王女から逃げる為に頑張った結果

アンジェラ視点25

お兄様の言葉にキース様はトントン拍子に乗せられている。

そして、私は婚約者の家に行儀見習いと言う体ていで療養先をキース様の館へと移していた。


「妊娠初期は大変だから、安定期に入ったら結婚式をしましょうね」
キース様のお義母様がニコニコと子供用品のカタログを見ながら私に声を掛けて来る。
午前はそんな風にのんびりとお茶を楽しむのが日課だ。


ここへ来て早2週間。
ろくに動けない私の所へ毎日お茶をしに来ては、こういった話をしている。

そして、驚くべき事実が発覚。
キース様の屋敷に来る前にお兄様がこっそり私に教えてくれた事だ。
それに、最後の「気を付けろよ」の意味が分からない。
まぁ、分からないものは後から考えるとして。

お兄様のお話では公爵夫妻にはなかなか子供が出来なくって、何とか出来ても子供は死産が続き、等々これ以上の子供は望めない事を医師が公爵に話したらしい。
最後の出産は高齢の為か奥さんは産後生死をさ迷ったらしく、意識朦朧とする中子供の事を心配したのだそうだ。
しかし、最後の頼みの子供も死産で……。
そんな時弟夫婦の子供が2日遅く産まれておりその子供……つまり、キース様を公爵は夫人に内緒で実子として貰ったのだそうな。

その事はキース様は知らないし、夫人も知らないらしい。

そして、本来ならキース様を授かった弟夫婦は表向き死産だった事にしたそうな。

そして、その弟が驚くべからず。
あの、セバスチャンさんなのだそうです。

侯爵位を貰ったのだそうだが、既に成人している長男夫婦に譲って実家で執事をしながらキース様を指導しているそうな。

なんでも「兄の役に立てるように育てなければならない」のだそうな。

ついでに、私付きのマリーも私と一緒に公爵家に、今は夫婦で公爵家を切り盛りしています。

何故マリーが私の侍女をしていたかと言うと、キース様の婚約者候補筆頭だったからだそうな。

おかしいな……私キース様から嫌われていたと思うんだけどな。

まぁ、そんな訳で私のお腹の子供が間違いなくキース様の子供だと言う事は本人以外皆さんが知っている事実なんですね。

知らぬは父親ばかりなりってか。

「まぁ、バカ息子の事は置いておいて、体調管理はしっかりしましょうね」

「ありがとうマリー」

本当の事を知った時に「お義母様？」と言ったら凄い顔をされたので「マリー」に戻っています。

そうして今日も平和に１日を過ごしています。