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第二章 奇妙で穏やかな生活
第七話 食事
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「食事が出来ている」
「あ、ありがとうございます……」
風呂場から出た夜空。待っていたヴァートの隣を歩き、食事場所へと向かっていた。先ほど案内された食事場所は、それこそファンタジー世界の中で身分のある者達が食事をしていてもおかしくないような美しさの場所だった。ただ、魔法界の食事、というものは全く想像が出来なかった。「贄」という立場であるからなおさら。
部屋に入る。広い空間に、上質そうなテーブルに椅子。白いテーブルクロス。その上に、食事。
「え……?」
夜空は、やはりここでもひどく戸惑った声を上げてしまった。そこにあったのは、出来たてのあたたかな食事だったから。
刻まれた野菜によって彩られ、ふわふわと湯気の立ったミルクスープ。香ばしいかおりが漂う柔らかそうなパン。そして何か果実を切ったものが置かれていた。林檎を切り分けたものに似ている。
「…………これ、ですか? 俺の食事……」
「そうだ。不満か?」
「いえいえ! 全く……!」
温かい料理が出てくるとは思わなかったから、ひどく驚いてしまった。
「そ、その……、これはヴァートさんの、手作りですか?」
「毒は入っていない」
「い、いえ、怪しんでいる、とかではなくて、美味しそうだな……って思いまして」
「……大したものではない。手順通りには作ってあるが、ありあわせのものだ」
ヴァートは、絆されるな、とばかりに、そして自身の感情をごまかすかのように視線をそらした。
ありあわせであっても、自分のために誰かが作ってくれたあたたかな食事を食べることになるなんて随分と久しぶりだ。本当に小さな頃以来かもしれない。夜空の心がふわりと柔らかい気持ちになる。あと30日後に殺される、というのに。
「ほら、早く座るんだ」
「は、はい……。失礼します……」
ヴァートに促され、彼は椅子に座った。夜空と向かい合うようにヴァートも座る。ヴァートの前に食事はなかった。
「あの、ヴァートさんの分は?」
「別に食べなくともいい」
「えっと、先にお召し上がりになられたんでしょうか……?」
「……そのようなこと、別にお前には関係ないだろう。余計なことを詮索するな」
冷えた視線と口調で言われる。それは、どこか、食べていないことを隠すような響きに聞こえてしまった。
「……すみません。ありがとうございます」
自分は食べないのに、わざわざ作ってくれたのか。
手間を掛けさせてしまった申し訳なさ、そして、自分のために作ってくれた、というありがたさが広がった。「情はない」と言うのに、随分と、優しい人だ。と思った。この人に、これから俺のことを殺せるのだろうか、と逆に夜空が思ってしまうくらいに。夜空の警戒心がだんだんと解けていく。同時にヴァートが食事を摂ったのか、が気になってしまう。
「冷める前に食べるんだ」
「は、はい。いただきます」
手を合わせてそう口に出してしまった。いつもの生活の中で、当たり前にしていたように。
「……それは、なんだ?」
ヴァートは夜空の行為に対して不思議そうな表情を浮かべながら言った。訝しげ、ではなくて単純に何をしているのか疑問に思った、という雰囲気。そこで夜空は気がついた。いただきます、という言葉はおそらく日本だけのものなのだろう。と。
昔、どこかでそんな話を聞いたような気がする。ヴァートは、夜空がしている動作と、言葉が何を表しているのか、気になったのかもしれない。
「え、えっと、これは、食事の前の、挨拶、のようなものでして……。その、ありがとうございます、みたいな意味なんです……。その、食べる前に手を合わせて“いただきます”って言って、食べ終わった後に、“ごちそうさまでした”って言うんです」
夜空がたどたどしく説明すると、ヴァートは少し目を見開いた。冷えた表情が、ほんの一瞬、驚きで彩られた。しかし、彼は、表情を見せないように、す、と視線を背けた。長めの、青みがかった銀髪がヴァートの表情を隠す。
「そうか……。ありがとう、か……」
ぼそり、とヴァートが口にしたのが聞こえた。表情は見えなかった。褒められ慣れていない雰囲気があったから、その延長線で、お礼を言われ慣れたりもしてないのかもしれない、と夜空は思った。ヴァートが夜空に視線を戻した時の表情は、冷えた、感情の読み取りにくい表情になっていた。
いただきます。ともう一度口に出し、夜空はパンを持った。
パンを持って一口大にちぎる。ふわふわと柔らかなパンの感触。口に入れた。柔らかい感触と優しい甘みが広がる。純粋に美味しかった。
「お、美味しいです……」
