑顔で手を振った。もう全員が集まっていたので私は少し小走りになる。
「ごめんなさいお姉さま。髪型が決まらなくて」
「なんにもしなくてもあなたは綺麗よ。私にそっくりなんだから。ほらそっち、あなたは伯爵の隣よ」
姉が手を振り向けた席の隣で男がふいと視線を逸らした。長く伸びた焔のように赤い髪、ルビーのように赤い瞳がこちらを向くことはない。
「・・・お待たせしてすみません、ジーグルド様」
「・・・あぁ」
喉の奥で唸るようにして私の婚約者は一言だけ返事をした。
「なんだ俺には何にも無しか?せっかく持ってきたクッキーは全部フローレンスにやろうか?」
姉の隣で男が快活に笑う。姉はわずかに頬を膨らませて男の肩をつつく。
「ここのクッキーはお茶会用で後で私のためにたくさん焼いてくれるって言ったじゃない。オズウィン。本当にこの市販のクッキーを私に食べさせてお腹一杯にさせるつもり?」
「いやごめんごめん。嘘嘘。フローレンス様のために謹んで、心を込めてクッキー、焼かせていただきます」
楽しそうに戯れる姉たちを見て私は少し緊張していた気持ちがほぐれるのを感じた。思わず緩んだ口元で姉の夫に返す。
「ふふ、ごめんなさい。次からは最初にその場にいる全員に注意を払うようにするわ」
姉夫婦と私と私の婚約者。4人で行うお茶会ははた目から見れば和やかなものに見えるだろう。
私の婚約者、ジーグルドが私のことをちらとも見ないことを除けば。
ジーグルドが私の姉の方をじっと熱い瞳で見つめていることを除けば。
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