[200万PV達成]それを捨てるなんてとんでもない!〜童貞を捨てる度に過去に戻されてしまう件〜おまけに相手の記憶も都合よく消えてる!?

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ep5.

ep5. 『死と処女(おとめ)』 模範的な少年

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「……」

岬は黙った。

しばらく何かを考えているようにも思えた。

─────もしかして、夢野と会う気になってくれたんだろうか。

一瞬、俺がそう考えた時だった。

校舎から一人の女子生徒が歩いてきた。

「あの、岬先輩」

女子はおずおずと岬に話しかけた。

「なんだい?」

岬は柔らかな笑みを浮かべ、女子生徒に聞き返す。

ロングの黒髪、大人しそうな小柄な女子。

一年だろうか。

「そろそろ戻りましょう、先輩」

そうだね、と岬は見せたことのない優しい表情で頷いた。

俺は悟ってしまった。

岬にはもう、新しい彼女ができてる。

小柄な女子と岬の間に漂う濃密な空気。

それはつまり、もう夢野との関係が元に戻ることはないという事実を俺に突き付けた。

どちらにせよ、岬はもう聞く耳を持たないだろう。

俺は黙った。

「僕を動かしたいなら、診断書でもなんでも持ってくればいいんだ」

そうでなきゃ言ったもの勝ちみたいになってしまうだろう?と岬は俺に向かって小さく呟いた。

岬のことだ。今カノの前で、余計な事はもう喋らないだろうな。

そうだよな。

「確かに─────アンタの言うことにも一理あるよな」

それは認めるぜ、と俺は小さく頷いた。

岬から見れば、夢野の行動や言動に対して信用できないというのも仕方がないことなのかもしれない。

それ程までに夢野と岬、二人の間の亀裂は修復不能な状態に感じられた。

岬はチラリと校舎の時計を見た。

コイツも受験生だと言うし、俺なんかとダラダラ駄弁ってる時間なんて無いんだろう。

小柄な女子が岬の腕を引っ張っている。

他校の不良なんかと絡んでほしくない。

怯えたような小柄な女子の目はそう訴えていた。

岬は頷き、わかったよ、といった風に女子の頭を撫でた。

「─────ところで最後に、一ついいかい?」

背中を向け、校舎の方向に歩きかけた岬が振り返り俺を見た。

「彼女は結局─────友人とキチンと和解してトラブルに対処出来たのかい?」

その質問の意図するところは俺にはわからなかった。

いや、と俺は小さく首を振った。

水森とは溝が出来たままだし、食券分の返済もまだだ。クラス内でも上野からはよく思われていないし─────

夢野に関するトラブルは何一つ解決などしていないのが現状だった。

「それが答えだよ」

岬は冷たい視線と共にそう言い放った。

「自分がやるべき事を行わず、他人に対して行う主張は声高に叫ぶ」

一体彼女のどこを信頼すればいいんだ?という岬の言葉に俺は何も言えなかった。

「君も同じだよ。何を根拠にそこまで彼女を信用できるのか─────全く不思議だ」

君も早く目を覚ましなよ、と岬は言い捨てて校舎に戻っていった。

俺は何も言えず、ただ黙ってその場に突っ立っているだけだった。

岬と女子生徒の後ろ姿を見送りながら、俺はぼんやりと考えていた。

誰だったかな、岬に似たやつが居たよな。つい最近、ソイツの話を誰かとしてて……

そして不意に俺は思い出した。

そうだ、アイツだよ。岬に似てるのは─────

頭に浮かんだ、岬と『似た人物』










エーミール。『少年の日の思い出』の登場人物だった。
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