「……美味しいのか」
美味しいのか、と言った彼の言葉には、少し安堵が見えた。まるで、彼がその味を知らない、みたいに。けれども、すぐにヴァートの表情は感情の読み取れない冷えた表情に変わる。
彼は、じっと、夜空が食べているのを眺めているだけだった。喋るにも話題も何もない。喋ったら黙るように言われるのは間違いないだろう。
広い空間の中に、沈黙が広がっている。
少しの緊張感と、ヴァートに対しての興味が、夜空の中に浮かんでいた。この人の本当の姿は、一体どういう人なのだろうか、と。
魔法を使うため、殺されるために呼び出されたのに、こんなにあたたかな扱いを受けることになるとは思わなかった。あまりにも都合が良すぎる、と思ってしまうくらいの扱い。
「もてなされている」と言ってもいいくらいに。
それこそ、これから、ヘンゼルとグレーテルの童話のように、いきなり恐ろしい本性を見せつけられてしまうのではないか、と思うくらいに丁寧であたたかなもてなし。
けれども、そのようなことをするのであれば、もっといい方法はあるだろうし、とっくに殺されているはずだ。さっさとどこかで殺してしまったり眠らせて拘束する、など出来るはずだ。わざわざこんな風に、丁寧に夜空と接しなくてもいいはずだ。
ちら、と夜空はもう一度、ヴァートの方に視線を向けた。ヴァートは先ほどと同じ、感情の読み取れない表情で、夜空が食べるところを眺めているだけだった。冷えてはいたけれど、恐ろしさも、殺気も、一切感じ取ることが出来ない。それどころか、どこか、見守りのようなあたたかさすら見えてしまった。
夜空は緊張と、あたたかさを味わいながら、食事を食べ進めていた。ミルクスープも、野菜の混ざり合ったうまみと柔らかい塩味とミルクのコクが感じられて、美味しい、以外の言葉では表すことが出来なかった。魔法界の食事だというのに、どこか懐かしさを感じる。その後に食べた何かの果実も、見た目はリンゴに似ていたけれど、食感はリンゴよりも柔らかく、味は柑橘系の味をしていた。どれも温かく、美味しい食事であった。
「ごちそうさまでした……!」
手を合わせて夜空は言う。先ほどの「いただきます」と似たようなものだ、とヴァートは理解していたようだった。納得の視線を向けられていた。
「美味しかったです。ありがとうございました」
「……ああ」
夜空は礼を伝える。感情の読み取りにくい表情であったが、ヴァートの纏っていた冷ややかな雰囲気は先ほどよりも緩まっているように、夜空には感じ取れた。
「あ、ありがとうございます……」
風呂場から出た夜空。待っていたヴァートの隣を歩き、食事場所へと向かっていた。先ほど案内された食事場所は、それこそファンタジー世界の中で身分のある者達が食事をしていてもおかしくないような美しさの場所だった。ただ、魔法界の食事、というものは全く想像が出来なかった。「贄」という立場であるからなおさら。
部屋に入る。広い空間に、上質そうなテーブルに椅子。白いテーブルクロス。その上に、食事。
「え……?」
夜空は、やはりここでもひどく戸惑った声を上げてしまった。そこにあったのは、出来たてのあたたかな食事だったから。
刻まれた野菜によって彩られ、ふわふわと湯気の立ったミルクスープ。香ばしいかおりが漂う柔らかそうなパン。そして何か果実を切ったものが置かれていた。林檎を切り分けたものに似ている。
「…………これ、ですか? 俺の食事……」
「そうだ。不満か?」
「いえいえ! 全く……!」
温かい料理が出てくるとは思わなかったから、ひどく驚いてしまった。
「そ、その……、これはヴァートさんの、手作りですか?」
「毒は入っていない」
「い、いえ、怪しんでいる、とかではなくて、美味しそうだな……って思いまして」
「……大したものではない。手順通りには作ってあるが、ありあわせのものだ」
ヴァートは、絆されるな、とばかりに、そして自身の感情をごまかすかのように視線をそらした。
ありあわせであっても、自分のために誰かが作ってくれたあたたかな食事を食べることになるなんて随分と久しぶりだ。本当に小さな頃以来かもしれない。夜空の心がふわりと柔らかい気持ちになる。あと30日後に殺される、というのに。
「ほら、早く座るんだ」
「は、はい……。失礼します……」
ヴァートに促され、彼は椅子に座った。夜空と向かい合うようにヴァートも座る。ヴァートの前に食事はなかった。
「あの、ヴァートさんの分は?」
「別に食べなくともいい」
「えっと、先にお召し上がりになられたんでしょうか……?」
「……そのようなこと、別にお前には関係ないだろう。余計なことを詮索するな」
冷えた視線と口調で言われる。それは、どこか、食べていないことを隠すような響きに聞こえてしまった。
「……すみません。ありがとうございます」
