悪役令嬢だったので、身の振り方を考えたい。

しぎ

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カーティア、的を狙う。

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数メートル先の的を狙い、手に力を込める。何か力を細く鋭く押し出す感覚で。ひゅっと飛び出した水は的の中心から僅かに外れた位置にぶつかった。
「わ、惜しかったねティア」
「…もう少し練習するべきですわね」
軽く上下に振った手がほんの少しも濡れていなくて何だか妙な気持ちがした。

学外訓練2日目、カーティアはテオフィラと共に訓練に励んでいた。上位貴族下位貴族年齢問わず同じ属性の魔法が得意な者達が固まって訓練を行なっている。
カーティアとテオフィラは水属性の魔法が得意である。シャルロットは光属性、ダレンは火属性、彼女を取り巻いているヴィクターは土属性、テオフィラの婚約者のセストは雷属性である。カーティアの婚約者のアルドはカーティア達と同じく水属性であり、カーティア達から少し離れたところで黙々と水を使った造形の訓練に励んでいる。なかなか筋が良いらしく角の生えた馬の実物大サイズをなかなか精巧に作り上げている。
…属性が偏っているなとはカーティアは原作の時から思っていた。割と数少ないメインキャラ3人が同じ水属性なのは偏っていないかと。あと悪役令嬢のカーティアは火属性っぽくないかとも思っていた。なんとなく。イメージで。
閑話休題。
使いなれないとはいえ生まれつき持っている魔法である。大体の学生達は戦うために無意識に使いこなせるほどではないが、ある程度まではこの2日間でできるようになっていた。
カーティアも確実に真ん中を射抜けるほどではないが少なくとも的には当たるようになっている。高位貴族としてこれだけできていれば問題ないだろう。これからはほとんど使わないものだし。軽く意識して魔法を使ってみる。手の上に球形に浮いた水の塊はカーティアの意のままに動く。それがなんだか高揚するような、気持ちが悪いような。前世の自分が妙に渋い顔をしている気がしてカーティアは僅かに口元を緩めた。
「魔獣が出てきたりすれば、実践訓練と洒落込めそうだけどね」
なかなか笑えない冗談を言うテオフィラにカーティアは引き攣った笑い顔を返す。
「流石にあり得ませんわ。…つい最近駆除をしたところですもの」
ぱしゃりと解けた水の塊が空気に溶ける。

カーティアは物語の展開と友人を天秤に乗せ、友人を取った。メラーニ公爵家の名を使い、学外訓練で用いられる森にいた魔獣を徹底的に駆除させた。凶暴化した魔獣が数体居たらしく、トラブルを事前に防げたということでカーティアは教員に感謝されてしまった。
このままいけば何事もなく学外訓練は終わるはずだ。
何もなければ。
カーティアは遠くにいるシャルロットを盗み見る。離れた所にいるシャルロットの表情は分からなかった。
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