最強勇者の最弱物語

暗黒魔界大帝国王リク@UNKnown_P

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第二章~勇者修行編~

9.修行編

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 そしてあれから、一日が経過した。
「まず、己を鍛えることが大切なのじゃ。経験値稼ぎよりも大切じゃ。」
「ほぉ。」
「なんじゃその態度は。」
「...すみません。」
 あれから俺はわけわからん山道を歩かされて、頂上らへんのよくわからん岩場で野外授業をしてもらっている。

 「なぜ己を鍛えることが大切なのかわかるか?」
「ノー。」
「...。正解は、いくら剣が強くたって持ち主の腕の力がないと意味がないからじゃ。」
「あ~はいはい。なんかそんなことを昨日悟りましたので実感はあります。」
昨日までは強くなりたいとほざいていた俺がいたが、今の俺は何だ。せっかく修行させてもらえるというのに強くなることをめんどくさいと思ってしまっていたな。

 「じゃあ、さっそくお願いします。」

 (ドドンッ!!)
なっなんだ!?音がしたぞ。
「この石を持ち上げてみるがよい。」
音ともに置かれた石は左右に石が棒によって括り付けられていて、ちょうど両手で持ち上げることができそうな大きさをしている。
 
 「プッ。困難楽勝っすよ!」
軽そうなので持ち上げてみることにした。
しかしあれ!?まったくと言っていいほど持ち上がる気配がない。この石意外と重いな...。500キログラムくらいあるぞ...。
 「どうじゃ?重いじゃろ?なんせ500...」
「キログラムですね!?」

 「...いや、500トンじゃ。」

「なっ!?」
予想をはるか大きく上回る驚愕の数値に俺はびっくりしてしまった。だってトンだぞ!?

 「この石を持ち上げることができれば、お前さんはフラニック・オブ・クライネスを扱うことができる資格を得たのと同然じゃ。」
...まてまてまて、アレク爺さんふぁここまで運んできたっていうことは、俺の目の前にはフラニック・オブ・クライネスを扱えるジジイが確かに存在しているということになる。

 「あの、アレク爺さんはフラニック・オブ・クライネスを扱えるのですか?」
と、聞いてみた。アレク爺さんが扱えるのであれば、俺がわざわざ最強勇者になる必要はない。魔王と敵もいないことだし。

 「いや。この石はただの石ではなく、ヘヴィアートクリスタルをふんだんに使っているからまだ重くないだけなんじゃよ。」
「...?なんですそれ?」
「知らんのか。えーとな。魔力を吸収してどんどん重くなっていくクリスタルなのじゃ。まだ魔力は全然吸収されていないからめっちゃ軽いはずじゃよ。」
「...となると、何トンですか?」
聞いてはみたものの。俺は10トンくらいだと思っている。しかし、予想は大きくはずれ、アレク爺さんは50キログラムだと答えた。最強勇者俺。弱すぎだろ......。

 「パン買ってこい。」
...へ?いきなりアレク爺さんが命令してきた。
「ど、どこのパン屋ですか?」

 「そのパン屋はアニマニクス地区の城の前にあるはずじゃよ。わしは昼食をそこで食べるのが一日の定めなのじゃよ。」
「俺はパシリですか...?」
「そうじゃ。さもなければ修業はせぬぞ。」
「...はい。」
内心だるいと思っている俺がいる。なぜなら、この山はグランドドイッス地区に含まれているからアニマニクスの城はめちゃくちゃ遠いのだ。

 「あと、これ。」
アレク爺さんはカゴと紙を渡してきた。その紙には十個ほどの品名が書かれていた。ちなみに代金は渡されていない...。
 「じゃあ、今すぐ行ってこい。話はそれからじゃ。」

 二時間後
 中途、休憩をはさみながら走り続けた結果、約二時間で目的の店までたどり着いた。
「やあ!!勇者どの!!」
 店の横でヴァニラとばったり出会った。尾てい骨あたりから生えている尻尾をなびかせるようにぶんぶん振っている。
 
 「今、暇かや?」
「ごめん!久しぶりに予定が入ってるんだ。」
「あー。理解。修行か。」
「パシリだ!!」
 そう言って俺は店の中へと足を踏み入れ、ヴァニラと一時的に別かれることにした。

 「いらっしゃいやせ。」
お店の仲は気をベースに造られており、品揃えはなかなかにしっかりしているようだ。
 「これとこれとこれか...。」
書かれていた品を十品手に取り会計を済ませた。
 「ありがおうございやしたー。」

 三時間後
 「遅いぞ。」
「すいません。」
 あれから三時間ほどたっただろうか。疲れと荷物の成果シランが息よりも時間がかかってしまった。もう昼はとっくの過ぎている。そして、アレク爺さんが石を持ってきた。

 「もう一回持ってみろ。」
「わかりました。」
両腕で思いっきり持ち上げようとするが、石はなかなか持ち上がってくれない。
「もっと石に近づいて腰を曲げない!」
「グぬぬぬ!!」
「おお!!持ち上がった!!」

 アレク爺さんのアドバイス通り石と自分の距離を近づけてみたら意外とあっさりと持ち上げることができた。
「降ろしてよろしい。」
 (ドドンッ!!)
「ふぅ。」
「どうじゃった?明日は100キログラムに挑戦じゃな。」
「...いきなり増えすぎじゃないですか...。」

 次の日
 「今日もよろしくお願いします。」
昨日、今日もある的なことを言われていたので、朝に家から猛ダッシュで山道を走り抜け、例の岩場までアレク爺さんに会いに来たということだ。
 「今日も例の十品をおごってくれ。」
「......またですか!?」
 
