花野井一家の幸せ。

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プロローグ

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「いらっしゃい。今日は何にします?」


「んー…今日はしょうが焼き定食にしようかな。」


「畏まりました。しょうが焼き定食ですね、少々お待ちください。」



お客さんから注文を聞いてメモをし、厨房に繋がるカウンターにメモ用紙を置いておく。



「しょうが焼き定食1つお願いしまーす!」



そう声をかけることも忘れずに。
厨房からははーい!と元気な返答があり、きちんと伝わったことがわかってから次の注文を聞きに小走りで向かう。
ついでにできた料理も渡されたので運んでいく。



「スイレンちゃーん!注文いい?」


「スズランちゃーん!こっちもおねがーい!」


「ヒナギクちゃーん!決まったよー!」


「「「今伺いまーす!」」」



そっくりな声で答えた3人の少女たち。
その見た目もそっくりだ。



「ほんっとかわいーよなー、あの三姉妹。」


「三つ子だっけ?可愛い上にめっちゃ似てるよなー。」


「あんな天使が3人もいるなんて奇跡だよなー。」


「おい、知らないのかよ厨房にも天使がいること。」


「知ってるに決まってるだろー!三姉妹の母親!あの見た目で子持ち!しかも3人!」


「ほんと奇跡。」



既に料理が運ばれている机では皆同じような会話をしている。
混んでいてゆっくりすると迷惑がかかるので、素早く食べながらうっとりと見つめられる三姉妹。
最近この大衆食堂で働き始めたこの一家はここら辺では有名だった。
超絶美人一家、天上から舞い降りた天使たち、女神の集まり、数えきれないほど名称をつけられているこの一家を見ようと、連日食堂は人で賑わう。
見た目がそっくりな三姉妹とその母親、誰もが一目みたら見惚れてしまうほどの容姿をしている。
実際に今も熱い視線を集めているが、一切気づいていない三姉妹。
母親も料理を作るのに必死で視線には一切気づかない。



「ほんと、こんな天使たちどこにいたんだろうな?」


「なー。こんな綺麗ならもっと前から知られててもおかしくないのにな。」


「それこそ貴族のやつらがすぐにでも囲おうとするだろうよ。」


「今はなんとかここら辺で納めてるけどなー。」


「そりゃ、皆捕られたくないだろうよ。それに本人たちも嫌がってるし。」


「贅沢したいわけじゃないって…ほんと内面も天使。いや、女神。」


「あの見た目なら贅沢し放題なのにな。貢がせ放題!」


「それを…そんなことするより皆と話してたいって…マジ天使。」



うんうんと頷くお客さんたち。
この食堂は嘗てないほど賑わい、嘗てないほど一体感が増していた。



「おっと、そろそろ交代しなきゃ。まだ外で待ってるやつらがいる。」


「そうだな。平等に、争いなく、が皆の目標だからな。」


「目の保養もできたし、午後も頑張るか!」



よし、と掛け声をかけて3人の男たちは立ち上がり、会計をして出ていった。



「こんにちはー!今日も食べに来たよー!」


「いらっしゃい!今机拭くからこちらにどうぞー!」



入れ替わるように次のお客さんが入ってくる。



「ご注文は決まりましたか?」


「お待たせしました。こちら焼き魚定食です。」


「焼き肉定食2つお願いしまーす!」



三姉妹の掛け声が元気に響くこの食堂は今日も大忙しである。







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