可愛い子羊ちゃん

麻生空

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「27番目の側妃様がまたご懐妊されたとか」

我が魔族の王の27番目の側妃様は確か獣魔族だったはず。

魔力だって其ほど強くもない只の魔族に過ぎない、それも27番目の側妃が何度も子供を孕むとは。


我々魔族はなかなか子供を授からない。

そもそも、魔力の相性やら好みやらとなかなか折り合いもつかない上に魔力の弊害で孕み難いときている。

幸い、我々魔族は長命で複数の夫や妻を娶るのは常識的だし、離婚再婚も日常茶飯事だ。

故に、魔力の相性を見る為に何人もの異性とまじわりをわす。

それは我々魔族の娯楽の一つになっていた。


「キリト先輩」


背後から私を呼び止める声に振り返る。

今私がいるのは魔族の高等科修了過程の者が通う楽園と呼ばれる場所だ。

ここで、魔族の社交へ出る前に仲間を見つけたり、伴侶を見つけたりする場所だ。

「あの……初めまして。私、エラ・マキュリーと言います」

魔力も微弱な女だったが、マキュリーと聞き少し興味が出た。

「淫魔族のマキュリーか?」

そう問い掛ければエラと名乗った女は困ったように頷く。

今まで色々な女を抱いて来た。

勿論、淫魔族の女も何人か抱いた。

しかし、こんな色気も魔力もない女など初めて見た。

それも、名門マキュリーのくせに。

「マキュリー卿にこんなご息女がいるとは驚きだ」

暗に彼女を貶しているのだが、そんな私の言葉にエラは申し訳ない様子で「すみません」とだけ答えた。

それが更に私の興味をそそるとも知らずにエラはモゾモゾと言葉を濁す。

「それで、私に何か用ですか?」

父からは明日にでも伴侶候補を決めるよう言われている。
勿論、数人の伴侶候補も見つけてあり、後は直接彼女達に話すだけだった。
まぁ、気位の高いグロリア嬢からは、夫人なら正妻、愛人も数人持ちたいとも話されている。


楽園最後の日に出会ったのも何かの縁なのだろう。

私は誇り高きバンパイアの血筋だが、これでも寛容に出来ている。

故に、こんな虫けらのような魔力の娘にまで紳士な態度で接する。

「あの……ご迷惑とは思いますが、楽園最後の思い出に私の処女を貰って下さい」

この、乱交が常識の魔界で処女だと?

私はゴクリと生唾を飲み込んだ。

身内でもなければ処女などなかなかありつけない。

勿論私に「否」と言う選択はなかった。
まるで飛んで火に入る夏の虫だと思ったのだ。
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