言語研究部(笑)

大里 悠

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『動物』

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「かめ!今日のテーマが決まったぞ!今日のテーマは動物だ!」
「………」
「せめて返事ぐらいはしてくれないか!?」
「………」
「……かめ?おーい、起きてるか?」
「………」
「ふむ………すぅ……わ!!」
「んが!?な、なんだ!地震か!?爆弾か!?」
「いや、地震はまだしも爆弾は流石にないだろう」
「……あぁ、なんだよ、ひめか……ふわぁ……グゥ…」
「寝ないでくれ!」
「先輩方、なにやってるんですか?」

    部室へ来ると、珍しくかめ先輩が寝ていて、部長が起こそうとしている場面に遭遇した。
    いつもなら逆なのに。

「あぁ、ねこか。ちょうどよかった、かめを起こすのを手伝ってくれ」
「それにしても、部長ならまだしも、かめ先輩が学校で寝るなんて珍しいですね」
「まぁ、確かにそうだな、って私はまだしもってなんだ!?」
「……ったく、あのなぁ、誰のせいだと思ってんだよ」
「おっ、起きたか、かめ」
「部長はよく寝てるじゃないですか。それで、誰のせいって……部長ですか?」
「ハッハッハ!おいおいねこ、確かに普段から迷惑をかけている自覚は、まぁ、多少なりともあるが、流石にそんなわけが「そうだ」あった!?なぜだ!いったいなにが私のせいなのだ!?」
「昨日、夜中っつーか、朝まで電話してきただろうが」
「あ………」
「部長?」
「……な、何時まで、だったかな?」
「朝の四時」
「それは……部長……反省して下さい」
「………くっ!いっそ殺せ!」
「おい、だれがくっころをやれと言った?」
「……スマン」
「………何だって?」
「誠に申し訳ありませんでした!」

    かめ先輩はかなり怒っているようで、顔は見たことが無いほどの笑顔なのに目が一切笑っていなくて、部長がすぐさま土下座で謝っていた。

「……ひめ」
「な、なんでしょうか?」
「そのまま三十分正座な」
「そんな!?せめて十分に!」
「三・十・分、な?」
「イエスサー!」
「軍隊ですか」

    部長の返事に思わず突っ込んでしまった。

「そう言えば、今日のテーマは動物って言ってましたね」
「言ってたな。まぁ、ことわざにもたくさん出てくるから、とかだろう?」
「確かにそうですね」
「あぁ、そういえばねこ」
「なんですか?」
「あとの二人はどうした?」
「あ、そうでした。さっき『はむくんが今日休みだったのでお見舞いに行ってきます!』ってはとが言ってました」
「そうなのか、なら大丈夫か。よしじゃあ始めるか」
「……あのぅ、かめ?」
「ん?どうしたんだ?ひめ」
「いやその、そろそろ、正座をやめても良いだろうか?」
「ん?っと、今の時間は………よし、ひめ」
「良いのか!」
「後十分な」
「そんな!」

    部長は涙目になりながらかめ先輩に謝っていた。


~十分後~


「よし、じゃあ三人だが始めようか」
「ぐぬぬ、あ、足がしびれて……」
「………」
「ひょわぁ!ちょっ、かめ!今しびれてるから!両足しびれてるから!無言でつつくのはやめてくれ!」
「………ふっ」
「な!今鼻で笑っ!ひゃあ!だからつつくのはやめ!ひゃ!や、やめろぉ……」

    僕はいったい何を見せられているんだ。そう思ってしまうほど二人はイチャイチャと恋人みたいな絡みをしていた。
    ちなみに、ここまでイチャイチャしといてこの二人は付き合ってはおらず、幼馴染特有の距離感なのか、時折もう付き合ってるだろ、と思うような行動をとっている。
    それでいてなぜか両片思いの状況に陥っている為、ちょっとイラッとくる。

「部長、かめ先輩、痴話喧嘩はいいですから早く本題に入ってください」
「ちわっ!い、いやいやそういうわけでは!」
「お、おいねこ!?これはそういうわけでは!」
「………」

    この通り、息もピッタリなのになんで付き合わないんだろうか。そういえば、この話はりゅう先生も言っていたな。

『……ラブコメの主人公とヒロインか?さっさと付き合えばいいのに……』

    僕もまったくもって同意見だった。



─────



    二人が落ち着いて来たころ、ようやく本題に入ることができた。

「よし、じゃあ改めて……今日のテーマは『動物』だ!」
「例えば?」
「えー……あー……うー……馬を、英語で?」
ホースhorse………何も考えて無かったな?」
「……フスーフスー…」
「誤魔化しても無駄だ」
「ダメか……」
「じゃあ、ヤギを英語で?」
「……ヤギYAGI!」
ゴートgoatだ!」
「そっちだったか!」
「何で迷った!?」

    ご覧の通り、部長は英語が少し苦手です。

「というかそもそもなんでこのテーマにしたんだ?」
「ん?朝学校に来る途中で猫を見てな。で、なんとなく決めた」
「……まぁそんなもんだろうと思った」
「というわけで、動物の入った言葉について話し合おう!まずは猫の入った言葉から!」
「そうですね………猫に小判、猫の額、好奇心は猫を殺す、猫ババ……結構有りますね」
「じゃあひめ、言語研究部らしく外国語訳してくれ」

    部長は顎に手を添えて考え始めた。

「えー、と……『猫に小判Oval zu Katze』『猫の額Front de chat』『好奇心は猫を殺すЛюбопытство убивает кошку』『ネコババGatto gatto』か。順番にドイツ語、フランス語、ロシア語、イタリア語に訳したぞ」
「……なんでそんなに出来て英語は出来ないんですか……」
「いや、あのな?これでも私は頑張ったんだ。読みたい本の日本語訳されたのが無かったから言語を覚えて……」
「それなら英語の方が覚えやすいと思うんですけど」
「私の家族が全員英語だけ苦手でな、そんな訳だから英語は簡単な単語しかわからないな」
「例えばどういう?」
フィッシュfish!」
「思った以上に簡単だった!?」
「まぁひめ一部バカの語彙は置いといて」
「なぜだか私を呼ぶ声に違和感があるのだが!?」

    そのあとも僕達は、最終下校時刻になるまで三人で色々と話していた。

「そういえば先生はどうした?」
「あ、伝言忘れてました。『我が家でゲームが待っている!という訳だからまた明日!』だそうです」
「そ、そうか……それで大丈夫なのか?先生は……」
「この前ソシャゲで八万使ったって言ってたが?」
「えぇ………」

    先生……ゲーム好きにも程があると思いますよ……


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