47 / 47
幸せを掴み取った瞬間
第47話
しおりを挟む
それから数ヶ月後……
私は晴れてフリードの妻となった。白いドレスを着て人々の笑顔に包まれながら、フリードと手を組んで教会の中を歩く。こうして私たちは、無事に結婚式を挙げて夫婦となった。
挙式の途中、ふとフリードを見上げる。すると彼は、色素の薄い青い瞳でまっすぐ前を見ながらも、少しだけ涙ぐんでいる。普段は無表情のフリードは、人一倍感情を溜め込んでいることも分かっている。表情に出さないだけで、喜びもするし怒りもする。そして、私のことを心から愛してくれる。
「泣いてるの? 」
小声で聞くと、緩んでいた口元がきゅっと引き締まる。そして、いつものように溢れる感情に蓋をした。そんなフリードを見て微笑みつつも、幸せだなあと思った。こんなにも大好きな人と、ずっと一緒にいられるなんて。
式を終え、出席者に見送られながら教会を出る。ハイデマリーと並ぶジルの姿も見え、その近くにはヒューゴもいた。どうやらハイデマリーとジルは恋人になったようで、ヒューゴも新たな女性を見つけるために日々精進しているとか。大切な三人だから、三人とも幸せになって欲しいと心から思った。
教会を出て館へ戻る途中、
「メリッサ、大丈夫か? 」
不意にフリードが聞く。
「お前が式を挙げたいというから挙げたが、……負担ではなかったか? 」
フリードは静かにそう告げ、そっと私の腹部に触れる。そこには新たな命が宿っていることが、つい先日発覚した。まだまだ母親になる自覚はないが、こうやって少しずつフリードと家族になっていくのだろう。
「ううん、辛くない。いつも通り元気よ」
そして、フリードの腕に手を添えて歩きながら、付け足した。
「結婚式を挙げさせてくれて、ありがとう。
ウエディングドレスなんて着ちゃって、似合わないだなんて言われそうだけど」
フリードは立ち止まってじっと私を見る。私の大好きな、甘くて優しいその瞳で。フリードに見つめられると、愛されていることを強く感じる。こうやってフリードの隣にいられて、とても嬉しい。
「綺麗だ」
低く甘い声で告げられる。そして、ちゅっと頬にキスをされる。私は強くて令嬢らしくない女なのに、フリードはこうやって女の子扱いをしてくれる。
「ありがとう。……フリードもとてもかっこいいわ」
そう告げると、耳まで真っ赤になるフリード。こんな照れ屋なフリードが愛しい。私たちは身を寄せ合い笑い合って館に戻った。
故郷の辛い日々が信じられないほど、今の私は幸せだ。愛する人とともに、ずっとこの幸せな日々を噛み締めていきたい。
ハンスベルク辺境伯は、その逞しい体つきと厳しい顔から、悪魔辺境伯と呼ばれている。
だが、領地の者は皆辺境伯を慕い、魔物から守られて安全に暮らせることを感謝している。
辺境伯の隣には、いつも明るくて笑顔の夫人がいる。この夫人はとても強く、辺境伯も夫人には頭が上がらないようだ。加えて、辺境伯の子供たちは皆、夫人秘伝の異国の武術を習得しているとか。
ハンスベルク辺境伯夫婦は、息絶えるその日まで、いつまでも仲良く幸せに暮らしたそうだ。
私は晴れてフリードの妻となった。白いドレスを着て人々の笑顔に包まれながら、フリードと手を組んで教会の中を歩く。こうして私たちは、無事に結婚式を挙げて夫婦となった。
挙式の途中、ふとフリードを見上げる。すると彼は、色素の薄い青い瞳でまっすぐ前を見ながらも、少しだけ涙ぐんでいる。普段は無表情のフリードは、人一倍感情を溜め込んでいることも分かっている。表情に出さないだけで、喜びもするし怒りもする。そして、私のことを心から愛してくれる。
「泣いてるの? 」
小声で聞くと、緩んでいた口元がきゅっと引き締まる。そして、いつものように溢れる感情に蓋をした。そんなフリードを見て微笑みつつも、幸せだなあと思った。こんなにも大好きな人と、ずっと一緒にいられるなんて。
式を終え、出席者に見送られながら教会を出る。ハイデマリーと並ぶジルの姿も見え、その近くにはヒューゴもいた。どうやらハイデマリーとジルは恋人になったようで、ヒューゴも新たな女性を見つけるために日々精進しているとか。大切な三人だから、三人とも幸せになって欲しいと心から思った。
教会を出て館へ戻る途中、
「メリッサ、大丈夫か? 」
不意にフリードが聞く。
「お前が式を挙げたいというから挙げたが、……負担ではなかったか? 」
フリードは静かにそう告げ、そっと私の腹部に触れる。そこには新たな命が宿っていることが、つい先日発覚した。まだまだ母親になる自覚はないが、こうやって少しずつフリードと家族になっていくのだろう。
「ううん、辛くない。いつも通り元気よ」
そして、フリードの腕に手を添えて歩きながら、付け足した。
「結婚式を挙げさせてくれて、ありがとう。
