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彼と私の必死な攻防戦
第14話
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「メリッサ。今日は俺が相手してやろう」
騎士団のジルのもとへ行こうとする私を、フリードが呼び止める。
「フリードは仕事でしょ? 騎士団に行くからいいよ」
私はそっけなく答えるが、黙って腕を掴まれた。いきなり触れられるものだから、どぎまぎしてしまう私。そんな私に、フリードはにこりともせずに告げた。
「俺に勝てたらいい所に連れてってやる」
「……はぁ? いい所? 」
まさか職業安定所!? いや、そんなはずないか。
だが、暇だったのも事実、私は騎士団には行かず、フリードとお手合わせすることになる。
ジルはフリードが強いと言っていた。フリードは見た目からして、とても強そうだ。だが、私の予想以上に強いことが分かってしまった。元日本一になるはずだった私が、技をかけることすらなかなか出来ない。
おまけに、フリードは変な特技を持っているらしい。私の握った拳をぱしんとキャッチすると、なぜか私は胸がドキドキして顔が熱くなるのだ。
今も手をぎゅっと手を握られて、私は体の力が抜けてヘナヘナになってしまう。
「どうした? 」
余裕の表情のフリードに、
「……もうッ!! 」
全然余裕ではない私。
フリードはさっと私の後ろに周り、後ろからぎゅっと抱きしめる。体を震えが走って、心臓が止まりそうになる。
「ほら、俺の勝ちだ」
耳元で低くて甘い声で囁かれ、ぞわっと体を震えが走った。負けたくない私は真っ赤な顔で暴れたが、フリードに羽交締めにされて押さえ込まれてしまう。
フリードは罪な男だ。私に興味がないのに、お手合わせする時ですら優しく私に触れるのだから。そうやって優しくされると、私としても調子が狂う。
「俺の勝ちだが、お前もよくやった。いいところに連れてってやろう」
フリードは静かに囁いて私の体を離す。その瞬間、悪あがきで回し蹴りを放ったが、それすらフリードに止められてしまった。
「だから無駄だ。俺は強い」
私は真っ赤な顔でフリードを睨んでいる。フリードは相変わらず無表情で、怒る私を前にしても平常心だ。
フリードは私を連れて街の中を歩く。
「ねぇ、いい所ってどこ? 」
そんなフリードに聞くが、口数の少ないフリードは何も教えてくれない。
「あ、もしかして、武器と防具の店? 」
フリードを見上げた私を、彼は少し微笑んで見下ろす。普段無表情のフリードの笑顔の破壊力はすごい。フリードが少し笑うだけで、いちいちどきっとしてしまう。
「お前は武器屋がいいかもしれないが、俺は別のところに行きたい」
そして、頭をそっと撫でられる。まるで私は、フリードに手懐けられた猫みたいだ。フリードの言うことなんて聞きたくないのに、こうしてフリードと並んで歩くのが幸せだと思ってしまう。
不意に建物の間を冷たい風が吹き抜け、その寒さに身を震わせた。遠くの山々がすっぽり雪雲に覆われている。
「この街にももうすぐ雪が降るのかな」
思わず呟いた私に、
「あぁ、もうすぐだ」
フリードは静かに言う。そして、自分が着ていたコートを脱いで、そっと私にかけてくれた。
大きなフリードのコートは、ほんのりとフリードの香りがした。そして、フリードの体温で温まっている。なんだかこのコートをかけていると、フリードに包まれているみたいだ。やましいことは何もないのに、またドキドキする。
「……ありがと、フリード」
思わず見上げて礼を言うと、フリードは目を細めて私を見下ろす。そして、また頭を撫でられる。
「メリッサは薄着だ。この街は寒いから、外に出る時はしっかり防寒したほうがいい」
低くて優しい声。この声を聞くのが心地よいと思ってしまう。
「ぼ、防寒したら、動けないじゃない」
苦し紛れに言う私に、
「そうだな。でも、今は動く必要はない」
フリードは静かに告げる。そして付け加えた。
「俺は、メリッサと雪を見たいと思っている。
……雪だけではない。凍った池とか、星空とか、雪解けで咲く花とか……」
私は婚約破棄する身だ。そんなもの、フリードと見ている余裕はない。それなのに、フリードの言葉に頷いてしまう。
「きっと、雪が積もったこの街は綺麗なんでしょうね」
「あぁ、綺麗だ。……お前は強いものにしか興味がないと思っていたが、綺麗なものにも興味があるのか? 」
「何よ、失礼な」
私が頬を膨らますと、フリードは楽しそうに口角を上げる。そういうの、反則だ。もっと笑顔を見たいと思ってしまうから。そして、こうやってフリードの隣にいるのも悪くないと思ってしまうから。
「綺麗なものに興味があるなら、ちょうど良かった」
そう言ってフリードは、家々の間の細い路地を抜けた。そして、いきなり現れた広い空間に、
「わぁ……」
思わず声を上げていた。
そこは広い原っぱだった。寒空と北風に揺れる緑の草の上には、一面の白い花が咲いている。小さなユリのような花は可愛いが、どこか儚い。そしてその白い花も、北風にさわさわと揺れていた。まるで白い絨毯を敷き詰めたみたいだ。
「雪の花と言われている。五年に一度しか咲かないから、この地でも珍しい光景だ」
「そうなんだ……綺麗だね」
思わず告げた私に、そっとフリードは身を寄せる。
「雪の花が咲くと、雪が降ると言われている。もうすぐ本物の雪を、メリッサと見ることが出来るだろう」
