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彼と私の必死な攻防戦
第19話
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私はいつもの空き地で、この地にいるただ一人の友人、ヒューゴと会っていた。もちろん、騎士団長のジルとともに。
ヒューゴは私を見るなり、
「メリッサ!!」
家から飛び出してきた。そして驚いたように私を上から下まで眺め下ろす。
「メリッサ、どうしたの!? そんな上等な服を着ているから、どこかの令嬢かと思った」
「あはは、私、一応令嬢なんだけどね」
いつものように冗談で告げる。そんなヒューゴは、私の後ろにいるジルを見てさらに驚いた。
「そ、その服はまさか……ハンスベルク辺境伯領の騎士!? 」
「うん。騎士団長のジルよ」
私の言葉に、ヒューゴはひっくり返りそうになった。ばっと私のドレスを掴み、耳元でひそひそ話す。
「き、騎士団長!? ハンスベルク辺境伯領の騎士団長なんて、雲の上の人じゃん!
すっごく強いし、騎士みんなの憧れなんだよ!!」
「そ、そうなの!? 」
ヒューゴの予想以上の反応に、戸惑ってしまった。私はジルとヒューゴのように仲良くしていたが、ジルはレベルが違うようだ。
「ジル。私の友達のヒューゴよ。よく対決していたの」
私がジルに紹介すると、ジルは騎士団長らしくピシッと背筋を伸ばして挨拶する。
「ハンスベルク辺境伯領のジルと申します。お褒めの言葉、光栄です」
ジルはすごいと思う。私と同じくらいの歳なのに、強いだけでなく礼儀正しい。ハンスベルク辺境伯領の誇れる騎士団長なのだろう。
社交上手なジルを見ると、私ってなんだろうとへこむほど。
そしてヒューゴは、私とのひそひそ話がジルに漏れていたことに赤面した。
「それよりメリッサ、元気そうで安心したよ。
メリッサは結婚したくなさそうだったけど、ここにいる時よりずっと元気そうじゃん? 」
「うん、元気だよ」
私は笑顔でヒューゴに告げる。
「ハンスベルク辺境伯領では武術の練習をしても怒られないし、美味しいものも食べられるし。私を陥れる人だっていない。
でもさ、私、婚約破棄するから」
その言葉に、
「「は!?」」
ジルとヒューゴがハモった。
「ちょっと待って、メリッサ。まだ言ってるの!?
フリード様はそのつもりなさそうなんだけど!」
「なんで!? メリッサ、ここに戻ってきても不幸になるだけだよ? 」
ジルとヒューゴに詰め寄られ、私は困った顔で答えたのだ。
「だって、フリード、私のこと、嫌いじゃん? たかが、政略結婚じゃん? 」
「嫌いって……」
ジルが額を押さえる。そんなジルに、とうとう言ってしまった。
「だって、会った初日に言われたんだよ。つまらない女だって!
それで私、怒ってフリードを叩き飛ばして……それから、フリードの頭が狂っちゃったみたい」
今まで黙っていたことを、とうとう告げてしまった。ジルはこの告白を聞き、私を罪人にするのだろうか。なんて不安に思ってしまったが……
「そういうことか……」
ジルはようやく納得がいったようで頷く。
「それ、フリード様の頭が狂ったわけじゃないとこ思うよ。むしろ……」
ジルが何か言いかけた時……
「お姉様!!」
絶対に聞きたくなかった、その甲高い声が聞こえた。その声を聞くと、背筋がゾゾーッとする。
目の前には、ピンク色のフリフリの服を着たラファエラがいた。そして、笑顔で私たちを見ている。だがこの笑顔には裏があるのだ。ラファエラに陥れられ続けた私は、そもそもラファエラなんて信用していない。むしろ関わりたくないし、一刻も早く逃げたいほどだ。
「お姉様、帰っていらしているなら、私にも挨拶してくださいよ」
いや、あんたに話したくもない。
私は口を噤む。ラファエラはととととととジルに駆け寄り、頬を染めて彼を見上げる。
「わたくし、メリッサお姉様の妹の、ラファエラと申しますの。以後、お見知り置きを」
私のこと、姉とも思っていないくせに。こんな時だけ調子がいいのだから。イラっとするが、気にしないふりをする。ラファエラに関われば関わるだけ、痛い目を見るのは分かっている。
社交的なジルのことだ。当然ラファエラにも紳士の対応をすると思っていた。だが、意外にもジルはにこりともせずにラファエラに言い放ったのだ。
「私は今後、貴女と関わるつもりはありません」
……え!?
「私たちは、訳あってヤヌース伯爵一家のことを調査させていただきました。
貴女たちは、我がハンスベルク辺境伯の妻となるメリッサに、酷い仕打ちをされていたのでしょう? 」
いつもほんわりしていて優しいジルが、とても怖かった。いつもの優しい雰囲気は皆無で、その視線はフリードのように冷たい。
そして、ジルは私が虐げられていたことを知っていたのだと驚きを隠せない。私の服が汚れていたのも、格闘をしていたからだと思っていると、信じ込んでいた。
「メリッサは強い女性です。本気になれば、貴女方を一発でノックアウトさせることだって出来るでしょう。それでも、貴女方を気遣って、手を出さなかった」
「いや!」
ラファエラは、真っ赤な顔でジルを睨む。もう、よく見せようなどという余裕はないようだった。ただ、自分が卑下されたことに怒り、私にその怒りをぶつけようとする本性が見えるだけだった。
「私はかつて、お姉様に投げ飛ばされたことがあります。
大怪我を負い、一ヶ月は歩くことが出来ませんでしたわ。お父様は大変お怒りになり、お姉様を屋敷から追放しましたもの」
「そうか」
ジルは冷たい瞳でラファエラを見る。
「それなら、ご自身の行いを反省するいい機会になりましたね」
ヒューゴは私を見るなり、
「メリッサ!!」
家から飛び出してきた。そして驚いたように私を上から下まで眺め下ろす。
「メリッサ、どうしたの!? そんな上等な服を着ているから、どこかの令嬢かと思った」
「あはは、私、一応令嬢なんだけどね」
いつものように冗談で告げる。そんなヒューゴは、私の後ろにいるジルを見てさらに驚いた。
「そ、その服はまさか……ハンスベルク辺境伯領の騎士!? 」
「うん。騎士団長のジルよ」
私の言葉に、ヒューゴはひっくり返りそうになった。ばっと私のドレスを掴み、耳元でひそひそ話す。
「き、騎士団長!? ハンスベルク辺境伯領の騎士団長なんて、雲の上の人じゃん!