ウエディングドレスなんて着ちゃって、似合わないだなんて言われそうだけど」
フリードは立ち止まってじっと私を見る。私の大好きな、甘くて優しいその瞳で。フリードに見つめられると、愛されていることを強く感じる。こうやってフリードの隣にいられて、とても嬉しい。
「綺麗だ」
低く甘い声で告げられる。そして、ちゅっと頬にキスをされる。私は強くて令嬢らしくない女なのに、フリードはこうやって女の子扱いをしてくれる。
「ありがとう。……フリードもとてもかっこいいわ」
そう告げると、耳まで真っ赤になるフリード。こんな照れ屋なフリードが愛しい。私たちは身を寄せ合い笑い合って館に戻った。
故郷の辛い日々が信じられないほど、今の私は幸せだ。愛する人とともに、ずっとこの幸せな日々を噛み締めていきたい。
ハンスベルク辺境伯は、その逞しい体つきと厳しい顔から、悪魔辺境伯と呼ばれている。
だが、領地の者は皆辺境伯を慕い、魔物から守られて安全に暮らせることを感謝している。
辺境伯の隣には、いつも明るくて笑顔の夫人がいる。この夫人はとても強く、辺境伯も夫人には頭が上がらないようだ。加えて、辺境伯の子供たちは皆、夫人秘伝の異国の武術を習得しているとか。
ハンスベルク辺境伯夫婦は、息絶えるその日まで、いつまでも仲良く幸せに暮らしたそうだ。
650
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(11件)
あなたにおすすめの小説
『嫌われ令嬢ですが、最終的に溺愛される予定です』
由香
恋愛
貴族令嬢エマは、自分が周囲から嫌われていると信じて疑わなかった。
婚約者である侯爵令息レオンからも距離を取られ、冷たい視線を向けられている――そう思っていたのに。
ある日、思いがけず聞いてしまった彼の本音。
「君を嫌ったことなど、一度もない」
それは誤解とすれ違いが重なっただけの、両片思いだった。
勘違いから始まる、甘くて優しい溺愛恋物語。
王太子妃専属侍女の結婚事情
蒼あかり
恋愛
伯爵家の令嬢シンシアは、ラドフォード王国 王太子妃の専属侍女だ。
未だ婚約者のいない彼女のために、王太子と王太子妃の命で見合いをすることに。
相手は王太子の側近セドリック。
ところが、幼い見た目とは裏腹に令嬢らしからぬはっきりとした物言いのキツイ性格のシンシアは、それが元でお見合いをこじらせてしまうことに。
そんな二人の行く末は......。
☆恋愛色は薄めです。
☆完結、予約投稿済み。
新年一作目は頑張ってハッピーエンドにしてみました。
ふたりの喧嘩のような言い合いを楽しんでいただければと思います。
そこまで激しくはないですが、そういうのが苦手な方はご遠慮ください。
よろしくお願いいたします。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い
腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢クラウディアは、婚約者のアルバート王太子と妹リリアンに「地味で無能」と断罪され、公衆の面前で婚約破棄される。
お飾りの厄介払いとして押し付けられた嫁ぎ先は、「氷壁公爵」と恐れられる年上の冷酷な辺境伯アレクシス・グレイヴナー公爵だった。
当初は冷徹だった公爵は、クラウディアの才能と、過去の傷を癒やす温もりに触れ、その愛を「二度と失わない」と固く誓う。
彼の愛は、包容力と同時に、狂気的な独占欲を伴った「大人の愛」へと昇華していく。
家族から邪魔者扱いされた私が契約婚した宰相閣下、実は完璧すぎるスパダリでした。仕事も家事も甘やかしも全部こなしてきます
さら
恋愛
家族から「邪魔者」扱いされ、行き場を失った伯爵令嬢レイナ。
望まぬ結婚から逃げ出したはずの彼女が出会ったのは――冷徹無比と恐れられる宰相閣下アルベルト。
「契約でいい。君を妻として迎える」
そう告げられ始まった仮初めの結婚生活。
けれど、彼は噂とはまるで違っていた。
政務を完璧にこなし、家事も器用に手伝い、そして――妻をとことん甘やかす完璧なスパダリだったのだ。
「君はもう“邪魔者”ではない。私の誇りだ」
契約から始まった関係は、やがて真実の絆へ。
陰謀や噂に立ち向かいながら、互いを支え合う二人は、次第に心から惹かれ合っていく。
これは、冷徹宰相×追放令嬢の“契約婚”からはじまる、甘々すぎる愛の物語。
指輪に誓う未来は――永遠の「夫婦」。
離婚寸前で人生をやり直したら、冷徹だったはずの夫が私を溺愛し始めています
腐ったバナナ
恋愛
侯爵夫人セシルは、冷徹な夫アークライトとの愛のない契約結婚に疲れ果て、離婚を決意した矢先に孤独な死を迎えた。
「もしやり直せるなら、二度と愛のない人生は選ばない」
そう願って目覚めると、そこは結婚直前の18歳の自分だった!
