最強勇者の最弱物語

暗黒魔界大帝国王リク@UNKnown_P

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第二章~勇者修行編~

1.予言書通り

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 スフィカが死んだあの後、ソフィアや町の回復屋にたのんで、何とかスフィカの組成ができないかと試行錯誤してみたのだが、なんせあの子は呪いで死んだのだ。
残念なことに、むりだとはっきり断られてしまった。俺は『最強勇者』であるはずなのに。あの子を守り切ることができなかった。

 「勇者どの。私たちも一気に有名になったな!!」
「そうだな!!町、というより街か。こうして街を出歩くと、様々な人に握手とかサインとかインタビューとかを要求されるもんな。俺の場合、名前を聞かれたときとかめちゃくそ困るんだけどな...。」
「ふふっ。」

 俺はヴァニラと二人きりで散歩をしている。デートではないぞ。この街は、旧アニマニクス共和国とグランドドイッスが合併した『グランドドイッスおよび東アニマ二クス同盟共和国』と呼ばれている。

 「勇者どのって予言書『ヌゥオストゥラダミィアミュウスの小予言』という本を読んだことがあるかや?」
「なんだその言いにくすぎる名前の本は!せめてノストラダ○スの大予言だろ!いや、違う。『闇の勇者の大予言』だと思うぞ!」
本当は、文字数稼ぎのかもしれない。そう思った俺だが、あえて言わないことにした...。
「なんじゃそれ...『ヌゥオストゥラダミィアミュウスの小預言』が正しいよ!!」

 「いや、待て待て。俺は今までの人生の中で数々の本を読んできたのだが、そのような本は一度たりとも見かけたことはない。」
「ちょっと待って!私は今までの人生、それを頼りに生きてきたといっても過言ではないからさぁ。無いとか言わないでよ!!」
 
  魔王を倒してからはや一週間が経過した。今、俺とヴァニラは騒がしい町の路上でけんかする事態となった...。

 「よう!勇者さん!」
俺の背後から野太い男性の声が聞こえてきた。
...しかし、その正体は一ミリも知らない中年男性のもだった。
 「今忙しいのじゃ!!後で来てください!」
と、ヴァニラはおっさんに対し少し強めにいう。

 「...」
急な出来後にびっくりしたのおっさんは黙り込み若干混乱が混ざったすがすがしい笑顔で俺らを見つめている。
「わかった。賭けをしようか。このおっさんにどっちが有名か聞いて、負けたら...どうしよっか?」
「晩飯抜きでどうじゃ?」
「いいだろう。受けて立とうじゃないか。『闇の預言書』は絶対にあるはずだ。だって読んだことがあるのだから。」

 「さあ!おっちゃんどの!!『ヌゥオストゥラダミィアミュウスの小予言』か『闇の...なんとか』のどっちが有名なのかや?」
おっさんは、ヴァニラの予言のない唐突な一言に混乱し、額に汗を流してあきれながら口を開いた。
「どっちかというと、闇の勇者の大予言が正しいぞ。」
おっさんがそういうとヴァニラは目を見開いておっさんのほうを睨んだ。

 「えええ!?絶対的に違うはずだよ!おっちゃんどの!!」
「そうかいそうかい...。ちなみに君はその『ヌゥオストゥラダミィアミュウスの小予言』の作者は知っているのかい?」
「嗚呼!知ってるよ!ダニエル・スミスさんでしょ!?」

 俺は知っている。ダニエル・スミスさんのことを。
超有名な鍛冶屋さんなのだ。
「正解!ちなみにちなみに、わしの名前は知っているか?」
「オッ・チャンさんですか?」
「違う...。教えてやろう!わしがそのダニエル・スミスだぞ!!」
おっさん...ダニエルさん?はそう言って再度腕を組みなおした。

 「ええええええ!?この予言書『ノ(省略)』の作者ってあなただったの!?嘘...意外。」
「そうだ!ちなみにとっても言いにくいことなんだが、その予言書に書いてあることは全てうそだ。」
嘘なのかい!?横には、おっさんからの衝撃の事実に慌てふためくヴァニラがいる。これ、勝ちをもらいました。

 「その本、お父様にもらったのですが...。」
「いや、実はな。五年くらい前、アニマニクス国王の何とかスフィランクスに娘を政治に興味を持たせるための嘘の予言書を作っておいてくれって頼まれていたんだ...。」
え、ええ!?そんなのきいてないよ!とでもいうかのような表情をするヴァニラ。そして、話に乗れない俺。

 「あのくそ親父!!」
「ヴァニラちゃん...?」
「勇者どの!なんだ!?」
ヴァニラは相当カリカリしている様子だ。目つきが怖すぎる。犯罪者を見るような目をしている。

