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幸せを掴み取った瞬間
第46話
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昼過ぎ。ようやく起き出した私たちは遅い昼食を食べた後、ジルからの報告を聞いていた。静かな室内に、ジルの声が響き渡る。
「アダムは、薬物の過剰摂取により心臓発作を起こしました。そして、ハイデマリーの治療により一命を取り留めましたが、しばらく入院加療が必要です」
アダムが急に苦しみ始めたのは、過剰なドーピングのせいだったのだ。武術大会の時のアダムの姿は普通ではなかった。ラファエラは目先のことを優先しすぎて、アダムのことなんて何も考えていなかったのだろう。
「ラファエラが隣国に迎えられるという話は、もちろん立ち消えました。それどころか、ラファエラの悪評を聞いた隣国国王は、ラファエラが領地に入るのを一切禁止しました。
ハンスベルクの地も、ラファエラの立ち入りを一切禁止します。そのため、ラファエラが僕たちの前に現れることは、もうないでしょう」
その言葉にフリードは頷く。
「あの女の犯した罪は大きい。ヤヌース伯爵領も、今回の一件で、隣国や我が領地に多額の賠償金を払うことになるだろう。
もとから困窮していたヤヌース伯爵一家も、さらに厳しい暮らしを強いられることになる」
「賠償金? 」
思わずフリードに聞いていた。すると、フリードはいつもの無表情で淡々と答える。
「隣国騎士のアダムを殺しかけた罪と、魔術師に大会規則を破らせた罪と、違法薬物を使用した罪。
我が領地の聖女を襲った罪に、メリッサを侮辱した罪だ」
私を侮辱するのは毎度のことだから大丈夫だとして……
「ハイデマリーは大丈夫だったの!? 」
思わず聞いていた。
私が叩き飛ばされている時、ハイデマリーを殴りそうなラファエラを見た。だが、ハイデマリーは私の救護に駆けつけてくれた。一体、どうなっているのだろう。
「僕が見張りのついでに、ずっと見ていたからね。ハイデマリーを殴る前に、僕が止めた」
さすがジルだ。そして、私は優勝してしまったが、ジルには勝てないのだろう。
「そんなわけで、俺たちの暮らしは何も変わらない。
お前はこれからもこの地で、羽を伸ばして暮らすといい」
フリードはそう言って、ジルが見ているというのに私を抱き寄せ頬に軽くキスをする。毎度のことながら、真っ赤になってしまう私。私はずっとこれからも、フリードにドキドキしっ放しなのだろう。
「だが、もう無茶はするな。
お前が危険な目に遭うたびに、俺は心臓が止まりそうになる」
フリードは低く甘い声で話し、私の髪をそっと手に取ると唇を付ける。こうやって甘やかされると、もっとフリードに触れていたいと思ってしまう。昨夜初めてフリードに触れたのに、まだまだ足りないようだ。
ジルは私たちを、文字通り目を点にして見ていた。その痛い視線に気付き、ばっとフリードから身を離す。私はきっと、真っ赤な顔をしている。
「あ……あの……」
ジルは真っ赤な顔で私たちを見比べる。
「なんて言うか……お二人はいつの間に、そんなに親密になられたんですか? 」
じ、ジルは鈍感そうに見えて、実はすごく敏感なのかもしれない。そして私は、ジルの言葉にさらに真っ赤になってしまう。それだけでない、昨夜のことを思い出していまだにキュンキュンドキドキしている。
「……もういい。去れ」
フリードは不機嫌そうに言う。私はこんなにも惑わされているのに、フリードはいつも平常心だ。きっと、私の気持ちのほうが大きいのだろう。
「……ん? 」
ちらりとフリードを見た私は、思わず二度見をしてしまった。だって、いつも通りの無表情のはずのフリードは、目元を手で覆い顔を真っ赤にしているのだから。
あれ? もしかして、フリードも照れているの?
