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アンジェラ視点4
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夜会当日。
待ちに待ちきれず準備をそうそうに終わらせた私は控えの間に早々と待機していた。
ソワソワとする私をマリーが微笑ましそうに見ている。
「今日はメイドに変装しなくてもキース様と会えますわね」
クスクスと笑うマリー。
「あっ、それ言わないでよ」
文官をしているキース様に会いたくって、一年前までメイドに化けてお茶出し給仕をしていたのだ。
母に見つかって辞めたのだけど。
「あの時の姫様を城の皆がストーカー認定していましたわ。キース様の午前と午後のお茶出しは必ず姫様でしたし」
メイドの服を調達するのにマリーに手伝ってもらっていたのでバレバレなんだけど。
「それも言わないでよ。別に話し掛けて仕事の邪魔をしていないんだから良いじゃない」
そうだよ。
いつも机ばっかり見てこちらをチラリとも見てくれなかったんだから。
「ええ、そうですね。毎日通われたのに3年間で一度も言葉を交わした事も無かったですよね」
「何故それを……」
思わず手に持っていた扇を落としそうになる。
「たまたま同じ部屋に居合わせた者より聞きました。皆さん姫様を可哀想な者を見るように同情しておりましたわ」
「なっ!!」
「だって、当のキース様は姫様に一度だってお気付きになりませんでしたもの」
そうなのだ。
敢えて気付かない振りをしているのかとも思っていたのに、ガチで気付いていなかったのだ。
あのキース様は。
確かにバレないように髪型もお下げにしたり、鼈甲の眼鏡をかけたりして変装していた。
でも、それでも一度だって私を見てはくれなかった。
「こんなにお慕いしているのに……」
城中の人間が認める程のストーカー振りだけどね。
「でも、姫様。キース様から自身の瞳と同じ色のアクセサリーが届いたのですから両思いですよ。そうでなければダイヤモンドとかのアクセサリーですから」
そうだよね。
私にはキース様から頂いたアクセサリーが全て。
つまり。
『君を俺の色で染めてやる』的な?
きゃーっ!!
「今回の申し出がもう一月程早ければドレスも贈られたと思いますよ」
「そうよね。そうに決まっているわよね。私、知らない内に愛されていたんだ」
思わず胸が熱くなる。
私はソワソワする気持ちを落ち着かせる為に香茶を淹れる。
意外かもしれないが、これをしていると落ち着くのだ。
勿論マリーもそれを分かっているから止めない。
そして、何時ものように多目に香茶を作ってしまう。
私は一口飲むと落ち着いて来たので中央に置かれた椅子へと移動した。
「つまり、私は嫌われていると思っていた事が全ての勘違いなんだわ」
ゆっくりと椅子に座りマリーを見る。
「そうすると、キース様と目が合って眉をしかめられるのも」
「そうですね」
「分かっていた事を敢えて質問した時に嫌な顔をされたのも」
「……そうですね(それって普通に嫌がらせ?)」
「転ばれた時に私がハンカチを差し出して払い除けられたのも」
「えっ?」
「全ては愛情表現」
「……」
「私きっとキース様と添い遂げますわ」
「ヒメサマ。カンバッテクダサイ」
マリーの応援を貰い私は俄然やる気が出た。
丁度その時扉が開きキース様が入室して来た。
一瞬私の方を見たキース様は私を姿を見るなり微笑まれた。
『あぁ。私愛されているのね』
そう思ってキース様を見つめた。
待ちに待ちきれず準備をそうそうに終わらせた私は控えの間に早々と待機していた。
ソワソワとする私をマリーが微笑ましそうに見ている。
「今日はメイドに変装しなくてもキース様と会えますわね」
クスクスと笑うマリー。
「あっ、それ言わないでよ」
文官をしているキース様に会いたくって、一年前までメイドに化けてお茶出し給仕をしていたのだ。
母に見つかって辞めたのだけど。
「あの時の姫様を城の皆がストーカー認定していましたわ。キース様の午前と午後のお茶出しは必ず姫様でしたし」
メイドの服を調達するのにマリーに手伝ってもらっていたのでバレバレなんだけど。
「それも言わないでよ。別に話し掛けて仕事の邪魔をしていないんだから良いじゃない」
そうだよ。
いつも机ばっかり見てこちらをチラリとも見てくれなかったんだから。
「ええ、そうですね。毎日通われたのに3年間で一度も言葉を交わした事も無かったですよね」
「何故それを……」
思わず手に持っていた扇を落としそうになる。
「たまたま同じ部屋に居合わせた者より聞きました。皆さん姫様を可哀想な者を見るように同情しておりましたわ」
「なっ!!」
「だって、当のキース様は姫様に一度だってお気付きになりませんでしたもの」
そうなのだ。
敢えて気付かない振りをしているのかとも思っていたのに、ガチで気付いていなかったのだ。
あのキース様は。
確かにバレないように髪型もお下げにしたり、鼈甲の眼鏡をかけたりして変装していた。
でも、それでも一度だって私を見てはくれなかった。
「こんなにお慕いしているのに……」
城中の人間が認める程のストーカー振りだけどね。
「でも、姫様。キース様から自身の瞳と同じ色のアクセサリーが届いたのですから両思いですよ。そうでなければダイヤモンドとかのアクセサリーですから」
そうだよね。
私にはキース様から頂いたアクセサリーが全て。
つまり。
『君を俺の色で染めてやる』的な?
きゃーっ!!
「今回の申し出がもう一月程早ければドレスも贈られたと思いますよ」
「そうよね。そうに決まっているわよね。私、知らない内に愛されていたんだ」
思わず胸が熱くなる。
私はソワソワする気持ちを落ち着かせる為に香茶を淹れる。
意外かもしれないが、これをしていると落ち着くのだ。
勿論マリーもそれを分かっているから止めない。
そして、何時ものように多目に香茶を作ってしまう。
私は一口飲むと落ち着いて来たので中央に置かれた椅子へと移動した。
「つまり、私は嫌われていると思っていた事が全ての勘違いなんだわ」
ゆっくりと椅子に座りマリーを見る。
「そうすると、キース様と目が合って眉をしかめられるのも」
「そうですね」
「分かっていた事を敢えて質問した時に嫌な顔をされたのも」
「……そうですね(それって普通に嫌がらせ?)」
「転ばれた時に私がハンカチを差し出して払い除けられたのも」
「えっ?」
「全ては愛情表現」
「……」
「私きっとキース様と添い遂げますわ」
「ヒメサマ。カンバッテクダサイ」
マリーの応援を貰い私は俄然やる気が出た。
丁度その時扉が開きキース様が入室して来た。
一瞬私の方を見たキース様は私を姿を見るなり微笑まれた。
『あぁ。私愛されているのね』
そう思ってキース様を見つめた。
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