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アンとイヴァンの婚約3
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馬車を降りる前に浄化の魔法で綺麗にして貰った私は、セドリックのエスコートの下邸に入る。
帰宅すると丁度夕食時で何時もとちょっと様変わりした夕食を摂る事になった。
何が違うか?
そこにセドリックが居るという点が一番だろうか?
そして、兄とアンと私の4人で夕食を食べていると言う事なのだが。
実はアンと食事なんて一緒に摂るのは初めての事なのだ。
何せアンは私の侍女。
使用人と一緒に食事を摂る事がない。
正直それは「こんなに近くにヒロインのアンがいるのに!!」と内心地団駄を踏む事しばしばだったのだ。
しかし、今日その野望が叶った。
これも父の
「殿下。もし宜しければ夕食でも?」
の言葉に
「お言葉に甘えさせて頂きます」
と社交辞令を完全無視したセドリックの
「甘えついでにイヴァンとアン嬢とも話をしてみたい」
と言う王族からの断るに断れない申し出のせいなのだが。
普通夕食時に訪問された時は通例で食事をお誘いするのだが、そこは双方共社交辞令だと判っている為に上位の貴族は普通はやんわりと断るもの。
それを「是非」と、のこのこ来てしまうセドリック殿下も大概だが、それに感謝してしまう自分もどうかと思う。
変わりに誘った父は顔を青くしていた。
ごめんね。
お父様。
まぁでも、今回はセドリック様々に感謝である。
夕食はメイン等は何時も通りだったが、果物等のデザートは多く、それこそ4人の食事なのに何故かケーキがワンホール置かれている。
滅茶苦茶気を使っているのが見え見えだった。
勿論、女性陣の私やアンは大歓迎だったが、歓迎される側のセドリックはケーキを小さく取り分けて貰っていた。
すみません。
給仕はアンが兼務していました。
私は前世の記憶があるので全然気にせず給仕をしようとしたら
「お嬢様にその様な事はさせられません」
とアンにやんわり断られてしまっていた。
アンによって4人の目の前に各々取り分けられたケーキや果物を食べながらお茶を飲む。
私と兄はホストなので何か話題がないかと顔を見合わせた。
『お兄様、何か言って下さいまし。殿下の取り巻きですわよね』
『殿下の婚約者なのだからエマが何か話せば良いだろう』
『特に何も話す事なんてありませんわ。毎日の様に会っていますし』
『まぁ。そうだな。あれは流石にウザイしな』
『そうなんですよね。毎日とか……なまじ権力があるだけに拒否れないし』
『判るよ。殿下は大分強引な方だし、逆らうと倍返しも常だからね』
『えっ……倍返し……あれやこれが何時もの倍……』
『エマ。大丈夫か?』
『……』
先程から見つめ合いアイコンタクトで会話をする私達。
途中から不敬な会話が繰り広げられているとは露程にも思わないセドリックが
「イヴァンとエマは本当に仲の良い兄妹なんだな。婚約者としては少し妬けるな」
と、優しい笑みを称えセドリックが感慨深く言う。
何処と無く眩しい物を見る様な目だ。
そうか、セドリックには兄妹がいない。
魔力の高い者が生まれる家に良くある弊害なのだろうが、やはり悪魔の称号を得るだけの魔力を持つ子供が出来るだけに、あの仲の良い国王夫妻には子供はセドリック一人なのである。
まぁ。
あれだけ強いのだから戦死なんて事はないだろうし、魔力の強い者は他の人よりも生命力に溢れて長命なのだから。
つまり若い時代が長いのだ。
そう考えると、今後セドリックの弟や妹が生まれる事だって有り得る。
ん?
そうすると、私達もそうなのかな?
そんな風に考えていると思いっきりセドリックと目が合ってしまった。
内心「ひぇぇぇ」となり下を向いてしまう。
「フフフ……エマお嬢様と殿下も仲が良い様で嬉しいですわ」
アンが眩しそうに私達を見ながら言った。
「ありがとう。嬉しい事を言うね」
セドリックは嬉しそうに微笑んだ。
「畏れ入ります」
何か何時もの控え目なアンとは打って変わって、今日のアンはとても積極的に話に参加している。
何か心境の変化でもあったのかしら?
