妾はバイトすることにしました

麻生空

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17ジル兄上

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勤務時間の6時になるとアルフィー殿下と共に竜舎へと向かった。
入り口の所で一人の青年が私達に話し掛けて来る。
「新人の騎士の方と朝食の前に団長が会われるそうです。団長の執務室までお越し下さい」
とても丁重なご挨拶に私はアルフィー殿下の方を見た。
すると、アルフィー殿下はコクリと頷く。
「行っておいで」
アルフィー殿下は私の背中にそっと手を当てて優しく声を掛けて来る。
取り敢えず私にはまだ竜がいないので竜舎に行っても特にする事はない。
下手に私に他の騎士の竜が慣つかれても困るし。
故に、皆が竜舎へ行っている間に団長へ挨拶に行く事になった。

「ではアルフ、朝食の時に」

私は軽く手を振り竜舎を後にした。

騎士団長の執務室までは先程の青年が案内してくれた。
室内に入ると二人の青年が待っていた。
「君が今日から我が第一騎士団に入団するルーク・ゼファですか?」

室内に入ると直ぐに椅子に座っている人物に声を掛けられた。

騎士にしては珍しく優しい口調だ。
それに、なんとなく王妃様に似ている。

「はい。ルーク・ゼファです。本日より宜しくお願い致します」

踵を合わせて一礼する。

「私は第一騎士団団長のケヴィン・セイドです」

えっと、セイドって事は王子様?

「ルーク。第三王子殿下だよ」

シルバー色の髪に紺碧の瞳の男性が補足するように言った。

けど、そう言う貴方は誰でしょうか?

「ジルベルトの弟だと言うからどんなヤツかと思っていたが、可愛い感じなのだな。竜にも乗れると聞いていたからとんでもなくヤンチャな想像をしていたよ」

軽快に笑う殿下に困ったような顔をする銀髪兄ちゃん。

「殿下。弟は体が弱いのです。そんなヤンチャな想像は止めて頂きたい」

会話の流れからどうやら私は銀髪兄ちゃんの弟と言う事のようだ。

と、言う事は王妃様の実家の息子と言う事になるのか。

確か、家督は文官だと聞いていたからその下の兄弟なんだろう。

私の事情に合わせてくれて、尚且つ気遣いも出来るなんて、なんて良い兄ちゃんなのだろうか。

すると、この場合お兄様と言うべきか?

いや、今は男の子だから兄上かな。

すると、ジルベルト兄上?

なんか舌噛みそうだな。

じゃあ、

「ジル兄上。お久し振りです。王都に来たばかりであまり良く分からないので、後で家族の話しとかしたいです。宜しいでしょう?」

『先程はありがとうございます。家族構成とか色々聞きたいので宜しくね』

すると、ジルベルトはニコリと笑って

「では、今度の休日に家でいっぱいお話しよう。空けておくよ」

と笑顔で応じてくれた。

良い人だー。

あの王妃様の身内だから色々心配していたんだけど。

どうやら杞憂のようだった。

思わずアイコンタクトをしてしまった。


「それでルークの愛竜の件だが、今朝一番で許可が下りたので何時でも連れて来ていいぞ」

殿下の声で現実に引き戻される。

「何時頃連れて来る?」
 楽しそうに殿下が私に問い掛けて来る。

「あっ。その」
 そうだよ。
許可が下りてから連れて来るんだよね。
あまりにも嬉くって昨夜の内に連絡したゃった。

「実は、今日の昼頃に届く手はずになっていまして……昨夜、あまりにも嬉しかったので師匠に連絡しちゃいました」
思わず「てへ」っとして誤魔化す。

「「師匠?」」

ええ、家の筆頭執事でもある師匠です。
あの鬼師匠が……。

「私に竜の乗り方を教えてくれた方です」

簡素に説明すると殿下は流石王族と言うべきか、動じる事な許可してくれた。
「まぁ、竜舎は空いているから何時でも良いんだが、一応竜舎に入れる前に確認をする事になっている。届いたら教えてくれ」
 
「はい。勿論です」
 
確かに得たいのしれない竜は王宮内に入れられないからね。

そこまで話終わるとコンコンと扉をノックする音が響いた。

「入れ」

殿下の声に

「アルフィーです。そろそろ朝食の時間ですのでルークを呼びに来ました」

入り口に立っていたのはアルフィー。

一応この二人って兄弟なんだよね。

でも、雰囲気が唯の上司と部下なんだけど。
この兄弟の仲どうなっているんだろうか?
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