悪役令嬢だったので、身の振り方を考えたい。

しぎ

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カーティア、不満を思い出す。

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カーティアは『白銀の騎士と癒しの姫君』という小説が大好きだったが、一つだけどうしようもない不満があった。それが物語の終盤、「学外訓練」だ。
その不満とは、「学外訓練」の話が始まった瞬間、さも当然かのように魔法の話をされたからだ。唐突に魔法の属性の話が出てきてどこか読み飛ばしたかと最初から読み直したほどだった。キャラクターたちが魔法を使えることがさも当たり前かのように語られる。主人公のシャルロットが癒しの力を持つということに物語の中で他キャラに違和感を持たせないためだとは思うのだが、何ならこの「学外訓練」以降、魔法の話は全く出てこないので、この設定本当に必要か?と読みながら首を捻ったものだった。カーティア自身も魔法を使えることは分かっているが日常的には全く使わないし普段認識もしていないぐらいのものだった。つくづくいらない設定だと思う。
この「学外訓練」、内容はというと貴族には魔法の訓練が必要だということで、全学年の学生達が学校の外れの森で3日間、自分の属性の魔法を訓練するというものだった。生粋の貴族たちが3日間、森の中で過ごすことになるのでなかなか話としては面白いことになる。そして最終日、気を緩めたシャルロットたちを獣達が襲いかかる(ちなみにこの獣は魔獣とされている。この話以降魔獣や魔の付くものは出てこない)。訓練したとはいえ使い慣れない学生達の魔法では歯が立たず、少なくない人数が負傷する。1人で背を向けて逃げ出そうとしたカーティアがテオフィラを突き飛ばし、テオフィラは顔に大きな傷を負う。ダレンとセストが協力して魔獣を倒す傍ら、シャルロットが強く願ったことで癒しの力が発動し、テオフィラの顔の傷をまるで無かったように綺麗にし、他の学生達の負った傷も治してしまい、力尽きたシャルロットはその場に倒れてしまう…という話である。この話までシャルロットの癒しの力はすり傷を治せる程度の小さなもので、友人を助けたい、と強く願うことで力が覚醒したと表現されていた。
つまり、シャルロットの癒しの力を最大限に使おうと思えば、このイベントは起こす必要があるものだ。物語的にも現在この世界で生きている現実的にもシャルロットの覚醒は必要で。
でも。
「…どうしたのティア、変な顔して」
「…なんでもありませんわ、テオ」
友達に怪我をしてほしくないというのは、優先していい感情だろうか。
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