 「晩飯......無しね。」

 「は!?まってまって!?それはずるいよ!おっちゃ~ん!『闇の勇者の大予言』も存在してないよね...?」
ヴァニラは俺からプイっと顔をそらし、キラキラとした目でおっさんを見る。
「残念だが、伝説上には存在していた。」
「嘘...でしょ!?私。今日ご飯食べれないの...?」


 その日の夜
おっさんと共に食事をすることになった。ここは人気なステーキ屋さんだ。素敵だ。
俺の前には特上ハンバーグ、おっさんはステーキを注文したみたいだな。ヴァニラはというと......まさかのキャットフードだ...。ドンマイ。

 「何よ!この始末...!!」
ヴァニラが両手をテーブルに突き出し、立ち上がった。ほかの客に見られている。
「おいおいおい。おっさんのおごりだぜ、第一お前は負けたんだぞ?」
「いや、キャットフードはさすがに...。」
「...。わしも、キャットフードを与えられるのは無しよりもきついことだと思うぞ...。」
おっさんが呆れた顔でそう言った。

 「そうだよね!おっちゃん、分かってるう!」
「...仕方がないな。なんか好きなものでも注文しなさい。」
「やったー!ありがとうおっちゃん。」
おっさん。せっかくの罰ゲームを台無しにするなんて!と俺は思った。

 「さて、質問なのだが、なぜ初対面の俺たちにおごってまでステーキ屋に連れてきたんだ?」
俺はこの店に来てからこれがずっと疑問だった。おっさんが俺たちに食事を与える子で得られるメリットなどないはずなのだ。
「実は...もぐもぐ...だな...もぐもぐ。...とりあえず食べ終わろうか。」

 
 三十分後
 「ふー。しかし、うまかったな。どれどれ、さっきの話の続きだが、わしは今『フラニック・オブ・クライネス』と『最強勇者』と『闇の勇者の大予言』について興味を持っていたのだ。」
「「ふむふむ。」」
「そしたらだぞ、フラニック・オブ・クライネスを持った最強勇者が予言書について話をしていたという最高で驚愕なシュチュエーションに遭遇したんだ。こりゃ、気になるに決まっているじゃろ!」
 おっさんが熱く語りすぎたせいか知らないが、俺のコップに入っていた氷が少しづつ溶けていった。

 「さて。勇者くん。『闇の勇者の大予言』について何か知っていることはないか?」
おっさんはどうやら俺の返答に期待をしているみたいだが、答えはもちろん...。
「「ない。」」
この一言に限る。そして、またまたハモった。

 「俺はあるぜ。」
俺とヴァニラの背後からイケボが聞こえた。
「それは本当か!?」
「おう。」

 その男は金髪でなかなかのイケメン高身長だった。
そして、テーブルが四人席なくせに、席に座らずヴァニラの椅子のでっぱりに肘を置き、本を片手に立ちながら登場した。
 「一体?なんですか?教えてください。」
「五十銀貨だ。」

 「ど、どうぞ。」
おっさんは潔くお金を渡してしまう。五十銀貨といえば大体リンゴ5個分くらいの勝ちだと俺は思う。
 
 「じゃあ、話すぞ。今、この世界にはアニマニクス国王の所有する『光の勇者の大予言』というに進んでいる。例えば、フラニック・オブ・クライネスを手にし、最強となった勇者が魔王を倒す。などと書かれているみたいなんだ。ほら、事実全く同じだろ?」
「ほう、それで?」
「そして、次の予言はこうだ。魔法に変わり、科学が発展し、最強勇者は最弱勇者となるだろう。と書いてあるんだ。」

 「...化学か。」
気づいたら俺はそうつぶやいていた。ていうか自分、そんなやばい本に載るほどの大きい存在なんだな...。
しかも、俺が弱くなるとか言ってやがるし...。しかし、そんなこと以上に気になるのは、『科学』だ。もう一つの預言書『闇の勇者の大予言』で読んだことがあるし、フラニック・オブ・クライネスが刺さってた男も言っていた。...科学の誕生とともに世界の滅亡が近くなっているということを。

 「続きを是非と教えてください!」
「十枚だ!」
おっさんは、「はい」と十枚の銀貨を渡す。
「違う、金貨十枚だ。」
...これが無茶を言うイケメンの図である。金貨一枚が約銀貨百枚に匹敵するので、リンゴ百個分くらいになる。
「さすがにそんなにありません。」
おっさんがしょんぼり押した表情を見せる。

