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鈴蘭の場合5
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「おまたせー!」
待ち合わせの噴水に向かうと、既にすいちゃんとひなちゃんが待っていた。
「大丈夫よ。」
「いいのあった?」
待たせてしまったことは全く気にしてない2人に安心する。
「うん!いいの見つけたよ!」
笑顔で答えたのに、2人は私の顔をきちんと見た瞬間に顔をひそめた。
「すずちゃん…なんかあった?」
「なんか嬉しそうなのに…泣いたよね?」
あー、やっぱり気づかれたか。
赤くなった目は冷やしたし、周りには気づかれない自信があったけど、この2人には気づかれるかもって思ってた。
「えっと、いろいろあって…。ごめん、このあとお昼って約束してたのに家に帰ってもいい?そこで話すよ。」
「もちろん。ごはんは買っていこう。」
「食材は明日の朝に買うことにしよう。」
早く早く、と2人はさっさと買ってしまい、急かされるように家路を急いだ。
「で?その男たちはどこに行ったの?」
「騎士団ってどこにあるっけ?」
「聞いて行ってみよう。」
「そうだね、すずちゃん大丈夫。あとは私たちに任せて。」
「もう大丈夫だから!やり返してもらったし、重い罰にするって言ってもらったし!本当にもう平気だから!」
殺意の篭った目をしながら外に向かう2人を慌てて止める。
残念そうにしながらも止まってくれた。
「…わかった、すずちゃんがそこまで言うなら。」
「うん、わからないようにするね。」
頷きあう2人の言葉は聞かなかったことにした。
「それで?その助けてくれた人に惚れちゃったのね?」
「一目惚れかな?すずちゃんのことだから告白までしちゃった?」
襲われて助けられたことまでしか言ってないのに、そこまでわかるなんて…さすがは我が姉妹たち。
「…うん。友だちからってなったの。食堂にも食べに来てねって言ったけど、どこに住んでるとかは知らないからどうなるかわからない。」
「そっかそっか。さすがすずちゃん。行動早いね。」
「大丈夫よ。すずちゃん可愛いから絶対来てくれるよ。」
2人の励ましに嬉しくなる。
名前しか知らないから、正直不安だったのだ。
「ありがとう、2人とも。」
「いえいえ、本当のこと言っただけだし。」
「そうそう。あとはお母さんへ話す覚悟しとかないとね。」
「何かあったって絶対気づくはずだからね。」
「惚れた、なんて話になったら手がつけられないかもね。」
…そうだ、あの恋ばな好きのお母さんのことだ。
根掘り葉掘り聞いてくるはず。
心配もされるだろうけど、それを上回るほどのテンションで聞き出すだろう。
「…覚悟しとく。」
遠い目をしながら呟いた。
「それでそれで?そこに惚れちゃったのね?名前は?聞いたの?ここに来てくれるって?」
普段のおっとりからは想像できないほどのマシンガントーク。
すいちゃんのときの再来だ。
あれから、帰ってきたお母さんもすぐに私が泣いたことに気付いて心配してきた。
よかったよかったと、泣きながら抱き締めてくれたお母さんに安心感を感じた。
そのあとに助けてくれたコンラッドを好きになったことを話すと、さっきの悲壮感はどこへやら、目をきらきらさせながら聞いてきたのだ。
「コンラッド・ジェンソンって言うの。食堂に食べに来てねとは言ったけど、まだ来てくれるかはわからないの。」
「まぁまぁ!もう招待済みなのね!いいわねいいわね!青春ね!ときめくわね!」
「落ち着いて、お母さん。」
「はい、深呼吸ー深呼吸ー。」
お母さんの両脇で、宥めるように背中をとんとんしながら落ちつかせるすいちゃんとひなちゃん。
「あっ!ごめんなさいね、聞いてばかりで。言いたくないことだってあるわよね。」
反省したようにしゅんとしたお母さん。
そんなことないのに。
お母さんに…皆に話したくないことなんて存在しないのに。
「ううん。皆に秘密のことなんてないよ。」
元の世界は唯一信頼できた家族。
秘密にしていることなんてなかった。
「私の話だけど、お母さんが楽しそうで私も嬉しいよ。」
「そう?じゃあ聞いちゃおうかな。」
はにかむように笑うお母さんは、何故だか妹のように思えてしまった。
「うん、聞いて聞いて。」
「じゃあねー…」
それから夜遅くまで語らせられることになったときは、ちょっと後悔した。