思わず首を傾げてしまう。
そんな私を他所にセドリックは話を進めた。
正直ホストは私達なのに、いつの間にか主導権がセドリックに移乗してしまっている。
「イヴァン。君とアンはいつ頃婚約発表をするんだい?」
セドリックはイヴァンの方を見ると何気無い質問の様に聞いて来た。
『それ!!私も聞きたかった事です』
と内心萌えてしまったのは言うまでもない。
期待の眼差しで兄を見やると
「今はエマの婚約発表をしたばかりだから、時期を考えているんだ」
困った様にイヴァンはアンを見ると、アンも苦笑しながら見つめ返す。
何故私が婚約発表すると時期が悪いのだろうか?
思わずそう思うも、目の前の甘々な雰囲気を醸し出す兄達に見入ってしまう。
そのスチルを言葉で描写するなら『目で愛を語り合っているよ』だろうか。
確かに二人の間に愛を感じた。
気持ち『ごちそうさまです』心の中で合掌する。
「仲の良いことで何よりだ」
セドリックは何処か余裕気にそう言うと私の方を見る。
『えっ、何で私の方を見るの?』
と思うものの、一応微笑み返しておく。
すると、何処か満足そうにセドリックが再びイヴァンの方を見た。
「まぁ、次期王妃の兄になる君と懇意にしたいと思う家も多いだろう。それこそ、アンの事を良く思わない者もいるからな」
えっ?
次期王妃の兄ですか?
あれ?
やっぱり私まだセドリックルート離脱してないの?
「はい。殿下の懸念されている通りです。いくらエマと仲が良くても、それだけではアンを守るのに心許ないのです。他の貴族達の動きも気になるので」
「エマにしろ、婚約発表と同時にキャサリン嬢と和解し友人になった事が大きいからな」
えっ?
何ですかそれ?
私は思わず兄とセドリックを見てしまった。
「殿下。事態を良く把握していない関係者がいる様ですよ」
イヴァンが苦笑しながらそう言うと。
『それって私の事?』
とマジマジ考えてしまう。
帰宅すると丁度夕食時で何時もとちょっと様変わりした夕食を摂る事になった。
何が違うか?
そこにセドリックが居るという点が一番だろうか?
そして、兄とアンと私の4人で夕食を食べていると言う事なのだが。
実はアンと食事なんて一緒に摂るのは初めての事なのだ。
何せアンは私の侍女。
使用人と一緒に食事を摂る事がない。
正直それは「こんなに近くにヒロインのアンがいるのに!!」と内心地団駄を踏む事しばしばだったのだ。
しかし、今日その野望が叶った。
これも父の
「殿下。もし宜しければ夕食でも?」
の言葉に
「お言葉に甘えさせて頂きます」
と社交辞令を完全無視したセドリックの
「甘えついでにイヴァンとアン嬢とも話をしてみたい」
と言う王族からの断るに断れない申し出のせいなのだが。
普通夕食時に訪問された時は通例で食事をお誘いするのだが、そこは双方共社交辞令だと判っている為に上位の貴族は普通はやんわりと断るもの。
それを「是非」と、のこのこ来てしまうセドリック殿下も大概だが、それに感謝してしまう自分もどうかと思う。
変わりに誘った父は顔を青くしていた。
ごめんね。
お父様。
まぁでも、今回はセドリック様々に感謝である。
夕食はメイン等は何時も通りだったが、果物等のデザートは多く、それこそ4人の食事なのに何故かケーキがワンホール置かれている。
滅茶苦茶気を使っているのが見え見えだった。
勿論、女性陣の私やアンは大歓迎だったが、歓迎される側のセドリックはケーキを小さく取り分けて貰っていた。
すみません。
給仕はアンが兼務していました。
私は前世の記憶があるので全然気にせず給仕をしようとしたら
「お嬢様にその様な事はさせられません」
とアンにやんわり断られてしまっていた。
アンによって4人の目の前に各々取り分けられたケーキや果物を食べながらお茶を飲む。
私と兄はホストなので何か話題がないかと顔を見合わせた。
『お兄様、何か言って下さいまし。殿下の取り巻きですわよね』