今世こそ平穏な人生を歩もうとするセシルだったが、なぜか夫の「感情の色」が見えるようになった。
冷徹だと思っていた夫の無表情の下に、深い孤独と不器用で一途な愛が隠されていたことを知る。
彼の愛をすべて誤解していたと気づいたセシルは、今度こそ彼の愛を掴むと決意。積極的に寄り添い、感情をぶつけると――
【完結】記憶にありませんが、責任は取りましょう
楽歩
恋愛
階段から落ちて三日後、アイラは目を覚ました。そして、自分の人生から十年分の記憶が消えていることを知らされる。
目の前で知らない男が号泣し、知らない子どもが「お母様!」としがみついてくる。
「状況を確認いたします。あなたは伯爵、こちらは私たちの息子。なお、私たちはまだ正式な夫婦ではない、という理解でよろしいですね?」
さらに残されていたのは鍵付き箱いっぱいの十年分の日記帳。中身は、乙女ゲームに転生したと信じ、攻略対象を順位付けして暴走していた“過去のアイラ”の黒歴史だった。
アイラは一冊の日記を最後の一行まで読み終えると、無言で日記を暖炉へ投げ入れる。
「これは、焼却処分が妥当ですわね」
だいぶ騒がしい人生の再スタートが今、始まる。
【完結】余命三年ですが、怖いと評判の宰相様と契約結婚します
佐倉えび
恋愛
断罪→偽装結婚(離婚)→契約結婚
不遇の人生を繰り返してきた令嬢の物語。
私はきっとまた、二十歳を越えられないーー
一周目、王立学園にて、第二王子ヴィヴィアン殿下の婚約者である公爵令嬢マイナに罪を被せたという、身に覚えのない罪で断罪され、修道院へ。
二周目、学園卒業後、夜会で助けてくれた公爵令息レイと結婚するも「あなたを愛することはない」と初夜を拒否された偽装結婚だった。後に離婚。
三周目、学園への入学は回避。しかし評判の悪い王太子の妾にされる。その後、下賜されることになったが、手渡された契約書を見て、契約結婚だと理解する。そうして、怖いと評判の宰相との結婚生活が始まったのだが――?
*ムーンライトノベルズにも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
ところどころ、フリードが泣いちゃうところが、ギャップもえしました。
拗らしたスパダリなのに、子供みたいに感情が出ちゃう、おっきいオトコのひと、最高です。
ジルもヒューゴもオトコ前のでした。
面白かったです!
この度は本作品を読んでくださって、ありがとうございます‼️
せっかく感想をいただけたのに、しばらくアルファポリスを見ていなかったため、返信が遅くなって申し訳ありません💦💦
フリードは普段無表情なだけに、感情が抑えられなかった時のギャップに感じていただけて嬉しいです😊💓
この話に出てくる人たちは、子供っぽい人が多いなぁと思っていました(笑)
面白いだなんて言っていただけて、泣ける思いです!!本当にありがとうございました🥰
完結おめでとうございます。
家を追い出され自由に振る舞い、辺境伯達を振り回すのは楽しかったです。
ただ武術大会にこだわり出した辺りから、婚約破棄を脅し文句に使い妹みたいになったのが残念です。
この度は本作品を読んでくださってありがとうございます!
感想もありがとうございます😊
メリッサが嫌な女になるのは避けたいので、少しずつ修正していくつもりです。
ご意見、ありがとうございました‼️
試合に出てほしくない、フリードの気持ちも理解しよう。何でもかんでも思うがままに、はあなたが嫌う人と同じ精神構造。自重しません?
このたびは本作品を読んでくださって、ありがとうございました。
本当ですね…思わぬ盲点でした💦
メリッサにはラファエラみたいな人にはなって欲しくないです。
気付かせてくださってありがとうございました‼️😊