すっごく強いし、騎士みんなの憧れなんだよ!!」
「そ、そうなの!? 」
ヒューゴの予想以上の反応に、戸惑ってしまった。私はジルとヒューゴのように仲良くしていたが、ジルはレベルが違うようだ。
「ジル。私の友達のヒューゴよ。よく対決していたの」
私がジルに紹介すると、ジルは騎士団長らしくピシッと背筋を伸ばして挨拶する。
「ハンスベルク辺境伯領のジルと申します。お褒めの言葉、光栄です」
ジルはすごいと思う。私と同じくらいの歳なのに、強いだけでなく礼儀正しい。ハンスベルク辺境伯領の誇れる騎士団長なのだろう。
社交上手なジルを見ると、私ってなんだろうとへこむほど。
そしてヒューゴは、私とのひそひそ話がジルに漏れていたことに赤面した。
「それよりメリッサ、元気そうで安心したよ。
メリッサは結婚したくなさそうだったけど、ここにいる時よりずっと元気そうじゃん? 」
「うん、元気だよ」
私は笑顔でヒューゴに告げる。
「ハンスベルク辺境伯領では武術の練習をしても怒られないし、美味しいものも食べられるし。私を陥れる人だっていない。
でもさ、私、婚約破棄するから」
その言葉に、
「「は!?」」
ジルとヒューゴがハモった。
「ちょっと待って、メリッサ。まだ言ってるの!?
フリード様はそのつもりなさそうなんだけど!」
「なんで!? メリッサ、ここに戻ってきても不幸になるだけだよ? 」
ジルとヒューゴに詰め寄られ、私は困った顔で答えたのだ。
「だって、フリード、私のこと、嫌いじゃん? たかが、政略結婚じゃん? 」
「嫌いって……」
ジルが額を押さえる。そんなジルに、とうとう言ってしまった。
「だって、会った初日に言われたんだよ。つまらない女だって!
それで私、怒ってフリードを叩き飛ばして……それから、フリードの頭が狂っちゃったみたい」
今まで黙っていたことを、とうとう告げてしまった。ジルはこの告白を聞き、私を罪人にするのだろうか。なんて不安に思ってしまったが……
「そういうことか……」
ジルはようやく納得がいったようで頷く。
「それ、フリード様の頭が狂ったわけじゃないとこ思うよ。むしろ……」
ジルが何か言いかけた時……
「お姉様!!」
絶対に聞きたくなかった、その甲高い声が聞こえた。その声を聞くと、背筋がゾゾーッとする。
目の前には、ピンク色のフリフリの服を着たラファエラがいた。そして、笑顔で私たちを見ている。だがこの笑顔には裏があるのだ。ラファエラに陥れられ続けた私は、そもそもラファエラなんて信用していない。むしろ関わりたくないし、一刻も早く逃げたいほどだ。
「お姉様、帰っていらしているなら、私にも挨拶してくださいよ」
いや、あんたに話したくもない。
私は口を噤む。ラファエラはととととととジルに駆け寄り、頬を染めて彼を見上げる。
「わたくし、メリッサお姉様の妹の、ラファエラと申しますの。以後、お見知り置きを」
私のこと、姉とも思っていないくせに。こんな時だけ調子がいいのだから。イラっとするが、気にしないふりをする。ラファエラに関われば関わるだけ、痛い目を見るのは分かっている。
社交的なジルのことだ。当然ラファエラにも紳士の対応をすると思っていた。だが、意外にもジルはにこりともせずにラファエラに言い放ったのだ。
「私は今後、貴女と関わるつもりはありません」
……え!?
「私たちは、訳あってヤヌース伯爵一家のことを調査させていただきました。
貴女たちは、我がハンスベルク辺境伯の妻となるメリッサに、酷い仕打ちをされていたのでしょう? 」
いつもほんわりしていて優しいジルが、とても怖かった。いつもの優しい雰囲気は皆無で、その視線はフリードのように冷たい。
そして、ジルは私が虐げられていたことを知っていたのだと驚きを隠せない。私の服が汚れていたのも、格闘をしていたからだと思っていると、信じ込んでいた。
「メリッサは強い女性です。本気になれば、貴女方を一発でノックアウトさせることだって出来るでしょう。それでも、貴女方を気遣って、手を出さなかった」
「いや!」
ラファエラは、真っ赤な顔でジルを睨む。もう、よく見せようなどという余裕はないようだった。ただ、自分が卑下されたことに怒り、私にその怒りをぶつけようとする本性が見えるだけだった。
「私はかつて、お姉様に投げ飛ばされたことがあります。
大怪我を負い、一ヶ月は歩くことが出来ませんでしたわ。お父様は大変お怒りになり、お姉様を屋敷から追放しましたもの」
「そうか」
ジルは冷たい瞳でラファエラを見る。
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