 「あの...。俺、さらに詳しいですけど?」
俺がそういうと、二人は「教えて!」と言わんばかりに一人五十銀貨ずつ、合わせて百銀貨が俺の前に置かれた。
「いやいや、話は無料でご提供しますよ!」
俺はそう言い目の間の銀貨を押し返した。
「じゃあ、お話ししますね。えっと、『闇の勇者の大予言』って本なんですけど。」

 「『闇の勇者の大予言』だと!?」

 俺が話をしようとしているというのにイケメンは狭い店の中で大きく叫んだ。周りの客、そして店員にめっちゃ見られてるじゃんか...。
「す、すまない。取り乱してしまった。」
「はい。その本で読んだのですが、科学の誕生とともに世界の滅亡が近づいてくるって書いてあったんですよ。」
俺の話にヴァニラを含め、店のほぼ全員が驚愕した。

 「それは本当か!?」
「はい。予言が正しいならば。」
「まじか...。光と闇の預言書が二種類あるって言ったじゃないか。それは基本、一文ずつ交互に読むことで成り立つという設定なのだが、『闇の勇者の大予言』はもうこの世界には一冊もない。そのため、知っている人はほとんどいないと思っていたのだが。何で知っているんだ?」

 「昔、家に置いてありました。」
そして再びおっさんは驚愕の顔を俺に見せた。今日一日で何回驚いてんだ...。
「今はどうした!?」
「バカ野郎!!」

 イケメンにバカと言われはらがったたが許すことにする。なぜなら僕の怒りをフラニック・オブ・クライネスが検知すると紋章が勝手にバトルモードへと突入してしまうのだ。正直この仕様、意味が分からない。
「ならば、科学の誕生を阻止しないといけないのか。」
おっさんの言葉に俺は一年前のあの日のことを思い出した。

 「そういえば、対アニマニクス用の魔法を使わない魔車が開発されたってニュースが流れてたよ。一年位前に。」
そうだな、あの日...スフィカ...と共に。

 「まじかよ!?」
イケメンが言った。俺の話を聞いた途端、おっさんがイケメンの持っている本を手に取り、パラパラっとページをめくった。そして「これだな!!」と言って俺たちの本を見せつけた。
そこには『戦車』と書かれていた。

 「さっきから黙っているそこのケモ耳嬢ちゃん!!君は何か知っていることはないのか?」
おっさんがヴァニラを指さした。そして、ヴァニラはスカートのポケットに手を入れた。
 「この紙、見てください。」
ヴァニラがテーブルに広げた紙は、左下にp24と右下にp25と書かれていた。

 「「消せ、科学を。...?」」

 イケメンとおっさんはポカーンとしている。
「これは、フラニック・オブ・クライネスとともに死んでいた人の遺書です。」
俺がそういうと、イケメンはっと顔をひきしめた。
 
 「そ、その人は、恐らく闇の予言書の作者である『闇の勇者様』だ。」
イケメンは再度、目を丸くしながら紙をじっくりと眺めている。

 「ど、どういうこと?」
ヴァニラがポカーンとした表情を浮かべる。
「私、王女だけど、その辺がよくわからないんだよ!」
実は、俺もそこらへんよくわからない。

 「知らないのか。この世界にはもともと、二人の勇者がいたとされているのだ。一人はフラニック・オブ・クライネスを巧みに扱う闇の勇者、そしてもう一人は、魔法を扱う光の勇者。この二人がいたから世界はバランスを保っていたらしい。それなのに、前回の魔王襲来の時、闇の勇者はフラニック・オブ・クライネスを魔王に奪われてしまったらしい。それと同時にその人による『闇の勇者の大予言』は姿を消したそうだ。」

 「なるほどね。」
ヴァニラがあいづくを打ったのと同時に俺はひとつの疑問が浮かんだ。
「ていう事は、俺は二代目をやる必要があるのか?」
「そうなるな。」
「...」
嘘でしょ!?と心の中で思ったが冷静に無言を貫き通した。
 
 「一ついいかい?」
おっさんが左手の人差し指を立てた。
「はい?」
「このまま光の予言書通りに進むと、お前は最弱勇者になるらしいんだが。」
「...闇の予言書がないので、何が起こるかはわかりませんが、それで世界が平和になるんなら、俺。やります。じゃあ、そろそろ俺は帰りますね。」
「がんばれ。」「応援する。」「勇者どの。ファイト!」

 こうして俺は店を出た。外は暗い。まさしく闇だ。そして、後ろから走ってくる足音が聞こえる気がする。


 「勇者様!」

 「な、なんだよソフィア...。」
「た、大変なことになりました!!」
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