じっとフリードを見ていると、
「何を見ている! 」
真っ赤な顔のフリードがぶっきらぼうに言う。だから私は思わず笑ってしまった。こんな私を見て、フリードも幸せそうに笑う。誰にも見せないこのフリードの笑顔を見られるのは、私だけの特権だ。
「メリッサ、よく覚えておけよ」
フリードは真っ赤な顔で笑いながら、目元を押さえたまま告げる。
「これから毎晩、覚悟しておけ。絶対に離さないからな!」
こんなフリードが愛しくて、フリードの隣にいられることが幸せで、私は初めて自分からフリードに抱きついていた。そして、顔を紅潮させたまま告げる。
「大好きだよ、フリード」
「アダムは、薬物の過剰摂取により心臓発作を起こしました。そして、ハイデマリーの治療により一命を取り留めましたが、しばらく入院加療が必要です」
アダムが急に苦しみ始めたのは、過剰なドーピングのせいだったのだ。武術大会の時のアダムの姿は普通ではなかった。ラファエラは目先のことを優先しすぎて、アダムのことなんて何も考えていなかったのだろう。
「ラファエラが隣国に迎えられるという話は、もちろん立ち消えました。それどころか、ラファエラの悪評を聞いた隣国国王は、ラファエラが領地に入るのを一切禁止しました。
ハンスベルクの地も、ラファエラの立ち入りを一切禁止します。そのため、ラファエラが僕たちの前に現れることは、もうないでしょう」
その言葉にフリードは頷く。
「あの女の犯した罪は大きい。ヤヌース伯爵領も、今回の一件で、隣国や我が領地に多額の賠償金を払うことになるだろう。
もとから困窮していたヤヌース伯爵一家も、さらに厳しい暮らしを強いられることになる」
「賠償金? 」
思わずフリードに聞いていた。すると、フリードはいつもの無表情で淡々と答える。
「隣国騎士のアダムを殺しかけた罪と、魔術師に大会規則を破らせた罪と、違法薬物を使用した罪。
我が領地の聖女を襲った罪に、メリッサを侮辱した罪だ」
私を侮辱するのは毎度のことだから大丈夫だとして……
「ハイデマリーは大丈夫だったの!? 」
思わず聞いていた。
私が叩き飛ばされている時、ハイデマリーを殴りそうなラファエラを見た。だが、ハイデマリーは私の救護に駆けつけてくれた。一体、どうなっているのだろう。
「僕が見張りのついでに、ずっと見ていたからね。ハイデマリーを殴る前に、僕が止めた」
さすがジルだ。そして、私は優勝してしまったが、ジルには勝てないのだろう。
「そんなわけで、俺たちの暮らしは何も変わらない。
お前はこれからもこの地で、羽を伸ばして暮らすといい」
フリードはそう言って、ジルが見ているというのに私を抱き寄せ頬に軽くキスをする。毎度のことながら、真っ赤になってしまう私。私はずっとこれからも、フリードにドキドキしっ放しなのだろう。
「だが、もう無茶はするな。
お前が危険な目に遭うたびに、俺は心臓が止まりそうになる」
フリードは低く甘い声で話し、私の髪をそっと手に取ると唇を付ける。こうやって甘やかされると、もっとフリードに触れていたいと思ってしまう。昨夜初めてフリードに触れたのに、まだまだ足りないようだ。
ジルは私たちを、文字通り目を点にして見ていた。その痛い視線に気付き、ばっとフリードから身を離す。私はきっと、真っ赤な顔をしている。
「あ……あの……」
ジルは真っ赤な顔で私たちを見比べる。
「なんて言うか……お二人はいつの間に、そんなに親密になられたんですか? 」
じ、ジルは鈍感そうに見えて、実はすごく敏感なのかもしれない。そして私は、ジルの言葉にさらに真っ赤になってしまう。それだけでない、昨夜のことを思い出していまだにキュンキュンドキドキしている。
「……もういい。去れ」
フリードは不機嫌そうに言う。私はこんなにも惑わされているのに、フリードはいつも平常心だ。きっと、私の気持ちのほうが大きいのだろう。
「……ん? 」
ちらりとフリードを見た私は、思わず二度見をしてしまった。だって、いつも通りの無表情のはずのフリードは、目元を手で覆い顔を真っ赤にしているのだから。
あれ? もしかして、フリードも照れているの?
じっとフリードを見ていると、
「何を見ている! 」
真っ赤な顔のフリードがぶっきらぼうに言う。だから私は思わず笑ってしまった。こんな私を見て、フリードも幸せそうに笑う。誰にも見せないこのフリードの笑顔を見られるのは、私だけの特権だ。
「メリッサ、よく覚えておけよ」
フリードは真っ赤な顔で笑いながら、目元を押さえたまま告げる。
「これから毎晩、覚悟しておけ。絶対に離さないからな!」
こんなフリードが愛しくて、フリードの隣にいられることが幸せで、私は初めて自分からフリードに抱きついていた。そして、顔を紅潮させたまま告げる。
「大好きだよ、フリード」
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