『殿下の婚約者なのだからエマが何か話せば良いだろう』
『特に何も話す事なんてありませんわ。毎日の様に会っていますし』
『まぁ。そうだな。あれは流石にウザイしな』
『そうなんですよね。毎日とか……なまじ権力があるだけに拒否れないし』
『判るよ。殿下は大分強引な方だし、逆らうと倍返しも常だからね』
『えっ……倍返し……あれやこれが何時もの倍……』
『エマ。大丈夫か?』
『……』
先程から見つめ合いアイコンタクトで会話をする私達。
途中から不敬な会話が繰り広げられているとは露程にも思わないセドリックが
「イヴァンとエマは本当に仲の良い兄妹なんだな。婚約者としては少し妬けるな」
と、優しい笑みを称えセドリックが感慨深く言う。
何処と無く眩しい物を見る様な目だ。
そうか、セドリックには兄妹がいない。
魔力の高い者が生まれる家に良くある弊害なのだろうが、やはり悪魔の称号を得るだけの魔力を持つ子供が出来るだけに、あの仲の良い国王夫妻には子供はセドリック一人なのである。
まぁ。
あれだけ強いのだから戦死なんて事はないだろうし、魔力の強い者は他の人よりも生命力に溢れて長命なのだから。
つまり若い時代が長いのだ。
そう考えると、今後セドリックの弟や妹が生まれる事だって有り得る。
ん?
そうすると、私達もそうなのかな?
そんな風に考えていると思いっきりセドリックと目が合ってしまった。
内心「ひぇぇぇ」となり下を向いてしまう。
「フフフ……エマお嬢様と殿下も仲が良い様で嬉しいですわ」
アンが眩しそうに私達を見ながら言った。
「ありがとう。嬉しい事を言うね」
セドリックは嬉しそうに微笑んだ。
「畏れ入ります」
何か何時もの控え目なアンとは打って変わって、今日のアンはとても積極的に話に参加している。
何か心境の変化でもあったのかしら?
思わず首を傾げてしまう。
そんな私を他所にセドリックは話を進めた。
正直ホストは私達なのに、いつの間にか主導権がセドリックに移乗してしまっている。
「イヴァン。君とアンはいつ頃婚約発表をするんだい?」
セドリックはイヴァンの方を見ると何気無い質問の様に聞いて来た。
『それ!!私も聞きたかった事です』
と内心萌えてしまったのは言うまでもない。
期待の眼差しで兄を見やると
「今はエマの婚約発表をしたばかりだから、時期を考えているんだ」
困った様にイヴァンはアンを見ると、アンも苦笑しながら見つめ返す。
何故私が婚約発表すると時期が悪いのだろうか?
思わずそう思うも、目の前の甘々な雰囲気を醸し出す兄達に見入ってしまう。
そのスチルを言葉で描写するなら『目で愛を語り合っているよ』だろうか。
確かに二人の間に愛を感じた。
気持ち『ごちそうさまです』心の中で合掌する。
「仲の良いことで何よりだ」
セドリックは何処か余裕気にそう言うと私の方を見る。
『えっ、何で私の方を見るの?』
と思うものの、一応微笑み返しておく。
すると、何処か満足そうにセドリックが再びイヴァンの方を見た。
「まぁ、次期王妃の兄になる君と懇意にしたいと思う家も多いだろう。それこそ、アンの事を良く思わない者もいるからな」
えっ?
次期王妃の兄ですか?
あれ?
やっぱり私まだセドリックルート離脱してないの?
「はい。殿下の懸念されている通りです。いくらエマと仲が良くても、それだけではアンを守るのに心許ないのです。他の貴族達の動きも気になるので」
「エマにしろ、婚約発表と同時にキャサリン嬢と和解し友人になった事が大きいからな」
えっ?
何ですかそれ?
私は思わず兄とセドリックを見てしまった。
「殿下。事態を良く把握していない関係者がいる様ですよ」
イヴァンが苦笑しながらそう言うと。
『それって私の事?』
とマジマジ考えてしまう。
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