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しおりを挟む「もう朝よ。充希起きなさい」
階下から僕を起こすのは母の麻美(β)。
父はαで官僚をやっている。
「父さんは?」
僕の問い掛けに母の眉間の皺が深くなる。
どうやら昨夜は泊まり掛けだったようだ。
家族構成は父(α)と母(β)と兄(α)と姉(α)に何故か僕(Ω)と言う感じだ。
βの母は二人の子供がαの分僕がΩに生まれたと嘆いているが、統計学的にα同士の婚姻でもα以外の性は生まれるのだ。
それに比べたらαとβで二人もαを産んだ母は凄いと思う。
ただ、その運も僕までは持たなかったのだと半分諦めてもいた。
どうせそう言う運命の導きなのだろう。
前世αだったけど、Ωに番を奪われた僕が今世はまさかのΩなのだから。
それに、前世αだった恩恵か前世の知識は全て頭に入っており僕はΩの癖にβに擬態している。
一部では僕の事をαなのではないかと言うβもいる位だ。
前世の知識は何も座学だけではない。
どういう身体の動きをすると効率が良いかと言うスタンスの元、運動もそれなりにこなせているのだ。
Ωの僕がαに擬態?
まぁ、Ωもαもその頻度は違うが発情期はあるし、もしかしたら突然変異のαって誤魔化せるかもしれない。
そう思うと何とも言えない優越感みたいなものが胸をすく。
「兄さん、また服置かせてね」
僕の日課はいつも兄の部屋の中に自分の服を置く事だ。
今や兄の部屋には僕の服がごった返している。
その理由と言うのもαのフェロモンを服に染み込ませてΩだと言う事を隠す為だ。
兄は結構優秀なαでフェロモンも極上だ。
例えるならば桜の花のような香りがする。
因みに、姉は百合の花の匂いだ。
逆にΩは食べ物の匂いがするらしい。
僕は前世の記憶を駆使して色々と薬で調整しているからそれ程匂いはしない。
けど、それも完璧ではない。
体からは微かにだがΩ特有の匂いが出ているのだ。
だから、それを隠す為に兄のフェロモンを自身の着る服に着けて誤魔化しているのだ。
まぁ、実際は僕の精神安定剤代わりなんどけど。
主にその理由はΩはαの匂いに包まれると安心するからだ。
それである程度のフェロモンや発情を押さえているのだ。
但し、逆に発情を促すフェロモンもある。
それは番の匂いだ。
でも、そこは僕の知識をフル活用して今までも何とかなっている。
兄のフェロモンは僕に優しいのだ。
前世の僕は薬学に通じるだけでなくフェロモンの研究もしていたから。
故に、個人のDNAから運命の番を見つけるメカニズムを見つけたのだ。
まさか、それで尊が運命の番に気付き支部長と取引をするとは思わなかったのだが。
それで、何が言いたいかと言うと、Ωのフェロモンはαのフェロモンに誘発される事もあるが、逆もあると言う事だ。
だから、遺伝子の近い身内のフェロモンは僕のフェロモンも隠すのに都合が良かったのだ。
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