その雪を、フリードと見たいと思ってしまった。きっと、雪の降り積もったこの街も、幻想的でとても綺麗なのだろう。
騎士団のジルのもとへ行こうとする私を、フリードが呼び止める。
「フリードは仕事でしょ? 騎士団に行くからいいよ」
私はそっけなく答えるが、黙って腕を掴まれた。いきなり触れられるものだから、どぎまぎしてしまう私。そんな私に、フリードはにこりともせずに告げた。
「俺に勝てたらいい所に連れてってやる」
「……はぁ? いい所? 」
まさか職業安定所!? いや、そんなはずないか。
だが、暇だったのも事実、私は騎士団には行かず、フリードとお手合わせすることになる。
ジルはフリードが強いと言っていた。フリードは見た目からして、とても強そうだ。だが、私の予想以上に強いことが分かってしまった。元日本一になるはずだった私が、技をかけることすらなかなか出来ない。
おまけに、フリードは変な特技を持っているらしい。私の握った拳をぱしんとキャッチすると、なぜか私は胸がドキドキして顔が熱くなるのだ。
今も手をぎゅっと手を握られて、私は体の力が抜けてヘナヘナになってしまう。
「どうした? 」
余裕の表情のフリードに、
「……もうッ!! 」
全然余裕ではない私。
フリードはさっと私の後ろに周り、後ろからぎゅっと抱きしめる。体を震えが走って、心臓が止まりそうになる。
「ほら、俺の勝ちだ」
耳元で低くて甘い声で囁かれ、ぞわっと体を震えが走った。負けたくない私は真っ赤な顔で暴れたが、フリードに羽交締めにされて押さえ込まれてしまう。
フリードは罪な男だ。私に興味がないのに、お手合わせする時ですら優しく私に触れるのだから。そうやって優しくされると、私としても調子が狂う。
「俺の勝ちだが、お前もよくやった。いいところに連れてってやろう」
フリードは静かに囁いて私の体を離す。その瞬間、悪あがきで回し蹴りを放ったが、それすらフリードに止められてしまった。
「だから無駄だ。俺は強い」
私は真っ赤な顔でフリードを睨んでいる。フリードは相変わらず無表情で、怒る私を前にしても平常心だ。
フリードは私を連れて街の中を歩く。
「ねぇ、いい所ってどこ? 」
そんなフリードに聞くが、口数の少ないフリードは何も教えてくれない。
「あ、もしかして、武器と防具の店? 」
フリードを見上げた私を、彼は少し微笑んで見下ろす。普段無表情のフリードの笑顔の破壊力はすごい。フリードが少し笑うだけで、いちいちどきっとしてしまう。
「お前は武器屋がいいかもしれないが、俺は別のところに行きたい」
そして、頭をそっと撫でられる。まるで私は、フリードに手懐けられた猫みたいだ。フリードの言うことなんて聞きたくないのに、こうしてフリードと並んで歩くのが幸せだと思ってしまう。
不意に建物の間を冷たい風が吹き抜け、その寒さに身を震わせた。遠くの山々がすっぽり雪雲に覆われている。
「この街にももうすぐ雪が降るのかな」
思わず呟いた私に、
「あぁ、もうすぐだ」
フリードは静かに言う。そして、自分が着ていたコートを脱いで、そっと私にかけてくれた。
大きなフリードのコートは、ほんのりとフリードの香りがした。そして、フリードの体温で温まっている。なんだかこのコートをかけていると、フリードに包まれているみたいだ。やましいことは何もないのに、またドキドキする。
「……ありがと、フリード」
思わず見上げて礼を言うと、フリードは目を細めて私を見下ろす。そして、また頭を撫でられる。
「メリッサは薄着だ。この街は寒いから、外に出る時はしっかり防寒したほうがいい」
低くて優しい声。この声を聞くのが心地よいと思ってしまう。
「ぼ、防寒したら、動けないじゃない」
苦し紛れに言う私に、
「そうだな。でも、今は動く必要はない」
フリードは静かに告げる。そして付け加えた。
「俺は、メリッサと雪を見たいと思っている。
……雪だけではない。凍った池とか、星空とか、雪解けで咲く花とか……」
私は婚約破棄する身だ。そんなもの、フリードと見ている余裕はない。それなのに、フリードの言葉に頷いてしまう。
「きっと、雪が積もったこの街は綺麗なんでしょうね」
「あぁ、綺麗だ。……お前は強いものにしか興味がないと思っていたが、綺麗なものにも興味があるのか? 」
「何よ、失礼な」
私が頬を膨らますと、フリードは楽しそうに口角を上げる。そういうの、反則だ。もっと笑顔を見たいと思ってしまうから。そして、こうやってフリードの隣にいるのも悪くないと思ってしまうから。
「綺麗なものに興味があるなら、ちょうど良かった」
そう言ってフリードは、家々の間の細い路地を抜けた。そして、いきなり現れた広い空間に、
「わぁ……」
思わず声を上げていた。
そこは広い原っぱだった。寒空と北風に揺れる緑の草の上には、一面の白い花が咲いている。小さなユリのような花は可愛いが、どこか儚い。そしてその白い花も、北風にさわさわと揺れていた。まるで白い絨毯を敷き詰めたみたいだ。
「雪の花と言われている。五年に一度しか咲かないから、この地でも珍しい光景だ」
「そうなんだ……綺麗だね」
思わず告げた私に、そっとフリードは身を寄せる。
「雪の花が咲くと、雪が降ると言われている。もうすぐ本物の雪を、メリッサと見ることが出来るだろう」
その雪を、フリードと見たいと思ってしまった。きっと、雪の降り積もったこの街も、幻想的でとても綺麗なのだろう。
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