前世αだったけどメス堕ちしたら今世はΩになってしまった僕の件

麻生空

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この世界には男と女の他に第二の性がある。

上位種と言われるα
普通種と言われるβ
そして、種の底辺と言われるΩ

一般的にβは沢山いるがαやΩは稀少種でほんの一握りの人口しかいなかった。

また、αとΩが男女の性別関係なく妊娠する事が出来る為に同性結婚する者も多くいるが、βだけは男女の性別でしか繁殖出来ない。
基本的にαとΩは男性が多く女性は少なかった。
故に、αとΩは同性結婚が多いのだ。

その理由は分からないが、兎に角、Ωの女性はそれこそ稀で見つかればもれなくαに監禁される。
勿論、Ωの男性もαに比べれば数は少ない。
だからだろう、運命の番など都市伝説級の存在なのだと。

さてさて、話が大部反れたが結論から言えば、αもΩも美しい人種が多い為にβからしたらどちらも魅力的な存在でαは崇める存在、Ωはあくまでも性的対象なのだ。

何故ならαには生まれながらにして弱者を従わせる能力があるが、Ωは人を虜にする能力があるからだ。



ーーーーーーー

「嫌だ、僕を捨てないで……」
また、あの夢を見ている。
僕の前世の夢だ。

見たくもないのに何度も見てしまう

今日の夢はあの忌々しい僕の転機の日の夢だ。

………………

前世の僕はあの日、番でもある尊に呼ばれてαの支部へと赴いていた。
前日から仕事の為に泊まり込んでいた尊の着替えを持って僕は慣れた職場を歩いていた。

この世界はα至上主義で、世界のあらゆる箇所に支部を置きα以外の人種を管理しているのだ。

因みに、僕も番の尊もαで男同士の結婚だった。

添い遂げてから既に10年になる。

αはどちらも妊娠出来るけど、尊は専ら男役に徹していて何時も女になるのは僕だった。

基本的にα同士はなかなか妊娠しない。

大体にしてΩのような定期的なヒートも少ないし、何日もセックスしている訳でもないので、その辺にも理由があるのだろう。
因みにαの発情期はラットと言うんだけど、そのラットも他人のフェロモンで誘発されるという説が強いとされ、αの中でも上位に位置するαは定期的にヒートするΩを傍らに置く事が多い。
まぁ、Ωの数はαの数より少ないのでαの中でもより優秀な個体だけがΩを娶れるのだが。

尚、この第二の性で一番孕みやすいのはαとΩの番になる。
さらに運命の番なら尚更孕みやすいのだ。

支部長は現在50代に入っており何人ものΩを囲っている。
それ程に子孫を残す事を優先される優秀なαなのだ。

子供も数人いるらしく、皆優秀なαだと言う。
不思議とαとΩの番からはαが生まれやすく、国からもこの組み合わせは推奨させている。
が、例え推奨される組み合わせでもβが生まれる事もある。

受付で個人情報の入ったカードを提示すると支部長の部屋へと案内された。

一歩踏み込むと嫌に甘ったるい匂いに思わず眉間に皺が寄る。

この匂いには覚えがある。

「やぁ、泉君。良く来てくれたね」

そう言って僕を招き入れる支部長。

流石に50代だがαと言った所か、ナイスミドルである。

「尊に呼ばれて来たのですが、彼はまだ?」

普段なら支部長の部屋にはΩが最低でも一人は待機しているのに、それが今は後いない。
それどころか、先ほどから嫌な匂いが部屋中に立ち込めている。

嫌な予感がバリバリする。

「フフフ。尊君か……彼は昨夜から半年をかけた世界一周旅行に出掛けていますよ」

そう言って支部長は微笑む。

「世界一周?」

誰と?
半年も?

「君なら気付いているだろう?彼は今僕のΩと一緒だよ。彼が謂うには、なんでも運命の番なのだそうだ」

そう言って支部長は楽しそうに笑う。

嫌な予感がしてならない。

まさか、まさか尊が?
僕を捨てたのか?
じゃあ何で僕をここに呼んだんだ?

「それでね。妻との交換を条件に彼に僕のΩを与えたんだ。なんて優しいんだろうねぇ」

そう言ってペロリと自身の唇に舌を這わせる支部長。

「初めて見た時から美味しそうな子だと思っていたんだよ。薬学の申し子と言われる泉君」

支部長はαの中でも更に上位の存在だ。

気持ち悪いと思う反面、背く事も出来ない自分。

そうだ。
この後僕はこの人に……。

そして、僕の前世は番に裏切られてαなのにΩと同等な扱いに落とされてしまった。

ただ、ただ、メスになるだけの人生だったのだ。

αのプライドも何もかも取り上げられた。

裏切った尊だけが憎かった。


そんな僕はそれから15年後、一人の子供を産み落とした後、産後の肥立ちが悪くなって亡くなってしまったのだ。

「ごめんね……お前を一人の残してしまって……」


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