333 / 1,153
ep5.
ep5. 『死と処女(おとめ)』 『少年の日の思い出』
しおりを挟む
「……高校には行かないつもりだから。これはただちょっと」
もう一回読んでみたくなって、と水森は視線を地面に落とした。
え?
高校に行かないつもり?
水森が?
それは意外な言葉だった。
生真面目タイプの水森から出た言葉とは思えなかった。
しかも『少年の日の思い出』を“もう一回読んでみたくなって”?
俺は瞬時に考えを巡らせた。
確かに高校へ行かないってのも何か事情がありそうだが─────
それ以上に俺はこの本の方が気になったんだ。
なあ、『少年の日の思い出』ってハナシは覚えてるか?
教科書に載ってたんだけど忘れてるって奴も居るだろうし、学校によって教科書が違うって話も聞くからな。
読んでない奴や内容を忘れたって奴のためにあらすじを簡単に説明しとくな。
要は『友人であるエーミールのレアなコレクションアイテムの“蝶”を主人公が盗んだ挙句にうっかり破壊してしまう。謝罪するもエーミールに軽蔑されたので居た堪れなくなって自分のコレクションも全破壊して終わり』みたいなハナシだな。(ちょっと違うかもだけど大体こんなモンだと思ってくれ)
まあ、こんな感じだ。
コレってもしかして事件に何か関係があるんじゃねぇの?
そう思った俺は慎重に口を開いた。
「……なあ水森。違ってたら悪いんだけどさ」
もしかして、“エーミール”か“主人公”のどっちかに近い状況にあるのか?
ちょっとストレートにブッ込み過ぎただろうか。
俺は恐る恐る水森の顔を見た。
そうかもね、と呟いた後に少し皮肉めいた微笑を浮かべている。
「……貴方が知りたいのは別の事でしょう?」
あ、もしかしてバレてたか?
夢野のことを探りに来たって思われてる?
まあぶっちゃけソレもあるんだけどさ、と俺は更に慎重に受け答えする。
駄目だ、こういう生真面目タイプの水森相手だとさ、どうコミュニケーション取っていいかわかんねぇ。
「俺、水森自身の口からちゃんと聞きたいって思ったから」
俺は率直に思ったままを口にした。
もうどう駆け引きしたらいいかなんてわかんねぇ。
だったら単刀直入に聞くしかねぇだろ?
水森は驚いたように俺の顔を見た。
「……え?」
「だってさ、夢野だけに聞いたら片手落ちみたいなトコあるだろ?人間てのはどうしても自分の主観で話してしまうモンだし」
だから水森にもちゃんと話を聞かないとって思ったんだ、と俺はやや力を込めて言った。
「……佐藤君はくぅちゃんが好きで、付き合いたいって思ってるんでしょう?」
水森は手にした本に挟んである栞を弄りながら小さく言った。
だからなんでも全面的にくぅちゃんの話を信じてるんじゃないの?と小さく水森は呟く。
それはどこか泣きそうな声にも思えた。
いや、と俺は小さく首を振った。
「確かに俺は夢野のことが気になるから色んな事を何でも知りたいって思ってるけど……」
だけど、それでも水森の言葉で話して欲しいんだ。いい面も悪い面も全部ひっくるめてさ、と俺はゆっくりと言う。
そう、とだけ呟くと水森は再度視線を地面に落とした。
「そんな事を言ってくれたのは貴方が初めてだわ」
一方的に─────
無言の雰囲気のまま、あたしが悪いことになってたから─────
水森はそう言うと少し表情を柔らかくした。
もしかして水森は水森で何かとんでもない物を抱えてるんじゃないか?そんな気がした。
もう一回読んでみたくなって、と水森は視線を地面に落とした。
え?
高校に行かないつもり?
水森が?
それは意外な言葉だった。
生真面目タイプの水森から出た言葉とは思えなかった。
しかも『少年の日の思い出』を“もう一回読んでみたくなって”?
俺は瞬時に考えを巡らせた。
確かに高校へ行かないってのも何か事情がありそうだが─────
それ以上に俺はこの本の方が気になったんだ。
なあ、『少年の日の思い出』ってハナシは覚えてるか?
教科書に載ってたんだけど忘れてるって奴も居るだろうし、学校によって教科書が違うって話も聞くからな。
読んでない奴や内容を忘れたって奴のためにあらすじを簡単に説明しとくな。
要は『友人であるエーミールのレアなコレクションアイテムの“蝶”を主人公が盗んだ挙句にうっかり破壊してしまう。謝罪するもエーミールに軽蔑されたので居た堪れなくなって自分のコレクションも全破壊して終わり』みたいなハナシだな。(ちょっと違うかもだけど大体こんなモンだと思ってくれ)
まあ、こんな感じだ。
コレってもしかして事件に何か関係があるんじゃねぇの?
そう思った俺は慎重に口を開いた。
「……なあ水森。違ってたら悪いんだけどさ」
もしかして、“エーミール”か“主人公”のどっちかに近い状況にあるのか?
ちょっとストレートにブッ込み過ぎただろうか。
俺は恐る恐る水森の顔を見た。
そうかもね、と呟いた後に少し皮肉めいた微笑を浮かべている。
「……貴方が知りたいのは別の事でしょう?」
あ、もしかしてバレてたか?
夢野のことを探りに来たって思われてる?
まあぶっちゃけソレもあるんだけどさ、と俺は更に慎重に受け答えする。
駄目だ、こういう生真面目タイプの水森相手だとさ、どうコミュニケーション取っていいかわかんねぇ。
「俺、水森自身の口からちゃんと聞きたいって思ったから」
俺は率直に思ったままを口にした。
もうどう駆け引きしたらいいかなんてわかんねぇ。
だったら単刀直入に聞くしかねぇだろ?
水森は驚いたように俺の顔を見た。
「……え?」
「だってさ、夢野だけに聞いたら片手落ちみたいなトコあるだろ?人間てのはどうしても自分の主観で話してしまうモンだし」
だから水森にもちゃんと話を聞かないとって思ったんだ、と俺はやや力を込めて言った。
「……佐藤君はくぅちゃんが好きで、付き合いたいって思ってるんでしょう?」
水森は手にした本に挟んである栞を弄りながら小さく言った。
だからなんでも全面的にくぅちゃんの話を信じてるんじゃないの?と小さく水森は呟く。
それはどこか泣きそうな声にも思えた。
いや、と俺は小さく首を振った。
「確かに俺は夢野のことが気になるから色んな事を何でも知りたいって思ってるけど……」
だけど、それでも水森の言葉で話して欲しいんだ。いい面も悪い面も全部ひっくるめてさ、と俺はゆっくりと言う。
そう、とだけ呟くと水森は再度視線を地面に落とした。
「そんな事を言ってくれたのは貴方が初めてだわ」
一方的に─────
無言の雰囲気のまま、あたしが悪いことになってたから─────
水森はそう言うと少し表情を柔らかくした。
もしかして水森は水森で何かとんでもない物を抱えてるんじゃないか?そんな気がした。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる