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ep5.
ep5. 『死と処女(おとめ)』 沈黙と証拠隠滅
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「え?給食にヤベェもんでも入ってて腹でも下したのか?」
初めて知った学校内での夢野の動向。
マズイんじゃねぇのか、今の時期に変なモン食うってのは─────
違うでしょ、と佐々木は呆れたように言い放つ。
「食後に体調が悪くなるなら5時限目以降でしょう?─────でも記録によると夢野さんが保健室を利用した事になっているのはどの日も4時限目だわ」
そうか、逆か、と俺は胸を撫で下ろした。
「良かった。じゃあ別に夢野が悪いモン食ったとかじゃねぇんだな」
そこまで言って、俺はふとあることに気付く。
佐々木が無言で俺を見ていた。
え?
何?
どういうこと?
佐々木の言わんとすることが判らず、俺は戸惑う。
「同じご町内の田村さんとこの奥さんね、給食センターでパートしてるのよ。今、センターは点検の為に休止中でしょう?」
このままシフトに入れないと家計がピンチだってボヤいてたわよ、と佐々木はため息をついた。
なるほど。情報源ソースはご町内からって事か。
てか、コイツの交友関係とか情報網ってどうなってんだよ。謎すぎるだろ。
「発見された異物はビニール片・ホチキスの芯・プラスチック片などの小さい物で、発生クラスは1-3・3-4・1-1 らしいわ。2学年からはどのクラスも検出されてはいないわね」
佐々木は俺の反応を伺うように続ける。
「調査の結果、他の小中学校からは異物は検出されなかったみたいだし─────」
今週辺りからセンターは再稼働するでしょうね、と佐々木は含みを持たせるように言った。
今週から給食が再開される?
俺にとってはありがたい話だが─────
という事はつまり、夢野と二人で過ごす昼休憩もそろそろ終わりという事になるのか。
給食センターの休止のお陰で夢野ともグッと距離が縮まったと言えばそうなんだけどさ。
「まだわからない?」
それとも、すっとぼけてるのかしら、と佐々木は俺の表情を伺うような視線をこちらに送ってくる。
「……あ!」
そこまで言われて俺はやっと気付いた。
本当かどうかなんて俺は知らない。
ただ、佐々木が提示したある種の可能性は理解できた。
つまり佐々木は夢野を疑っている?
「─────俺に言いたかった事ってコレなのか?」
その為にわざわざ?と俺が聞くと佐々木はデスクの上のファイルに目を落とした。
「問題なのはここから先。そうでしょう?」
多分、今日あたりには職員会議の議題にでも上がりそうよ、と佐々木は至って冷静に言ってのけた。
確かにそうだ。
冷静じゃなかったのは俺の方だったのかもしれない。
この学校でしか発生してない異物混入事件。
センターの数日間の休止。それは多くの生徒と保護者、職員を巻き込む大騒動になっている。
『犯人探し』がなされるのは時間の問題だろう。
俺は無言でファイルの一番上のページを掴んだ。
「悪ぃな」
破り取ったその紙片─────9月半ばからの保健室の利用記録。
俺はポケットからジッポライターを取り出すと、そのまま火を付けた。
「ちょっと!?何してるの?!」
さすがの佐々木も慌てた様子で俺を制止しようとする。
ライターの炎は思ったより早く紙全体に回り、瞬く間に黒く炭化した。
俺は無言のまま、その残骸を保健室内にある手洗い場に流した。
「ま、記録なんて紛失することもあるだろ?」
自分でもどうしてこんな事をしたのかわからなかった。
けど、こうしなきゃって思っちまったんだな。その時はさ。
「まさかこんな強硬手段に出られるとは思わなかったわ」
佐々木が大きく目を見開いた。
「夢野は水森ともすれ違っちまって一人ぼっちだったんだ。誰とも話せなくて、一人で重過ぎるものを抱え込んで─────」
きっと俺しか頼れなかったんだ。だから、と俺は呟いた。
俺は誰に向かって話してるんだろう。
俺は自分自身に言い聞かせるように問いかけた。
「これってさ、夢野からの精一杯のSOSの救難信号だったんじゃないのか?」
そうだろ?と俺は佐々木の顔を見ずに続けた。
佐々木は黙った。
きっと俺の行動は想定外だったんだろう。
「─────それで、あなたに彼女が救えるの?」
佐々木は俺の目を真っ直ぐに見た。
救う?俺がか?
夢野を?
思ってもみなかった佐々木の問いかけに俺は戸惑った。
初めて知った学校内での夢野の動向。
マズイんじゃねぇのか、今の時期に変なモン食うってのは─────
違うでしょ、と佐々木は呆れたように言い放つ。
「食後に体調が悪くなるなら5時限目以降でしょう?─────でも記録によると夢野さんが保健室を利用した事になっているのはどの日も4時限目だわ」
そうか、逆か、と俺は胸を撫で下ろした。
「良かった。じゃあ別に夢野が悪いモン食ったとかじゃねぇんだな」
そこまで言って、俺はふとあることに気付く。
佐々木が無言で俺を見ていた。
え?
何?
どういうこと?
佐々木の言わんとすることが判らず、俺は戸惑う。
「同じご町内の田村さんとこの奥さんね、給食センターでパートしてるのよ。今、センターは点検の為に休止中でしょう?」
このままシフトに入れないと家計がピンチだってボヤいてたわよ、と佐々木はため息をついた。
なるほど。情報源ソースはご町内からって事か。
てか、コイツの交友関係とか情報網ってどうなってんだよ。謎すぎるだろ。
「発見された異物はビニール片・ホチキスの芯・プラスチック片などの小さい物で、発生クラスは1-3・3-4・1-1 らしいわ。2学年からはどのクラスも検出されてはいないわね」
佐々木は俺の反応を伺うように続ける。
「調査の結果、他の小中学校からは異物は検出されなかったみたいだし─────」
今週辺りからセンターは再稼働するでしょうね、と佐々木は含みを持たせるように言った。
今週から給食が再開される?
俺にとってはありがたい話だが─────
という事はつまり、夢野と二人で過ごす昼休憩もそろそろ終わりという事になるのか。
給食センターの休止のお陰で夢野ともグッと距離が縮まったと言えばそうなんだけどさ。
「まだわからない?」
それとも、すっとぼけてるのかしら、と佐々木は俺の表情を伺うような視線をこちらに送ってくる。
「……あ!」
そこまで言われて俺はやっと気付いた。
本当かどうかなんて俺は知らない。
ただ、佐々木が提示したある種の可能性は理解できた。
つまり佐々木は夢野を疑っている?
「─────俺に言いたかった事ってコレなのか?」
その為にわざわざ?と俺が聞くと佐々木はデスクの上のファイルに目を落とした。
「問題なのはここから先。そうでしょう?」
多分、今日あたりには職員会議の議題にでも上がりそうよ、と佐々木は至って冷静に言ってのけた。
確かにそうだ。
冷静じゃなかったのは俺の方だったのかもしれない。
この学校でしか発生してない異物混入事件。
センターの数日間の休止。それは多くの生徒と保護者、職員を巻き込む大騒動になっている。
『犯人探し』がなされるのは時間の問題だろう。
俺は無言でファイルの一番上のページを掴んだ。
「悪ぃな」
破り取ったその紙片─────9月半ばからの保健室の利用記録。
俺はポケットからジッポライターを取り出すと、そのまま火を付けた。
「ちょっと!?何してるの?!」
さすがの佐々木も慌てた様子で俺を制止しようとする。
ライターの炎は思ったより早く紙全体に回り、瞬く間に黒く炭化した。
俺は無言のまま、その残骸を保健室内にある手洗い場に流した。
「ま、記録なんて紛失することもあるだろ?」
自分でもどうしてこんな事をしたのかわからなかった。
けど、こうしなきゃって思っちまったんだな。その時はさ。
「まさかこんな強硬手段に出られるとは思わなかったわ」
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「夢野は水森ともすれ違っちまって一人ぼっちだったんだ。誰とも話せなくて、一人で重過ぎるものを抱え込んで─────」
きっと俺しか頼れなかったんだ。だから、と俺は呟いた。
俺は誰に向かって話してるんだろう。
俺は自分自身に言い聞かせるように問いかけた。
「これってさ、夢野からの精一杯のSOSの救難信号だったんじゃないのか?」
そうだろ?と俺は佐々木の顔を見ずに続けた。
佐々木は黙った。
きっと俺の行動は想定外だったんだろう。
「─────それで、あなたに彼女が救えるの?」
佐々木は俺の目を真っ直ぐに見た。
救う?俺がか?
夢野を?
思ってもみなかった佐々木の問いかけに俺は戸惑った。
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