すいちゃんとひなちゃんはちゃっかり寝てたし。
薄情者め。
待ち合わせの噴水に向かうと、既にすいちゃんとひなちゃんが待っていた。
「大丈夫よ。」
「いいのあった?」
待たせてしまったことは全く気にしてない2人に安心する。
「うん!いいの見つけたよ!」
笑顔で答えたのに、2人は私の顔をきちんと見た瞬間に顔をひそめた。
「すずちゃん…なんかあった?」
「なんか嬉しそうなのに…泣いたよね?」
あー、やっぱり気づかれたか。
赤くなった目は冷やしたし、周りには気づかれない自信があったけど、この2人には気づかれるかもって思ってた。
「えっと、いろいろあって…。ごめん、このあとお昼って約束してたのに家に帰ってもいい?そこで話すよ。」
「もちろん。ごはんは買っていこう。」
「食材は明日の朝に買うことにしよう。」
早く早く、と2人はさっさと買ってしまい、急かされるように家路を急いだ。
「で?その男たちはどこに行ったの?」
「騎士団ってどこにあるっけ?」
「聞いて行ってみよう。」
「そうだね、すずちゃん大丈夫。あとは私たちに任せて。」
「もう大丈夫だから!やり返してもらったし、重い罰にするって言ってもらったし!本当にもう平気だから!」
殺意の篭った目をしながら外に向かう2人を慌てて止める。
残念そうにしながらも止まってくれた。
「…わかった、すずちゃんがそこまで言うなら。」
「うん、わからないようにするね。」
頷きあう2人の言葉は聞かなかったことにした。
「それで?その助けてくれた人に惚れちゃったのね?」
「一目惚れかな?すずちゃんのことだから告白までしちゃった?」
襲われて助けられたことまでしか言ってないのに、そこまでわかるなんて…さすがは我が姉妹たち。
「…うん。友だちからってなったの。食堂にも食べに来てねって言ったけど、どこに住んでるとかは知らないからどうなるかわからない。」
「そっかそっか。さすがすずちゃん。行動早いね。」
「大丈夫よ。すずちゃん可愛いから絶対来てくれるよ。」
2人の励ましに嬉しくなる。
名前しか知らないから、正直不安だったのだ。
「ありがとう、2人とも。」
「いえいえ、本当のこと言っただけだし。」
「そうそう。あとはお母さんへ話す覚悟しとかないとね。」
「何かあったって絶対気づくはずだからね。」
「惚れた、なんて話になったら手がつけられないかもね。」
…そうだ、あの恋ばな好きのお母さんのことだ。
根掘り葉掘り聞いてくるはず。
心配もされるだろうけど、それを上回るほどのテンションで聞き出すだろう。
「…覚悟しとく。」
遠い目をしながら呟いた。
「それでそれで?そこに惚れちゃったのね?名前は?聞いたの?ここに来てくれるって?」
普段のおっとりからは想像できないほどのマシンガントーク。
すいちゃんのときの再来だ。
あれから、帰ってきたお母さんもすぐに私が泣いたことに気付いて心配してきた。
よかったよかったと、泣きながら抱き締めてくれたお母さんに安心感を感じた。
そのあとに助けてくれたコンラッドを好きになったことを話すと、さっきの悲壮感はどこへやら、目をきらきらさせながら聞いてきたのだ。
「コンラッド・ジェンソンって言うの。食堂に食べに来てねとは言ったけど、まだ来てくれるかはわからないの。」
「まぁまぁ!もう招待済みなのね!いいわねいいわね!青春ね!ときめくわね!」
「落ち着いて、お母さん。」
「はい、深呼吸ー深呼吸ー。」
お母さんの両脇で、宥めるように背中をとんとんしながら落ちつかせるすいちゃんとひなちゃん。
「あっ!ごめんなさいね、聞いてばかりで。言いたくないことだってあるわよね。」
反省したようにしゅんとしたお母さん。
そんなことないのに。
お母さんに…皆に話したくないことなんて存在しないのに。
「ううん。皆に秘密のことなんてないよ。」
元の世界は唯一信頼できた家族。
秘密にしていることなんてなかった。
「私の話だけど、お母さんが楽しそうで私も嬉しいよ。」
「そう?じゃあ聞いちゃおうかな。」
はにかむように笑うお母さんは、何故だか妹のように思えてしまった。
「うん、聞いて聞いて。」
「じゃあねー…」
それから夜遅くまで語らせられることになったときは、ちょっと後悔した。
すいちゃんとひなちゃんはちゃっかり寝てたし。
薄情者め。
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