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ep0. 「真夏の夜の爪」 ㊸たぶん、その衝動だけで生きている
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数分後、少年はずぶ濡れになった姿で戻って来た。
手にはスポーツドリンクと空になったミネラルウォーターのボトルが握られている。
ほら、飲めよ、と少年はマコトにペットボトルを渡す。
「……いや、ガックン? どうしてビシャビシャなの?」
そう遠く無い自販機にも関わらず思った以上に時間が掛かった上に濡れ鼠のような様相の少年をマコトは心底不思議そうな顔でしげしげと眺めた。
あの、ほら、バイク運転すんのも気力使うし暑かったからよ、と少年は要領を得ない様子で言い訳しながらコンクリの上に座った。
ポタポタと水滴が少年の髪を伝って落ちる。セットした髪も下に降りて前髪は額に張り付いていた。
だからって何も頭から水を被らなくても、とマコトは少し笑った。
いや、帰り道もあンだろ? コンディション整えねぇと、と少年は尤もらしい事を言った。
そう、とマコトは小さく返事をして少年の側に座った。
ねえガックン、とマコトは少し悲しそうに呟く。ガックンてどうしてこんなに優しいの、と。
「……僕、ガックンみたいな人を好きになってたら良かったのに」
そしたらきっとずっと、一生毎日が幸せだったよね、と言うと顔を膝に埋めた。
「……僕の幸せって僕が自分で壊したんだね。僕、一生死ぬまで自分を許せそうもないよ……」
だけど、とマコトは顔を上げて真っ暗な海を見据えた。
「これは僕のへの罰なんだから」
だから、それは逃げちゃいけないんだよね、とマコトは硝子のような眼で夜空に視線を移した。
少年はマコトの横顔を見た。
さっきまで泣きじゃくっていたマコトはもう居なかった。
マコトは暫く何かを考え込んでいる様子だったが、意を決して立ち上がると少年の方に向かってこう言った。
「……ガックン。明後日の二〇時に秘密基地で待ってるから」
本当に明後日が最後なんだ、とマコトは真っ直ぐに少年を見つめた。
明後日を最後にマコトはこの街を出るのだ。
だから、一人で来てよね。二人だけの秘密だから、とマコトはゆっくり目を伏せた。
少年はその言葉の意味を雰囲気で理解し、マジかよ、とだけ呟いた。
自分の顔が真っ赤になっているのは自分でも感じていた。
身体中の血が熱くなっていくのが少年自身にも止められなかった。
おまけに暫く立ち上がれそうにも無かった。
ああダメだ帰る前にもう一本、水買って来ねぇとな、とぼんやりと少年は体育座りのまま考えた。
自分の言葉の意図が少年に伝わった確証を得たマコトはゆっくりと振り返り暗い海を眺めた。
「……最後にガックンが隣に居てくれるなら、僕はもう何も要らない」
手にはスポーツドリンクと空になったミネラルウォーターのボトルが握られている。
ほら、飲めよ、と少年はマコトにペットボトルを渡す。
「……いや、ガックン? どうしてビシャビシャなの?」
そう遠く無い自販機にも関わらず思った以上に時間が掛かった上に濡れ鼠のような様相の少年をマコトは心底不思議そうな顔でしげしげと眺めた。
あの、ほら、バイク運転すんのも気力使うし暑かったからよ、と少年は要領を得ない様子で言い訳しながらコンクリの上に座った。
ポタポタと水滴が少年の髪を伝って落ちる。セットした髪も下に降りて前髪は額に張り付いていた。
だからって何も頭から水を被らなくても、とマコトは少し笑った。
いや、帰り道もあンだろ? コンディション整えねぇと、と少年は尤もらしい事を言った。
そう、とマコトは小さく返事をして少年の側に座った。
ねえガックン、とマコトは少し悲しそうに呟く。ガックンてどうしてこんなに優しいの、と。
「……僕、ガックンみたいな人を好きになってたら良かったのに」
そしたらきっとずっと、一生毎日が幸せだったよね、と言うと顔を膝に埋めた。
「……僕の幸せって僕が自分で壊したんだね。僕、一生死ぬまで自分を許せそうもないよ……」
だけど、とマコトは顔を上げて真っ暗な海を見据えた。
「これは僕のへの罰なんだから」
だから、それは逃げちゃいけないんだよね、とマコトは硝子のような眼で夜空に視線を移した。
少年はマコトの横顔を見た。
さっきまで泣きじゃくっていたマコトはもう居なかった。
マコトは暫く何かを考え込んでいる様子だったが、意を決して立ち上がると少年の方に向かってこう言った。
「……ガックン。明後日の二〇時に秘密基地で待ってるから」
本当に明後日が最後なんだ、とマコトは真っ直ぐに少年を見つめた。
明後日を最後にマコトはこの街を出るのだ。
だから、一人で来てよね。二人だけの秘密だから、とマコトはゆっくり目を伏せた。
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おまけに暫く立ち上がれそうにも無かった。
ああダメだ帰る前にもう一本、水買って来ねぇとな、とぼんやりと少年は体育座りのまま考えた。
自分の言葉の意図が少年に伝わった確証を得たマコトはゆっくりと振り返り暗い海を眺めた。
「……最後にガックンが隣に居てくれるなら、僕はもう何も要らない」
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