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彼と私の必死な攻防戦
第20話
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ジルの言葉を聞き、ラファエラは怒りで真っ赤になった。そして、稀に見る般若みたいな顔で、私を標的に戻した。
怒りに満ちたラファエラは、甲高い声で叫ぶ。そこにはもう、おしとやかなんて言葉は皆無だった。
「お姉様が悪いのよ!お姉様が全部!! 」
それは全くの当てつけだ。むしろ、私はよく我慢していたと、今となっては思う。
あの頃は環境の変化が怖くて従っていたが、自由ほど素晴らしいものはなかった。
「私をこんなに陥れて……許さない!! 」
ラファエラはずかずかと私に歩み寄り、手を振り上げる。そして、それを私めがけて全力で振り下ろしたが……
私はぱっとその手を掴んだ。何食わぬ顔で。
隣で、ジルが満足そうに笑う。そして、ヒューゴがおおと声を上げる。
ラファエラは、手を掴んだ私を怒りのこもった顔で睨む。そして……突如として大声を上げて泣き始めたのだ。
自分の都合が悪くなると、いつもこれだ。こうやって私は泣き脅しされ、いつも濡れ衣を被っていた。だけど今は、私の味方だっている。
ジルを見上げると、ジルは優しく私に微笑んだ。
「メリッサ……」
いつの間にかフリードまでいたらしい。フリードの声ではっと我に返った。
ラファエラは、私に手を掴まれて涙を流している。一般的に見て、この状況で悪者になるのは私だ。フリードは、今までのやり取りを見ていないかもしれない。
ラファエラは泣きながらも、ちらりと私を見てにやついた。私ははめられたのだ。フリードは、ラファエラの味方をすると彼女は思っている。私は何度もこうやって、ラファエラに悪者にされてきた。
だが、フリードはラファエラなんてガン無視して、私に話しかけた。
「俺の用事は終わった。帰るぞ」
「う……うん……」
慌ててラファエラを握る手を離し、フリードの後を追いかける。嘘泣きをしながらそんな私を睨んでいたラファエラは、なんと去ろうとする私めがけて突進してきた。それはもう、怒り狂った猪の勢いだった。
背を向けていた私は咄嗟に防御の姿勢を取れなかったが……
「何のつもりだ」
ラファエラは軽々フリードに掴み上げられる。ドレスの背中の部分を引っ張られ、ビリビリと生地が裂ける音がした。
「俺の妻に手を出す奴は、たとえ妹でも許さない」
フリードが手を離すと、ラファエラは涙を溢してその場に座り込んだ。そしてフリードは、何事もなかったかのように歩き始める。私は小走りで、慌ててフリードの後を追った。
フリードたちは、私が虐げられていることを知っていたのだ。ジルが知っているため、フリードだって知っているはずだ。その復讐をするために、今日はこの地に来たのだろうか。
「あ……ありがとう、フリード」
そう言いながらも、声が震えている。
フリードには知られたくなかった。変に同情されて、婚約破棄をされなかったら困るから。それに、私にだってプライドはある。ハンスベルク辺境伯領では強い女で通っているのに、虐げられていただなんて思われたくもない。
フリードはそっと私の背中に手を回す。そして、静かに告げた。
「北には雪雲がかかっている。帰ったら、あの地は雪に覆われているだろう」
「そ、そうなの!? 」
努めて元気に振る舞う私は、笑顔でフリードに告げる。
「雪遊びしたいなぁ。かまくら作りたいなぁ」
「あぁ、気が済むまで遊んでやる。
故郷のことは忘れて、我が領地で楽しく過ごそう」
その言葉に、とうとう涙が出た。
虐げられて生きてきた私に、こんなにも優しくしてくれるなんて。私の味方をしてくれるなんて。そこにフリードの気持ちがないことは分かっているが、すごく救われた気分だった。
必死でバレないように涙を拭く。だが、どれだけ我慢しても涙はどんどん溢れてくる。
こうやって、優しくされてようやく気付いた。私はずっと苦しんでいたのだ。ヒューゴしか味方がいなく、家族からは虐げられ、人々からは噂され。気にしたら負けだと思って、必死に気にしないようにして生きていた。だが、そのダメージは少しずつ傷になって、私の心に残っていったのだ。
涙を流す私を、フリードはそっと抱き寄せて歩く。私はフリードの黒いコートに頬を付けながら、ずっと静かに涙を流していた。
フリードなんて好きでも何でもないのに、フリードの存在に助けられた。そして、こうやってフリードといることが幸せなのかもしれないと思ってしまった。
怒りに満ちたラファエラは、甲高い声で叫ぶ。そこにはもう、おしとやかなんて言葉は皆無だった。
「お姉様が悪いのよ!お姉様が全部!! 」
それは全くの当てつけだ。むしろ、私はよく我慢していたと、今となっては思う。
あの頃は環境の変化が怖くて従っていたが、自由ほど素晴らしいものはなかった。
「私をこんなに陥れて……許さない!! 」
ラファエラはずかずかと私に歩み寄り、手を振り上げる。そして、それを私めがけて全力で振り下ろしたが……
私はぱっとその手を掴んだ。何食わぬ顔で。
隣で、ジルが満足そうに笑う。そして、ヒューゴがおおと声を上げる。
ラファエラは、手を掴んだ私を怒りのこもった顔で睨む。そして……突如として大声を上げて泣き始めたのだ。
自分の都合が悪くなると、いつもこれだ。こうやって私は泣き脅しされ、いつも濡れ衣を被っていた。だけど今は、私の味方だっている。
ジルを見上げると、ジルは優しく私に微笑んだ。
「メリッサ……」
いつの間にかフリードまでいたらしい。フリードの声ではっと我に返った。
ラファエラは、私に手を掴まれて涙を流している。一般的に見て、この状況で悪者になるのは私だ。フリードは、今までのやり取りを見ていないかもしれない。
ラファエラは泣きながらも、ちらりと私を見てにやついた。私ははめられたのだ。フリードは、ラファエラの味方をすると彼女は思っている。私は何度もこうやって、ラファエラに悪者にされてきた。
だが、フリードはラファエラなんてガン無視して、私に話しかけた。
「俺の用事は終わった。帰るぞ」
「う……うん……」
慌ててラファエラを握る手を離し、フリードの後を追いかける。嘘泣きをしながらそんな私を睨んでいたラファエラは、なんと去ろうとする私めがけて突進してきた。それはもう、怒り狂った猪の勢いだった。
背を向けていた私は咄嗟に防御の姿勢を取れなかったが……
「何のつもりだ」
ラファエラは軽々フリードに掴み上げられる。ドレスの背中の部分を引っ張られ、ビリビリと生地が裂ける音がした。
「俺の妻に手を出す奴は、たとえ妹でも許さない」
フリードが手を離すと、ラファエラは涙を溢してその場に座り込んだ。そしてフリードは、何事もなかったかのように歩き始める。私は小走りで、慌ててフリードの後を追った。
フリードたちは、私が虐げられていることを知っていたのだ。ジルが知っているため、フリードだって知っているはずだ。その復讐をするために、今日はこの地に来たのだろうか。
「あ……ありがとう、フリード」
そう言いながらも、声が震えている。
フリードには知られたくなかった。変に同情されて、婚約破棄をされなかったら困るから。それに、私にだってプライドはある。ハンスベルク辺境伯領では強い女で通っているのに、虐げられていただなんて思われたくもない。
フリードはそっと私の背中に手を回す。そして、静かに告げた。
「北には雪雲がかかっている。帰ったら、あの地は雪に覆われているだろう」
「そ、そうなの!? 」
努めて元気に振る舞う私は、笑顔でフリードに告げる。
「雪遊びしたいなぁ。かまくら作りたいなぁ」
「あぁ、気が済むまで遊んでやる。
故郷のことは忘れて、我が領地で楽しく過ごそう」
その言葉に、とうとう涙が出た。
虐げられて生きてきた私に、こんなにも優しくしてくれるなんて。私の味方をしてくれるなんて。そこにフリードの気持ちがないことは分かっているが、すごく救われた気分だった。
必死でバレないように涙を拭く。だが、どれだけ我慢しても涙はどんどん溢れてくる。
こうやって、優しくされてようやく気付いた。私はずっと苦しんでいたのだ。ヒューゴしか味方がいなく、家族からは虐げられ、人々からは噂され。気にしたら負けだと思って、必死に気にしないようにして生きていた。だが、そのダメージは少しずつ傷になって、私の心に残っていったのだ。
涙を流す私を、フリードはそっと抱き寄せて歩く。私はフリードの黒いコートに頬を付けながら、ずっと静かに涙を流していた。
フリードなんて好きでも何でもないのに、フリードの存在に助けられた。そして、こうやってフリードといることが幸せなのかもしれないと思ってしまった。
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