今、君はどこにいるの?

eriko

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失ったものの大きさ

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  長女を失うなんて、夢にも思ってなかった。
失ったものがあまりにも大きすぎた。
当たり前に、元気でいてくれるものだと、
疑いもしなかった。


  目をつぶるのが怖くなった。
暗くなるのも怖かった。
夜は電気をつけたまま。
だけど、とにかく「生きよう」と、思った。


街で、長女に似た後ろ姿を見ると
ハッとした。
長女が好きだったお店に行って
足跡をたどった。どんな気持ちで
買い物してたのだろう。


ここで、偶然会ったんだよな。
なんで今、いないんだ。


花を買う時は、「どれにする?」
心の中で長女にきいた。
泣きながら、花を買った。


そして、泣きすぎたあとは
チームナックスを見て笑った。
人はずっと泣いてては生きられないと
知った。


   離れて暮らすようになった時、
長女から言われた。

「お母さんの、お帰りは、当たり前じゃなかった」
と。

  そう言われた時、そんなふうに思ってくれたのか。
と、少し嬉しかったことをおぼえてる。
だけど、長女の「ただいま」だって、当たり前じゃなかったことに、その時の私は気づいてなかった。


  当たり前って、すぐそこにある
つい、見過ごしてしまう大切なこと。
そこに、当たり前にあること。
ただいま。おかえり
おはよう。おやすみ。
いただきます。ごちそうさま。
ありがとう。ごめんね。
何気ない笑顔。不貞腐れた顔。
「ない」ものにばかり、目を向けていると
見えなくなっちゃう。


私は、どれほど幸せに包まれて生きてきたのか。
どれほどの愛に包まれてきたのか。
悲しみのあまり、たくさんの人から
私に注がれていた愛に
気づけていなかったかもしれない。
心配かけないように。元気なふりしてたなんて。
なんか自分だけ頑張ってるみたいな感じだね。
でも、あの頃の私は、必死だったんだ。

そんな自分を許して、愛してあげよう。


今、君はどこにいるの?

「そうそう!その調子!」
なんて、言ってるかな。
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