自分は食べないのに、わざわざ作ってくれたのか。
手間を掛けさせてしまった申し訳なさ、そして、自分のために作ってくれた、というありがたさが広がった。「情はない」と言うのに、随分と、優しい人だ。と思った。この人に、これから俺のことを殺せるのだろうか、と逆に夜空が思ってしまうくらいに。夜空の警戒心がだんだんと解けていく。同時にヴァートが食事を摂ったのか、が気になってしまう。
「冷める前に食べるんだ」
「は、はい。いただきます」
手を合わせてそう口に出してしまった。いつもの生活の中で、当たり前にしていたように。
「……それは、なんだ?」
ヴァートは夜空の行為に対して不思議そうな表情を浮かべながら言った。訝しげ、ではなくて単純に何をしているのか疑問に思った、という雰囲気。そこで夜空は気がついた。いただきます、という言葉はおそらく日本だけのものなのだろう。と。
昔、どこかでそんな話を聞いたような気がする。ヴァートは、夜空がしている動作と、言葉が何を表しているのか、気になったのかもしれない。
「え、えっと、これは、食事の前の、挨拶、のようなものでして……。その、ありがとうございます、みたいな意味なんです……。その、食べる前に手を合わせて“いただきます”って言って、食べ終わった後に、“ごちそうさまでした”って言うんです」
夜空がたどたどしく説明すると、ヴァートは少し目を見開いた。冷えた表情が、ほんの一瞬、驚きで彩られた。しかし、彼は、表情を見せないように、す、と視線を背けた。長めの、青みがかった銀髪がヴァートの表情を隠す。
「そうか……。ありがとう、か……」
ぼそり、とヴァートが口にしたのが聞こえた。表情は見えなかった。褒められ慣れていない雰囲気があったから、その延長線で、お礼を言われ慣れたりもしてないのかもしれない、と夜空は思った。ヴァートが夜空に視線を戻した時の表情は、冷えた、感情の読み取りにくい表情になっていた。
いただきます。ともう一度口に出し、夜空はパンを持った。
パンを持って一口大にちぎる。ふわふわと柔らかなパンの感触。口に入れた。柔らかい感触と優しい甘みが広がる。純粋に美味しかった。
「お、美味しいです……」
「……美味しいのか」
美味しいのか、と言った彼の言葉には、少し安堵が見えた。まるで、彼がその味を知らない、みたいに。けれども、すぐにヴァートの表情は感情の読み取れない冷えた表情に変わる。
彼は、じっと、夜空が食べているのを眺めているだけだった。喋るにも話題も何もない。喋ったら黙るように言われるのは間違いないだろう。
広い空間の中に、沈黙が広がっている。
少しの緊張感と、ヴァートに対しての興味が、夜空の中に浮かんでいた。この人の本当の姿は、一体どういう人なのだろうか、と。
魔法を使うため、殺されるために呼び出されたのに、こんなにあたたかな扱いを受けることになるとは思わなかった。あまりにも都合が良すぎる、と思ってしまうくらいの扱い。
「もてなされている」と言ってもいいくらいに。
それこそ、これから、ヘンゼルとグレーテルの童話のように、いきなり恐ろしい本性を見せつけられてしまうのではないか、と思うくらいに丁寧であたたかなもてなし。
けれども、そのようなことをするのであれば、もっといい方法はあるだろうし、とっくに殺されているはずだ。さっさとどこかで殺してしまったり眠らせて拘束する、など出来るはずだ。わざわざこんな風に、丁寧に夜空と接しなくてもいいはずだ。
ちら、と夜空はもう一度、ヴァートの方に視線を向けた。ヴァートは先ほどと同じ、感情の読み取れない表情で、夜空が食べるところを眺めているだけだった。冷えてはいたけれど、恐ろしさも、殺気も、一切感じ取ることが出来ない。それどころか、どこか、見守りのようなあたたかさすら見えてしまった。
夜空は緊張と、あたたかさを味わいながら、食事を食べ進めていた。ミルクスープも、野菜の混ざり合ったうまみと柔らかい塩味とミルクのコクが感じられて、美味しい、以外の言葉では表すことが出来なかった。魔法界の食事だというのに、どこか懐かしさを感じる。その後に食べた何かの果実も、見た目はリンゴに似ていたけれど、食感はリンゴよりも柔らかく、味は柑橘系の味をしていた。どれも温かく、美味しい食事であった。
「ごちそうさまでした……!」
手を合わせて夜空は言う。先ほどの「いただきます」と似たようなものだ、とヴァートは理解していたようだった。納得の視線を向けられていた。
「美味しかったです。ありがとうございました」
「……ああ」
夜空は礼を伝える。感情の読み取りにくい表情であったが、ヴァートの纏っていた冷ややかな雰囲気は先ほどよりも緩まっているように、夜空には感じ取れた。
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