 アレク爺さん、ここに向う前に一人で買っておけばいいだろ!!と言いたくなったが怒られるかもしれないということで言わないことにしよう。

 四時間四十六分後
 「はぁはぁ。買って参りましたよ...。」
「そうじゃな。」
 あれから五時間くらいたっただろうか。気持ち少し昨日よりも早く着いた気がする。

 「じゃあ、さっそく100キログラムの石をお願いします。」
少しでも評価を上げるため自分から率先して練習に励もうとしたが、アレク爺さんの顔はなぜかパットしていない。なぜだ。

 「どうしました?」
「いや、パンにはミルクが必要不可欠なんじゃよな??」
は!?昨日はなかったし、ジジイ。いきなりどうした...。狂ったか?
 「...もしかしてそれもお店で買ってこないといけないんですか?」
「そうじゃな。」
...鬼に等しい。そして俺は走り出した。

 四時間三十分後
 「はぁはぁ。鬼ジジ...様。買っ、買って気まし...た。」
「よろしい。そして、何か気づいたことはないのか?」
ジジイは頑張って買ってきたミルクをがぶ飲みし、俺に謎の問いかけをしてきた。
 「一つあるとするならば、アレク爺さんの性格がちょっと...。ってところですかね?」

 「バカもん!!そこじゃないわい!!」

こわっ!!オラァとブチギレるジジイ。いや、絶対性格悪だろ...。
「じゃあ、分かりません。」
 「...単刀直入じゃな。それでは答え合わせといこうか。実は、お前さんが買い物に行っている間、ずっと時間を計っていたのじゃ。一日目は五時間ちょっとかかっていたのじゃが、ミルクの時は四時間半で帰ってきたのじゃよ。三十分も短くなっとる。」
「はぁ。それって俺が道を覚えたからですかね?」

 「それもあるかもしれないが、違う。数回にわたって基礎的な練習を繰り返すことによってお前さんのすたれていた基礎的体力を読みがえらせたのじゃ。」
...。わたくし、勇者。これは一本取られました。まさかこれ自体が一つの修行だったなんて...。

 「今日は夜になってしまったから明日からになるが、このお使いと持ち上げとモンスターとの戦闘、そして、順次メニュー追加、この三つを毎日やるのじゃ。さすがに500トンとは言わないが、それくらいになったらフラニック・オブ・クライネスも巧みに操れるようになっているだろう。」
「毎日...ですか。」
「だるいと思うな。一日中付き合わされる元牧師のわしのほうが100倍だるいわ。」
正論ですね。それじゃあ明日から頑張ろう。

 二か月後
「じゃあ、最大まで魔力を与えるぞ。」
「勇者どの。頑張って!!」
 今日は記念すべき500トンチャレンジの日だ。石は重すぎて、地面に埋まりこんでしまっている。
昨日は100トンを持ち上げることに成功したが、いくら何でもいきなり増えすぎ。しかし、ヴァニラが応援に来てくれたのだ。やるしかない。

 「行くぞ!」「3」「2」「1」

 「ぐぬぬぃぃ!!ぬぬぃ!!」
「「おおお?」」
 しかし、石は持ち上がらなかった。
「みんな!期待を裏切ってゴメン。さすがに重すぎる。」
「え~。」
 ヴァニラがちょっとがっかりしている、しっかし、500トンは人外だ。狂いすぎ。

 「勇者どの!あなたは最強勇者なんでしょ!!頑張ってよ!フラニック・オブ・クライネスと心と体を統一させるんだよ!やればできるって、頑張って!絶対できるって。」
 ヴァニラが過度なジェスチャーで語ってくる。
「ヴァニラ。熱すぎ。じゃあ、もう一回挑戦してみるか?」
「その意気だね!!」

 「参ります!!」「3」「2」「1」

 「ぬおおおおおおぉぉーーーっぁ!!!!!!!?????」
そして俺の腕の力により石は少しの間、地面との接触を否定した。
「お!?勇者どの。石がちょっとだけ浮いたね。」
「...わし、500トンは冗談じゃったんじゃが...。たとえ少しでもたった二か月で浮かせられるようになる奴が現れるなんて思ってもみなかったんじゃけど...。」
「お?冗談というと?」

 「......強くなりたいと思い、自分の目標のために努力することができるようになった。そして、圧倒的な速さ、腕力、剣の使い方、たくさん得たじゃろう。500トンの石を持たないと握れない剣というわけではない。しかし、強くなりたいのならそれは決して無駄な修行ではなかったじゃろう。」

 「へぇ。」
「いやいやいや!?ここはもっと感動的な展開にするのがお約束なんじゃないのか!?」
 俺のあっけない返事にアレク爺さんは愕然とした。別に心に全く響かなかったというわけではないのだが、別の何かが俺の心中を支配している。

 「じゃあ、二か月間手伝ってくださりどうもありがとうございました。」
「いえいえこちらこそ。この二か月で教会が再建されたからわしはそっちに戻ることにするのじゃ。」
「じゃあ、またいつかよろしくお願いします。」
 アレク爺さんに手を振り、先に帰らせることにした。そのため今は山の上でヴァニラと二人きりなのだ。

 「なあ、ヴァニラ?」
「ん?」
 「特にこれといった敵がいない中、なぜ俺は金も発生しない最強勇者という職業に就くことになったんだろうな?」 
夕陽を二人で眺めながらヴァニラにそう問いかける。ヴァニラは猫耳をピクンと動かしながらこう言った。
 
 「たしかにお金は発生しないけど、人々に安心と希望を発生させることはできるよ。」

 「ヴァニラ、ありがとう。」
「よし!!じゃあ、今日は帰ろうか!!またね、勇者どの。」
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