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第28話:超タイムリープ
9月が近づき、夏休みも残り少なくなってきた平日の夜。ふと、夜中に目を覚ました架来は、布団の中で尿意を感じた。眠い目をこすりながらも、我慢できないほどの尿意に
「う、うーん、仕方ないわね」
と、薄暗い廊下を急いだ。トイレの前に辿り着いた、まさにその瞬間だった。
じゅわ、じょ、じょ、じょ…!
「えっ、ちょっ、ちょっと待って!」
思わず前を押さえるが、時すでに遅し。パジャマの股間にじわりと温かい染みが広がる。
「ダメっ、(そんなつもりないのに、時間戻っちゃう…!)」
と心の中で焦っているうちに、架来の意識は遠のいていった。
意識が戻ると、そこは見慣れない部屋だった。薄暗く、殺風景な部屋。自分がいる場所がどこなのか、架来には全く見当がつかない。視線を落とすと、着ているのは見慣れない病院着のようなものだ。何が起こったのか理解できないまま、部屋の壁にかかっている鏡が目に入った。ゆっくりと鏡に近づき、そこに映る自分を見た瞬間――
「なにこれーー!?」
鏡の中にいたのは、驚くほど幼い少女だった。見たところ、8歳から10歳くらいの姿。完璧な高校生だったはずの架来は、なんと幼児化してしまっていたのだった。
「ど、どういうことなの?!」
自分の姿が信じられず、架来は混乱していた。
「お漏らしの巻き戻りで戻りすぎちゃった?」
そんなバカな話があるだろうか。
「そんな、子供の頃まで戻るほどのお漏らしなんて、そんなのできるわけが…」
軽い混乱の中、部屋から声を上げてみる。
「あの、すみませーん」
「お母さん?」
しかし、どの呼びかけにも返事はなく、時間は真夜中のようだ。ふと、尿意を感じる架来。
「えっ、なんで? タイムリープで漏らしたあとは尿意はなくなってるはずなのに…」
混乱と疑問を抱えながら、仕方なく部屋を出て病院の廊下に出た。シーンと静まり返った病院に、自分の足音だけが不気味に響く。
「あのー、だれかいませんか?」
まるで無人の病院のように人の気配がない。不安と焦りが募る中、
「と、トイレはどこかしら…」
廊下を歩いても、静まり返った部屋が続くだけで、一向にトイレが見当たらない。
「も、もう、漏れちゃいそうなのに…」
前を抑えながら、一人で廊下を探し回る。ようやく長い廊下の突き当たりあたりでトイレを見つけた。
「あった…」
しかし、安堵したのも束の間、
じゅわっ…
「待って、ダメ、出ちゃいそう!」
急いでトイレの入口へ駆け込む。
じゅじゅっ…
「あっ、あ、待って…」
女子らしい白いショーツに染みが広がる感覚がわかる。病院着にもじわりと染みこむ感覚…。
「あと、ちょっとでトイレが目の前なのに…」
じゅわーー!
トイレの入口、廊下でついに限界を迎えてしまう架来。そこで再び意識が遠のいた。
「はっ…」
と、気が付くと、そこはいつもの見慣れた自分の部屋だった。身体もどうやらいつも通り、高校生に戻っている。顔や体は汗でびっしょりだが、ベッドで寝ていた自分のパジャマは濡れていない。部屋を見回して、架来はほっと胸をなで下ろした。時計は2時を指している。ブルっと体に尿意の気配…。
「あ、トイレ…行かないと」
夢から覚めた架来は、そのままトイレへ向かった。
「最近、お漏らししすぎてて、あんな夢を見てしまったのかしら…」
トイレを済ませながら、架来は不思議な体験を思い出すのであった。
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